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第四部 42話 フレアと白鬼

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 フレアは長剣を白鬼へと構え直す。
 白鬼は明らかに鬱陶しそうな表情を浮かべてていた。

「……あそこにいるのは『ジークハルト・サンデル』ですか。
 いつの間にか王国から紛れ込んでいたというわけですね」

 フレアは白鬼の言葉に応じることはせず、すぐさま踏み込んだ。
 白鬼は舌打ちを一つすると、姿を変えた。

「!」

 初めは青鬼の姿だった。
 フレアの横薙ぎを右の長刀で受けると、腰を落として左の脇差で斬り返す。

「……へえ」
 
 フレアは小さく笑う。
 そして、長刀を受けたまま、長剣を立てて脇差も受けた。
 
「なに?」
 
 白鬼の驚きも無視して、フレアは二刀を長剣で上に弾く。
 長剣を返して袈裟に斬り下ろす。
 
 ガキン、という金属がぶつかる音。
 次は『二代目赤鬼』だった。黒い金棒が長剣を押さえている。
 
 ――なるほど。
 ――変化する時に体勢ごと変えているわけか。
 
「……その剣筋は見覚えがあります」
「とうとうバレたか」
 
 フレア・サリンジャーはそう言って、舌を出して見せた。
 そして、意識を切り替えた。
 


 フレアが一際強く踏み込んだ。
 金棒が真上から振り下ろされる。

 右に大きく跳んで、フレアは白鬼へと走る。
 白鬼は姿を青鬼に戻すと、迎え撃つように二刀を払う。

 フレアは脇差の方を弾くと、長刀をすり抜けるように、さらに深く踏み込んだ。白鬼がまた姿を変える。

「?」
 それはフレアには見覚えのない姿だった。

 金髪金眼のハーフドワーフ。アッシュ・クレフ。
 ナタリーの兄であり、キースの前世での人物だった。

 白鬼はアッシュの姿で、両手に握った双剣を交差させてフレアの長剣を受けていた。フレアはすぐに長剣を返し、今度は上段から斬り下ろす。

 白鬼は長剣を横に跳んで避ける。
 さらに死角に回り込むように、フレアの右側へと走る。

「……この!」

 同時に白鬼は左手の剣を払う。
 フレアはどうにか長剣の返しを間に合わせた。

 しかし、白鬼はフレアの背後に回った形になる。
 そこで白鬼は右手の剣を逆手に握り直す。
 白鬼がフレアの後頭部へと逆手の剣を叩きつけようとする。
 
「……っ!」
「ち」

 フレアが腰を低く落とす。
 頭上を双剣の片方が通り過ぎて行った。

 ――危なかった。
 ――狙うなら頭か心臓だと思ったけど。

 タイミングだけ意識して、どちらも避けられるように立ち回ったのだった。そこでフレアは長剣を一閃した。
 
「う……」
 フレアは真上にある白鬼の右手を斬り飛ばす。

 さらに素早く立ち上がると、同時に反転。
 慌てて後退する白鬼へと深く踏み込んだ。

 途端に白鬼がまた姿を変える。

 ――大丈夫。
 ――ここから何の姿になっても、私の方が速い。

 フレアが白鬼の首を飛ばす。
 予想通り、フレアの方が速かった。

「!?」
 
 フレアの顔が驚きで歪む。
 白鬼の左手がフレアの首を掴んだのだ。
 
 その姿は元の白鬼に戻っていた。
 フレアの意識が急速に遠のいていく。
 
 ――やられた。白鬼は相手の姿をコピーする。
 ――その時、意識を奪うって聞いていたのに……。
 
「これは勝てそうにない。せめて意識だけはもらっていきますよ。
 それに……この肉体は中々に使い勝手が良さそうだ」
 
 首だけになった白鬼が床に転がって微笑んだ。
 すぐにその瞳が生気を失う。
 
「ああ、もう! 意識が……」

 同時にフレアが膝を突く。
 白鬼は討ち取ったが、フレアは意識を失った。



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 フレアは長剣を白鬼へと構え直す。
 白鬼は明らかに鬱陶しそうな表情を浮かべてていた。
「……あそこにいるのは『ジークハルト・サンデル』ですか。
 いつの間にか王国から紛れ込んでいたというわけですね」
 フレアは白鬼の言葉に応じることはせず、すぐさま踏み込んだ。
 白鬼は舌打ちを一つすると、姿を変えた。
「!」
 初めは青鬼の姿だった。
 フレアの横薙ぎを右の長刀で受けると、腰を落として左の脇差で斬り返す。
「……へえ」
 フレアは小さく笑う。
 そして、長刀を受けたまま、長剣を立てて脇差も受けた。
「なに?」
 白鬼の驚きも無視して、フレアは二刀を長剣で上に弾く。
 長剣を返して袈裟に斬り下ろす。
 ガキン、という金属がぶつかる音。
 次は『二代目赤鬼』だった。黒い金棒が長剣を押さえている。
 ――なるほど。
 ――変化する時に体勢ごと変えているわけか。
「……その剣筋は見覚えがあります」
「とうとうバレたか」
 フレア・サリンジャーはそう言って、舌を出して見せた。
 そして、意識を切り替えた。
 フレアが一際強く踏み込んだ。
 金棒が真上から振り下ろされる。
 右に大きく跳んで、フレアは白鬼へと走る。
 白鬼は姿を青鬼に戻すと、迎え撃つように二刀を払う。
 フレアは脇差の方を弾くと、長刀をすり抜けるように、さらに深く踏み込んだ。白鬼がまた姿を変える。
「?」
 それはフレアには見覚えのない姿だった。
 金髪金眼のハーフドワーフ。アッシュ・クレフ。
 ナタリーの兄であり、キースの前世での人物だった。
 白鬼はアッシュの姿で、両手に握った双剣を交差させてフレアの長剣を受けていた。フレアはすぐに長剣を返し、今度は上段から斬り下ろす。
 白鬼は長剣を横に跳んで避ける。
 さらに死角に回り込むように、フレアの右側へと走る。
「……この!」
 同時に白鬼は左手の剣を払う。
 フレアはどうにか長剣の返しを間に合わせた。
 しかし、白鬼はフレアの背後に回った形になる。
 そこで白鬼は右手の剣を逆手に握り直す。
 白鬼がフレアの後頭部へと逆手の剣を叩きつけようとする。
「……っ!」
「ち」
 フレアが腰を低く落とす。
 頭上を双剣の片方が通り過ぎて行った。
 ――危なかった。
 ――狙うなら頭か心臓だと思ったけど。
 タイミングだけ意識して、どちらも避けられるように立ち回ったのだった。そこでフレアは長剣を一閃した。
「う……」
 フレアは真上にある白鬼の右手を斬り飛ばす。
 さらに素早く立ち上がると、同時に反転。
 慌てて後退する白鬼へと深く踏み込んだ。
 途端に白鬼がまた姿を変える。
 ――大丈夫。
 ――ここから何の姿になっても、私の方が速い。
 フレアが白鬼の首を飛ばす。
 予想通り、フレアの方が速かった。
「!?」
 フレアの顔が驚きで歪む。
 白鬼の左手がフレアの首を掴んだのだ。
 その姿は元の白鬼に戻っていた。
 フレアの意識が急速に遠のいていく。
 ――やられた。白鬼は相手の姿をコピーする。
 ――その時、意識を奪うって聞いていたのに……。
「これは勝てそうにない。せめて意識だけはもらっていきますよ。
 それに……この肉体は中々に使い勝手が良さそうだ」
 首だけになった白鬼が床に転がって微笑んだ。
 すぐにその瞳が生気を失う。
「ああ、もう! 意識が……」
 同時にフレアが膝を突く。
 白鬼は討ち取ったが、フレアは意識を失った。