第四部 60話 完成形
ー/ー すぐに馬車の準備をすると、俺たちはレンブラントへ向かう。
幸い、連合へ行った時に使った馬車は最近整備が終わったばかりだった。
商業都市『レンブラント』は王国の経済を派手に回している大きな都市だ。
王都から近く、数時間くらいで移動することが出来るだろう。
別名は組合の総本山。無数の組合が活動を広げている。
俺たちは王都を中心に活動しているから、あまり関わりはないが。
アッシュの頃に一度だけ立ち寄った程度か。
本来はラルフさんのパーティが拠点にしている。
だが、フェリスさんとガロシュ三兄弟はまだ連合との国境付近にいる。
連合との関係が回復したので、戻る予定だったはず。
状況の変化の中で先手を打たれた形になるのだろう。
ちょうど、ラルフさんが留守になった瞬間を突かれたようだ。
「……キース、レンブラントが見えたら先行して。
アリスはキースの補助。ピノは周囲の警戒と情報収集」
ナタリーの言葉に俺たちがそれぞれに頷いた。
騎士団も後から来ているはずだが、俺たちが先行している。
この辺りは少数行動が基本の組合の強みだろう。
やがてレンブラントが見えてくる。
「行って!」
ナタリーの号令に合わせて、俺は飛び出した。
すぐにアリスの風が背中を押す。
さらに障壁を足場に加速する。
街道の上と何度となく跳んで、俺は都市へと突入した。
まずは上空から都市の様子を観察する。
赤青白の鬼が都市を襲っているのが見えた。
組織的な行動というよりは暴れているという印象に近い。
組合員は撤退しつつ被害を抑えようとしているようだ。しかし鬼の数が多い。
「エル」
「分かったわ」
準備を済ませると、俺は両手の魔法陣に魔力を流す。
一度の出力でのありったけ。無数の魔弾剣を地上に放った。
さらに俺自身も障壁を蹴って、地面へと向かう。
右手に大型のナイフだけ順手に握った。
近くにいた赤鬼部隊に狙いを定める。その内の一匹が剣を振り上げていた。
その目の前には逃げ遅れた女性とその子供。
俺はその後方頭上から体を丸めて飛び掛かる。
しかし、敵は身体能力の高い赤鬼部隊。
「!?」
異変に気が付いて振り返る。
すぐに反応し、俺を迎え撃とうと剣を頭上に払う。
俺は障壁を足場にして、跳ね返るように跳んだ。
さらにもう一度。そのまま着地すると姿勢を低くして鬼へと走る。
「…………ッ」
頭上へと剣を払ったまま、下から迫る俺に鬼の表情が凍り付いた。
鬼の左側をすり抜けるように首を掻き切った。
隣にいた一匹が剣を振る。もう一度障壁を踏みつけて跳び上がる。敵の剣が空を切った。
さらにもう一度、障壁で折り返す。
今度は頭上からその首目掛けて飛び掛かる。
「舐めるな!」
「…………」
しかし、今度の鬼は腰を落として俺のナイフを避ける。
俺はやはり障壁で折り返すと、今度は反時計回りに反転した。
ナイフを逆手に握り直す。
斬り返すようにナイフを払う。
「……!」
しかし、相手は剣を返してナイフを受ける。
鬼の顔に笑みが浮かぶ。次はこちらの番だと。
俺は空の左手を伸ばす。相手が首を傾げる様子が見えた。
そこに『ちょうど』飛んできた魔弾剣を逆手に掴む。
首を傾げたまま、笑みが引き攣った。
俺は魔弾剣を払う。そのまま鬼の首を刎ねた。
「囲め! ……え?」
周囲にいた他の鬼が俺を包囲しようとする。
その瞬間、俺を避けるように頭上から魔弾剣の雨が降り注いだ。
雨の中、混乱する鬼たちの間を跳ね回る。
一匹ずつ念入りに首を斬ってゆく。
撃ち漏らしがないことを確認すると、次の鬼を各個撃破するためにまた跳んだ。
今の内に魔弾剣を放ち補充する。容赦するつもりはなかった。
「……?」
だが、妙な違和感があった。
まるで鬼たちに撤退の様子がない。
……まるで捨て身のようにも見える。
それが気がかりだった。
幸い、連合へ行った時に使った馬車は最近整備が終わったばかりだった。
商業都市『レンブラント』は王国の経済を派手に回している大きな都市だ。
王都から近く、数時間くらいで移動することが出来るだろう。
別名は組合の総本山。無数の組合が活動を広げている。
俺たちは王都を中心に活動しているから、あまり関わりはないが。
アッシュの頃に一度だけ立ち寄った程度か。
本来はラルフさんのパーティが拠点にしている。
だが、フェリスさんとガロシュ三兄弟はまだ連合との国境付近にいる。
連合との関係が回復したので、戻る予定だったはず。
状況の変化の中で先手を打たれた形になるのだろう。
ちょうど、ラルフさんが留守になった瞬間を突かれたようだ。
「……キース、レンブラントが見えたら先行して。
アリスはキースの補助。ピノは周囲の警戒と情報収集」
ナタリーの言葉に俺たちがそれぞれに頷いた。
騎士団も後から来ているはずだが、俺たちが先行している。
この辺りは少数行動が基本の組合の強みだろう。
やがてレンブラントが見えてくる。
「行って!」
ナタリーの号令に合わせて、俺は飛び出した。
すぐにアリスの風が背中を押す。
さらに障壁を足場に加速する。
街道の上と何度となく跳んで、俺は都市へと突入した。
まずは上空から都市の様子を観察する。
赤青白の鬼が都市を襲っているのが見えた。
組織的な行動というよりは暴れているという印象に近い。
組合員は撤退しつつ被害を抑えようとしているようだ。しかし鬼の数が多い。
「エル」
「分かったわ」
準備を済ませると、俺は両手の魔法陣に魔力を流す。
一度の出力でのありったけ。無数の魔弾剣を地上に放った。
さらに俺自身も障壁を蹴って、地面へと向かう。
右手に大型のナイフだけ順手に握った。
近くにいた赤鬼部隊に狙いを定める。その内の一匹が剣を振り上げていた。
その目の前には逃げ遅れた女性とその子供。
俺はその後方頭上から体を丸めて飛び掛かる。
しかし、敵は身体能力の高い赤鬼部隊。
「!?」
異変に気が付いて振り返る。
すぐに反応し、俺を迎え撃とうと剣を頭上に払う。
俺は障壁を足場にして、跳ね返るように跳んだ。
さらにもう一度。そのまま着地すると姿勢を低くして鬼へと走る。
「…………ッ」
頭上へと剣を払ったまま、下から迫る俺に鬼の表情が凍り付いた。
鬼の左側をすり抜けるように首を掻き切った。
隣にいた一匹が剣を振る。もう一度障壁を踏みつけて跳び上がる。敵の剣が空を切った。
さらにもう一度、障壁で折り返す。
今度は頭上からその首目掛けて飛び掛かる。
「舐めるな!」
「…………」
しかし、今度の鬼は腰を落として俺のナイフを避ける。
俺はやはり障壁で折り返すと、今度は反時計回りに反転した。
ナイフを逆手に握り直す。
斬り返すようにナイフを払う。
「……!」
しかし、相手は剣を返してナイフを受ける。
鬼の顔に笑みが浮かぶ。次はこちらの番だと。
俺は空の左手を伸ばす。相手が首を傾げる様子が見えた。
そこに『ちょうど』飛んできた魔弾剣を逆手に掴む。
首を傾げたまま、笑みが引き攣った。
俺は魔弾剣を払う。そのまま鬼の首を刎ねた。
「囲め! ……え?」
周囲にいた他の鬼が俺を包囲しようとする。
その瞬間、俺を避けるように頭上から魔弾剣の雨が降り注いだ。
雨の中、混乱する鬼たちの間を跳ね回る。
一匹ずつ念入りに首を斬ってゆく。
撃ち漏らしがないことを確認すると、次の鬼を各個撃破するためにまた跳んだ。
今の内に魔弾剣を放ち補充する。容赦するつもりはなかった。
「……?」
だが、妙な違和感があった。
まるで鬼たちに撤退の様子がない。
……まるで捨て身のようにも見える。
それが気がかりだった。
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