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第四部 52話 鬼たち

ー/ー



「なるほど。
 王女の名前は『ティアナ・クロス』で合ってるな?」

 新国の王城でゼノが訊いた。
 この場にいるのは青鬼と白鬼だけだ。

「……ああ、間違いない」
「調査は済んでいます」

 青鬼と白鬼が答える。
 実際にその目で見たのは青鬼だけだった。

 しかし、間違いはないだろう。確かにブローチが蒼く光ったのだ。
 あの反応を老婆が求めていたのは間違いない。

 ……加えて、あの顔つきは見覚えがあった。
 青鬼には妙な胸騒ぎが残っている。

「殺せなかったのは残念だが、素性が分かっただけで上出来だ。
 今までは闇雲に探すだけだったんだからな」

「…………」

 ゼノはそう言うものの、青鬼はあの時自分が刃を止めたのは予想外だった。
 あそこで振り抜いていれば、勝負は決まっていた。

 新国はゼノのものになり、約束通り鬼を受け入れただろう。
 エルフやドワーフ同様、『失敗作』である鬼も今のままでは居場所がない。

「黒鬼はどうした?」
「戦争に向けて、武器を作っています」

 ゼノの言葉に白鬼が答えた。
 すぐにゼノは舌打ちを返す。

「あいつの魔道具があれば、王女の居場所も追いやすいだろうに」
「…………」

 ゼノの言い草に青鬼と白鬼は口をつぐむ。
 どうあれ、二匹にとっては生みの親だった。

「良いか、青鬼?
 とにかくお前は『ティアナ・クロス』を殺せ」

 そうすれば勝ちだ。
 ゼノ・イリオスはそう言って、端正な顔立ちを歪ませた。

 この翌日。
 新国は王国に対しても宣戦布告することになる。

 ティアナを殺すためになりふり構わない、という意味だ。
 しかし王国と連合の関係が正常化した以上、両国が最も疲弊した時機とも言える。

 白鬼が心配そうに青鬼を眺めていた。
 赤鬼はそこにいなかった。



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「なるほど。
 王女の名前は『ティアナ・クロス』で合ってるな?」
 新国の王城でゼノが訊いた。
 この場にいるのは青鬼と白鬼だけだ。
「……ああ、間違いない」
「調査は済んでいます」
 青鬼と白鬼が答える。
 実際にその目で見たのは青鬼だけだった。
 しかし、間違いはないだろう。確かにブローチが蒼く光ったのだ。
 あの反応を老婆が求めていたのは間違いない。
 ……加えて、あの顔つきは見覚えがあった。
 青鬼には妙な胸騒ぎが残っている。
「殺せなかったのは残念だが、素性が分かっただけで上出来だ。
 今までは闇雲に探すだけだったんだからな」
「…………」
 ゼノはそう言うものの、青鬼はあの時自分が刃を止めたのは予想外だった。
 あそこで振り抜いていれば、勝負は決まっていた。
 新国はゼノのものになり、約束通り鬼を受け入れただろう。
 エルフやドワーフ同様、『失敗作』である鬼も今のままでは居場所がない。
「黒鬼はどうした?」
「戦争に向けて、武器を作っています」
 ゼノの言葉に白鬼が答えた。
 すぐにゼノは舌打ちを返す。
「あいつの魔道具があれば、王女の居場所も追いやすいだろうに」
「…………」
 ゼノの言い草に青鬼と白鬼は口をつぐむ。
 どうあれ、二匹にとっては生みの親だった。
「良いか、青鬼?
 とにかくお前は『ティアナ・クロス』を殺せ」
 そうすれば勝ちだ。
 ゼノ・イリオスはそう言って、端正な顔立ちを歪ませた。
 この翌日。
 新国は王国に対しても宣戦布告することになる。
 ティアナを殺すためになりふり構わない、という意味だ。
 しかし王国と連合の関係が正常化した以上、両国が最も疲弊した時機とも言える。
 白鬼が心配そうに青鬼を眺めていた。
 赤鬼はそこにいなかった。