第四部 16話 卒業できれば卒業生
ー/ー ……久しぶりだな。
馬車の窓に見える景色を眺めながら、俺は内心で懐かしい感覚を味わっていた。
「わぁ……大きな都市ですね」
ティアナが目を輝かせた。
視線の先には交易大都市『ベックリン』が見える。
アッシュの頃に色々とあった都市である。
俺たちは早めに連合を目指していた。
ここまで来れば連合との国境は目の前だ。
馬車の中には四人が座っている。
他は護衛と使用人用の馬車に乗っているはずだ。
まずは護衛の俺。
冒険者パーティ『幸せの青い小鳥』が交流会の依頼を受けたことになっている。
近接戦闘が予想されるので、今は俺が座っている。
次にフレア。
こちらは髪を簡単にまとめて男装していた。
所属は騎士団ということにして、護衛に回っている。
さらにティアナ。
正式な交流会のメンバーだ。とは言え、事情は全て知っている。
余所行きの衣装を身に纏って、窓の外をうきうきと覗き込んでいる。
最後は……グレイ。
交流会の男子生徒役として騎士団から選ばれたのはグレイだったのだ。
しかし学院出身の騎士団員で、まだ学生として通用する……確かに選択肢は多くないだろう。
「なぁ、フレア?」
「なにさ」
「お前、それバレないのか?」
「……?」
フレアは首を傾げる。
本気で分かっていないようだ。
「えっと、兄さんが言いたいのは男装だけで良いのかってことですよね?」
「そうそう。お前は連合出身なんだから顔割れてるんじゃないの?」
ティアナが助け船を出してくれる。
フレアは、ぽん、と納得したように手を叩いた。
「大丈夫だよ。本当はこんな変装も必要ないんだ。
連合に私の顔を知ってる人はいないよ」
「? そんなことあるのか?」
グレイが首を傾げる。
ここまでの旅で二人は十分に打ち解け合っていた。
まあ、気が合う部類だろうな。
「ジークが来るまでは一人で山に籠っていたし、ジークが来てからは顔を隠すようにしていたからね。それでも顔を見られたことはあったけど……そっちは『全部斬った』よ」
「……なるほどな」
「バレるとすれば、戦った場合かなぁ。
流石に剣筋を見られれば気が付くかもしれない」
確かにフレアの剣は印象に残るだろうな。
なるべく戦わせない方が良いか?
「兄さん、兄さん。この都市は交易都市なんですよね?」
「? ああ、そうだぞ」
「おみやげ買っても良いですか?」
ティアナが楽しそうに訊いてくる。
途端にフレアとグレイが顔を背けて笑う。俺も思わず笑いそうになる。
「? あれ?」
ティアナだけが気付かずに首を傾げる。
全く、余程浮かれているらしい。
「ティアナ、おみやげを買うなら帰りだ。
それに、ここで交易品を買うよりも連合で直接買うと良いぞ」
「……!」
すると、ティアナはみるみると顔を赤くしていった。
すぐに隣に座る俺の左足を踏みつける。
「知ってますよっ。
言ってみただけじゃないですかっ」
俺は苦笑しながら話題を逸らすことにした。
左奥に座るグレイに声を掛けた。
「それにしても、グレイ? お前に交流会の代役が務まるかな?」
「お前と一緒にするな。卒業生が生徒のフリをするだけだろ」
グレイはやれやれと溜息を吐くように言い返してきた。
俺は口元を歪めて答える。
「……優秀な生徒のフリ、な?」
「う」
俺の言葉にグレイが固まった。
ちなみに、グレイも交流会など知らなかった。
……当然、特別補習は知っていた。
……俺たちはコンプリートしているからな。
馬車の窓に見える景色を眺めながら、俺は内心で懐かしい感覚を味わっていた。
「わぁ……大きな都市ですね」
ティアナが目を輝かせた。
視線の先には交易大都市『ベックリン』が見える。
アッシュの頃に色々とあった都市である。
俺たちは早めに連合を目指していた。
ここまで来れば連合との国境は目の前だ。
馬車の中には四人が座っている。
他は護衛と使用人用の馬車に乗っているはずだ。
まずは護衛の俺。
冒険者パーティ『幸せの青い小鳥』が交流会の依頼を受けたことになっている。
近接戦闘が予想されるので、今は俺が座っている。
次にフレア。
こちらは髪を簡単にまとめて男装していた。
所属は騎士団ということにして、護衛に回っている。
さらにティアナ。
正式な交流会のメンバーだ。とは言え、事情は全て知っている。
余所行きの衣装を身に纏って、窓の外をうきうきと覗き込んでいる。
最後は……グレイ。
交流会の男子生徒役として騎士団から選ばれたのはグレイだったのだ。
しかし学院出身の騎士団員で、まだ学生として通用する……確かに選択肢は多くないだろう。
「なぁ、フレア?」
「なにさ」
「お前、それバレないのか?」
「……?」
フレアは首を傾げる。
本気で分かっていないようだ。
「えっと、兄さんが言いたいのは男装だけで良いのかってことですよね?」
「そうそう。お前は連合出身なんだから顔割れてるんじゃないの?」
ティアナが助け船を出してくれる。
フレアは、ぽん、と納得したように手を叩いた。
「大丈夫だよ。本当はこんな変装も必要ないんだ。
連合に私の顔を知ってる人はいないよ」
「? そんなことあるのか?」
グレイが首を傾げる。
ここまでの旅で二人は十分に打ち解け合っていた。
まあ、気が合う部類だろうな。
「ジークが来るまでは一人で山に籠っていたし、ジークが来てからは顔を隠すようにしていたからね。それでも顔を見られたことはあったけど……そっちは『全部斬った』よ」
「……なるほどな」
「バレるとすれば、戦った場合かなぁ。
流石に剣筋を見られれば気が付くかもしれない」
確かにフレアの剣は印象に残るだろうな。
なるべく戦わせない方が良いか?
「兄さん、兄さん。この都市は交易都市なんですよね?」
「? ああ、そうだぞ」
「おみやげ買っても良いですか?」
ティアナが楽しそうに訊いてくる。
途端にフレアとグレイが顔を背けて笑う。俺も思わず笑いそうになる。
「? あれ?」
ティアナだけが気付かずに首を傾げる。
全く、余程浮かれているらしい。
「ティアナ、おみやげを買うなら帰りだ。
それに、ここで交易品を買うよりも連合で直接買うと良いぞ」
「……!」
すると、ティアナはみるみると顔を赤くしていった。
すぐに隣に座る俺の左足を踏みつける。
「知ってますよっ。
言ってみただけじゃないですかっ」
俺は苦笑しながら話題を逸らすことにした。
左奥に座るグレイに声を掛けた。
「それにしても、グレイ? お前に交流会の代役が務まるかな?」
「お前と一緒にするな。卒業生が生徒のフリをするだけだろ」
グレイはやれやれと溜息を吐くように言い返してきた。
俺は口元を歪めて答える。
「……優秀な生徒のフリ、な?」
「う」
俺の言葉にグレイが固まった。
ちなみに、グレイも交流会など知らなかった。
……当然、特別補習は知っていた。
……俺たちはコンプリートしているからな。
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