第四部 23話 すれ違い
ー/ー「はあ、はあ……死ぬかと思ったぁ」
「大丈夫だよな? 追って来てないよな?」
「……おそらく。危ないところでしたね」
俺たちは宿に飛び込むと互いの顔を見合わせた。
ナタリーの声に俺とティアナが応じる。
ひとまず、ここまで来れば大丈夫のはずだ。
俺が一息吐いた瞬間、ナタリーは俺を見た。
「ピノを付けるから、今すぐにグレイ達を連れてきて」
「……良いけど、二人は? 戦える護衛がいないぞ?」
俺はすぐに切り返すが、ナタリーの考えは変わらないようだ。
首を振って答える。
「ここが襲撃されるなら、初めからどうしようもない。
サンデル家の現盟主も王国も学舎も学院も、まとめて敵に回せるなら負けよ」
ナタリーはさらに続ける。
「でも、グレイ達とあの二匹が遭遇すれば、それも負け。
このパターンは避けなきゃならない。良いから行って」
ナタリーの言葉に押されて、俺は宿を飛び出した。
確かに、偶然でもこのまま遭遇させてはいけない。
鬼にその気があるかは不明だが、あの二匹がいる時点で、全員がまとまって行動する必要があるんだ。
ピノの先導でエイク市を走る。
狭い路地を走り抜けた。
「あ……!」
「え?」
大通りに出た瞬間、通行人の一人とぶつかりそうになった。
慌てて横に跳んで避ける。
「すみません! 大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫で……あれ?」
俺が謝ろうと近づくと、相手は首を傾げた。
見れば、相手は老婆だった。
「? 新国に行くと言ってた……」
「お久しぶりです。貴方もこちらへ?」
そうだ。王都で新国に行くための護衛を探していた老婆だ。
確か、ハーフエルフの小国の王女を探していた……。
「ええ、少し用事があって……。
連合を抜けて、新国まで行くという話だったと思いましたが?」
「それが、新国に入る前に少し問題が……。
実はブローチをなくしてしまったのです」
王女の魔力を流せば光るのだったか?
なるほど。あれがなければ本末転倒だろう。
「あの、申し訳ないのですが……。
もしも見かけることがあれば教えてほしいのです」
「はい、お届けしますよ。
俺たちは向こうの屋敷で宿を取っています。
学院と学舎の交流会で来ているので、何かあれば来てください」
「……ぴ」
俺は出来るだけ丁寧に応じたが、ピノが窘めるように鳴いた。
その時、人混みの向こうにグレイの背中が見えた。
「すみません。急いでるので、また……」
「はい。こちらこそありがとうございます」
頭を下げると、俺に合わせて老婆も頭を下げた。
申し訳なく思いながらも、俺は視線を切って走り出した。
「大丈夫だよな? 追って来てないよな?」
「……おそらく。危ないところでしたね」
俺たちは宿に飛び込むと互いの顔を見合わせた。
ナタリーの声に俺とティアナが応じる。
ひとまず、ここまで来れば大丈夫のはずだ。
俺が一息吐いた瞬間、ナタリーは俺を見た。
「ピノを付けるから、今すぐにグレイ達を連れてきて」
「……良いけど、二人は? 戦える護衛がいないぞ?」
俺はすぐに切り返すが、ナタリーの考えは変わらないようだ。
首を振って答える。
「ここが襲撃されるなら、初めからどうしようもない。
サンデル家の現盟主も王国も学舎も学院も、まとめて敵に回せるなら負けよ」
ナタリーはさらに続ける。
「でも、グレイ達とあの二匹が遭遇すれば、それも負け。
このパターンは避けなきゃならない。良いから行って」
ナタリーの言葉に押されて、俺は宿を飛び出した。
確かに、偶然でもこのまま遭遇させてはいけない。
鬼にその気があるかは不明だが、あの二匹がいる時点で、全員がまとまって行動する必要があるんだ。
ピノの先導でエイク市を走る。
狭い路地を走り抜けた。
「あ……!」
「え?」
大通りに出た瞬間、通行人の一人とぶつかりそうになった。
慌てて横に跳んで避ける。
「すみません! 大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫で……あれ?」
俺が謝ろうと近づくと、相手は首を傾げた。
見れば、相手は老婆だった。
「? 新国に行くと言ってた……」
「お久しぶりです。貴方もこちらへ?」
そうだ。王都で新国に行くための護衛を探していた老婆だ。
確か、ハーフエルフの小国の王女を探していた……。
「ええ、少し用事があって……。
連合を抜けて、新国まで行くという話だったと思いましたが?」
「それが、新国に入る前に少し問題が……。
実はブローチをなくしてしまったのです」
王女の魔力を流せば光るのだったか?
なるほど。あれがなければ本末転倒だろう。
「あの、申し訳ないのですが……。
もしも見かけることがあれば教えてほしいのです」
「はい、お届けしますよ。
俺たちは向こうの屋敷で宿を取っています。
学院と学舎の交流会で来ているので、何かあれば来てください」
「……ぴ」
俺は出来るだけ丁寧に応じたが、ピノが窘めるように鳴いた。
その時、人混みの向こうにグレイの背中が見えた。
「すみません。急いでるので、また……」
「はい。こちらこそありがとうございます」
頭を下げると、俺に合わせて老婆も頭を下げた。
申し訳なく思いながらも、俺は視線を切って走り出した。
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