「お姉さん、お姉さん!」
身体を揺らされて、私は目を覚ました。
「ここは……」
「真人くん、よく頑張ってくれました。もう、大丈夫ですよ」
「えっ……真人!」
病院のスタッフの声で、跳ね起きた。集中治療室の前の椅子に座りながら、いつの間にか、私は夢の世界にいたようだ。
どんな夢を見ていたのかは全く覚えていないけれど、そんなことよりも容態が安定したという真人に会うために、私は真っ先に治療室に入った。
すると、まだ酸素マスクは付けていたけれど、頬をほんのりと赤く染めた真人と目が合って……彼はにっこりと目を細めた。
「よかった……真人。本当に……」
安堵のあまり、へなへなと腰を下ろす。そんな私を見る彼の目は、悪戯っぽく、きらきらと輝いた。酸素マスクがなかったら、きっといつものように、からかわれていたことだろう。
「本当に、よかったです。真人くん、頑張ってくれましたし、それに……不思議なことに、あれだけ酷い拒絶反応が、まるで海の水が引いていくようにすぅっと引いていったのです……」
医師は笑顔ながらも、まるで狐につままれているような表情で語った。
「海の水が引いていくように……」
その言葉に、私は何かを思い出せそうで……だけれども思い出せない、歯痒い気持ちになった。
でも……
「海斗……」
何故だか分からない。しかし、私の胸には、海斗が真人を守ってくれたような……あの約束が彼を守ってくれたような、温かい想いが溢れたのだった。