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第040話 スライムが仲魔になった

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サーシャの『仲間になりたそうにこちらを見ている』の発言にマコトを除いた一同は、またなんか言ってるという表情で彼女を見つめた。

「そんなわけなかろう。スライムじゃぞ、スライム」

「そうですわ、そうですわ。伯母上の言われるとおりですわ」

既に忘れ去られているかも知れないが、長命のエルフの王族の出自であるエリスとリリスは立て続けに否定の声を上げる。

だが、そんな二人を他所にシロウとオフィーリアはまさかと思いつつも灰色のスライムの方に視線を向ける。

「よし、モノは試しだ。サーシャくん近づいてみてくれ」

シロウの言葉にサーシャは喜び、スキップを踏みながらスライムに近づいて行く。
念のため後方にマコトが付くようにシロウは指示して、マコトは頷きサーシャに続いた。

「いいのかや?シロウ。どう考えても体当たりを食らうというオチしかないぞ?」

「まぁ、モノは試しさ。仮に体当たりを食らっても今のサーシャくんなら何ともないだろうしな。ちょっとは痛いだろうけど」

エリスの言葉にシロウはそう返した。

(あ、心の底では信じてないんだ)

とリリスとオフィーリアは心の中でつぶやいた。


「よーしよしよし、良い子だからこっちおいでー」

サーシャは手を広げながら灰色のスライムに対してアピールする。

当のスライムはといえば、目をぱちくりとさせながらサーシャをジッと見つめたままである。

「あれぇ?もうちょっと近づいた方がいいかな」

そう言ってサーシャが近付いた瞬間、灰色のスライムはジャンプをした。

ぴょん。

ぽふ。

サーシャの姿に一同は驚愕した。

「やった!灰色スライムゲットだぜ!」

「すらすらぁ」

サーシャの雄たけび‥‥‥というほどではないが、その言葉に呼応するかのように灰色のスライムは体をふよふよと揺らしながら応じた。


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥。

‥‥‥。


宿屋の部屋にて。

「いやぁ、本当にゲット出来るとは思って無かったよ」

サーシャはベッドに座り、膝の上に灰色のスライムを乗せながら言う。

ちなみに、ダンジョンを出た先に居た冒険者や門番、宿屋の女将たちは全員サーシャが抱いているスライムに驚いたのは言うまでもない。
町の住人は、ぬいぐるみでも抱いていると思ったのだろう。
奇特な人を見る目で見てはいたが、驚く人は誰も居なかった。

「それにしても、この子何を食べるのかしら」

「さぁのぅ。そもそも、誰もペットにしようなんて思った事も無いからのぅ」

「共食いするくらいですし、ダンジョンのモンスターを食べるんじゃないんですの?」

サーシャの問いに、エリスとリリスが答える。

「なら、普通に人が食べるものも食べそうよね」
「よっし、食堂に行こう。食堂に」

サーシャはそう言ってスライムを抱いて立ち上がる。

「そうだな。夕方にはまだ早いが行くか」

こうして一同は立ち上がり部屋を出ようとしたのだが、そこでオフィーリアは目撃した。

ひゅん。

じゅ。

灰色のスライムから触手が伸び、黒い物体を捕らえて体内に取り込んで溶かすのを。

「………………………」

オフィーリアは見なかったことにした。


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥。

‥‥‥。


ギルド併設の食堂。

食堂に居た冒険者や給仕もしているギルド職員のカチューシャらのどよめきを他所に、テーブルの上に優雅に灰色のスライムは(たたず)んでいた。

「ご注文は何にするにゃ?」

「いつものやつと、スライム(この子)が食べるものを」

「当食堂ではモンスターの食事は扱って無いにゃ」

「んじゃ、コカトリス南蛮を一人前追加して」

「了解にゃ」

カチューシャは、チラチラと灰色のスライムを気にしながらもオーダーを取って厨房に消えていった。

「それはそうと、この子の名前なんにしようかなぁ」

スライムをなでながらサーシャは言う。

「普通にスライムで良かろう」

「ですわね。名前を付けたところで名前を理解するとも思えませんし」

エリスとリリスは、にべもなく言う。

「ダメよ。ちゃんと名前を付けて上げないと……うーん、そうねぇ………」
「ス〇ボウ、ス〇リン、ス〇キチ、ア〇ーラ………うーん、どれも捨てがたいわ」

腕を組みながらサーシャは思案したあと、右の人差し指をスライムに向け口を開いた。

「スーラにしましょ、スーラ。スーラ・スライームロヴナ」
「それが貴方の名前よ」

「すらぁ?」

サーシャの命名にスライムは首?を傾げた。

「ほれみよ。分かっておらんではないか」

「分かっていたことですわ。伯母上」

呆れたようにエリスとリリスは言うが、サーシャは違っていた。

「いいえ、きっと分かるわ」

そう言うと、サーシャはしゃがみスライムと目を合わせたあと、もう一度言った。

するとどうでしょう。
なんと、スライムが首?を縦に振ったのです。

「ほら、分かったって言ってる」

喜々として喜ぶサーシャに、一同は単にスライムの身体が揺れただけだろと突っ込みたかったが、それは心の中に仕舞っておくことにしたのだった。



次のエピソードへ進む 第041話 近代化改修


みんなのリアクション

サーシャの『仲間になりたそうにこちらを見ている』の発言にマコトを除いた一同は、またなんか言ってるという表情で彼女を見つめた。
「そんなわけなかろう。スライムじゃぞ、スライム」
「そうですわ、そうですわ。伯母上の言われるとおりですわ」
既に忘れ去られているかも知れないが、長命のエルフの王族の出自であるエリスとリリスは立て続けに否定の声を上げる。
だが、そんな二人を他所にシロウとオフィーリアはまさかと思いつつも灰色のスライムの方に視線を向ける。
「よし、モノは試しだ。サーシャくん近づいてみてくれ」
シロウの言葉にサーシャは喜び、スキップを踏みながらスライムに近づいて行く。
念のため後方にマコトが付くようにシロウは指示して、マコトは頷きサーシャに続いた。
「いいのかや?シロウ。どう考えても体当たりを食らうというオチしかないぞ?」
「まぁ、モノは試しさ。仮に体当たりを食らっても今のサーシャくんなら何ともないだろうしな。ちょっとは痛いだろうけど」
エリスの言葉にシロウはそう返した。
(あ、心の底では信じてないんだ)
とリリスとオフィーリアは心の中でつぶやいた。
「よーしよしよし、良い子だからこっちおいでー」
サーシャは手を広げながら灰色のスライムに対してアピールする。
当のスライムはといえば、目をぱちくりとさせながらサーシャをジッと見つめたままである。
「あれぇ?もうちょっと近づいた方がいいかな」
そう言ってサーシャが近付いた瞬間、灰色のスライムはジャンプをした。
ぴょん。
ぽふ。
サーシャの姿に一同は驚愕した。
「やった!灰色スライムゲットだぜ!」
「すらすらぁ」
サーシャの雄たけび‥‥‥というほどではないが、その言葉に呼応するかのように灰色のスライムは体をふよふよと揺らしながら応じた。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
‥‥‥。
宿屋の部屋にて。
「いやぁ、本当にゲット出来るとは思って無かったよ」
サーシャはベッドに座り、膝の上に灰色のスライムを乗せながら言う。
ちなみに、ダンジョンを出た先に居た冒険者や門番、宿屋の女将たちは全員サーシャが抱いているスライムに驚いたのは言うまでもない。
町の住人は、ぬいぐるみでも抱いていると思ったのだろう。
奇特な人を見る目で見てはいたが、驚く人は誰も居なかった。
「それにしても、この子何を食べるのかしら」
「さぁのぅ。そもそも、誰もペットにしようなんて思った事も無いからのぅ」
「共食いするくらいですし、ダンジョンのモンスターを食べるんじゃないんですの?」
サーシャの問いに、エリスとリリスが答える。
「なら、普通に人が食べるものも食べそうよね」
「よっし、食堂に行こう。食堂に」
サーシャはそう言ってスライムを抱いて立ち上がる。
「そうだな。夕方にはまだ早いが行くか」
こうして一同は立ち上がり部屋を出ようとしたのだが、そこでオフィーリアは目撃した。
ひゅん。
じゅ。
灰色のスライムから触手が伸び、黒い物体を捕らえて体内に取り込んで溶かすのを。
「………………………」
オフィーリアは見なかったことにした。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
‥‥‥。
ギルド併設の食堂。
食堂に居た冒険者や給仕もしているギルド職員のカチューシャらのどよめきを他所に、テーブルの上に優雅に灰色のスライムは|佇《たたず》んでいた。
「ご注文は何にするにゃ?」
「いつものやつと、|スライム《この子》が食べるものを」
「当食堂ではモンスターの食事は扱って無いにゃ」
「んじゃ、コカトリス南蛮を一人前追加して」
「了解にゃ」
カチューシャは、チラチラと灰色のスライムを気にしながらもオーダーを取って厨房に消えていった。
「それはそうと、この子の名前なんにしようかなぁ」
スライムをなでながらサーシャは言う。
「普通にスライムで良かろう」
「ですわね。名前を付けたところで名前を理解するとも思えませんし」
エリスとリリスは、にべもなく言う。
「ダメよ。ちゃんと名前を付けて上げないと……うーん、そうねぇ………」
「ス〇ボウ、ス〇リン、ス〇キチ、ア〇ーラ………うーん、どれも捨てがたいわ」
腕を組みながらサーシャは思案したあと、右の人差し指をスライムに向け口を開いた。
「スーラにしましょ、スーラ。スーラ・スライームロヴナ」
「それが貴方の名前よ」
「すらぁ?」
サーシャの命名にスライムは首?を傾げた。
「ほれみよ。分かっておらんではないか」
「分かっていたことですわ。伯母上」
呆れたようにエリスとリリスは言うが、サーシャは違っていた。
「いいえ、きっと分かるわ」
そう言うと、サーシャはしゃがみスライムと目を合わせたあと、もう一度言った。
するとどうでしょう。
なんと、スライムが首?を縦に振ったのです。
「ほら、分かったって言ってる」
喜々として喜ぶサーシャに、一同は単にスライムの身体が揺れただけだろと突っ込みたかったが、それは心の中に仕舞っておくことにしたのだった。