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第四部 14話 優秀畜生

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 家に帰ると、ティアナがにこにこと近づいて来た……随分とご機嫌だ。
 こっちは連合に行くことになって大変だというのに。

「兄さん、兄さん。
 連合に『統一学舎』というのがあるんですよ?」
「? ああ、知ってるよ」

 予想外の単語に驚きながらも頷いた。
 まあ、ティアナは学院の生徒だ。知っててもおかしくない。

「来月、王国の『王立学院』と交流会があるんですよ?」
「……それも知ってるよ」

 時期が時期だからな。
 話題にも上がるか。

「成績の優秀な生徒だけが参加できるんですよ?」
「知って……やかましいわ!」
「兄さん!?」

 突然、声を荒げた俺にティアナが驚く。
 落ち着け……ティアナに悪意があるはずもない。

「ああ、悪い悪い。
 それで、その交流会がどうしたんだ?」

 俺がそう言うと、ティアナは得意げに上を向いた。
 両手を腰に当てて、胸を張った。

「この度! 私『ティアナ・クロス』がその優秀な生徒に選ばれました!」
「…………」

 おい、嘘だろ。
 言ってしまえば、これから連合に喧嘩売りに行くんだぞ。

 危険な旅になるのは間違いない。
 そのメンバーにティアナが選ばれた……?

「おかしいだろ!? 何でだ!?
 よりにもよってお前が選ばれるなんて!」
「失礼ですよ!?」

 俺の言葉にティアナが目を剥いた。
 だが、俺は続けずにはいられない。

「酷すぎる! あんまりだ! 
 理不尽にもほどがあるだろう!?」
「こっちの台詞ですよっ!」

 ジーク達を助けたことが間違いだとは思わない。
 それでも自分の義妹が危険に晒されるのは予想外だった。

「ティアナは何も悪くないのに!」
「だから! ……?」

 俺の言葉にティアナは言い返そうとする。
 しかし、途中で首を傾げた。

「こんなにも良い子なのに!」
「……?? まあ、分かってもらえたなら……」

 ティアナが不思議そうに呟く。しかし、事実だろう。
 ティアナが怖い思いをする必要なんて何もないんだ。

「どうして選ばれるんだ!?」
「え!? んー!? あれっ!?」

 ティアナの身を案じて叫ぶ。
 くそ、と右の拳を左の手の平に打ち付けた。

「一体、何を言ってるんですか!?
 兄さん、論理が破綻してますよっ!」

 ティアナが叫ぶ。
 俺が負けずに叫び返す。

「破綻してるもんか!
 ティアナが選ばれるなんて間違ってる!」

 俺の言葉を聞いて、ティアナは背中を向けて走り出した。

「わーん! 兄さんは酷いですよっ!」
「……?」

 珍しく子供っぽい様子で駆けていく。
 俺は良く分からずに首を傾げた。

 捨て台詞のようにティアナがさらに叫ぶ。

「三年生ではなく、二年生から選ばれるのは初めてなんですよっ!」
「優秀だな! 畜生ッ!」
「うわーん!」



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 家に帰ると、ティアナがにこにこと近づいて来た……随分とご機嫌だ。
 こっちは連合に行くことになって大変だというのに。
「兄さん、兄さん。
 連合に『統一学舎』というのがあるんですよ?」
「? ああ、知ってるよ」
 予想外の単語に驚きながらも頷いた。
 まあ、ティアナは学院の生徒だ。知っててもおかしくない。
「来月、王国の『王立学院』と交流会があるんですよ?」
「……それも知ってるよ」
 時期が時期だからな。
 話題にも上がるか。
「成績の優秀な生徒だけが参加できるんですよ?」
「知って……やかましいわ!」
「兄さん!?」
 突然、声を荒げた俺にティアナが驚く。
 落ち着け……ティアナに悪意があるはずもない。
「ああ、悪い悪い。
 それで、その交流会がどうしたんだ?」
 俺がそう言うと、ティアナは得意げに上を向いた。
 両手を腰に当てて、胸を張った。
「この度! 私『ティアナ・クロス』がその優秀な生徒に選ばれました!」
「…………」
 おい、嘘だろ。
 言ってしまえば、これから連合に喧嘩売りに行くんだぞ。
 危険な旅になるのは間違いない。
 そのメンバーにティアナが選ばれた……?
「おかしいだろ!? 何でだ!?
 よりにもよってお前が選ばれるなんて!」
「失礼ですよ!?」
 俺の言葉にティアナが目を剥いた。
 だが、俺は続けずにはいられない。
「酷すぎる! あんまりだ! 
 理不尽にもほどがあるだろう!?」
「こっちの台詞ですよっ!」
 ジーク達を助けたことが間違いだとは思わない。
 それでも自分の義妹が危険に晒されるのは予想外だった。
「ティアナは何も悪くないのに!」
「だから! ……?」
 俺の言葉にティアナは言い返そうとする。
 しかし、途中で首を傾げた。
「こんなにも良い子なのに!」
「……?? まあ、分かってもらえたなら……」
 ティアナが不思議そうに呟く。しかし、事実だろう。
 ティアナが怖い思いをする必要なんて何もないんだ。
「どうして選ばれるんだ!?」
「え!? んー!? あれっ!?」
 ティアナの身を案じて叫ぶ。
 くそ、と右の拳を左の手の平に打ち付けた。
「一体、何を言ってるんですか!?
 兄さん、論理が破綻してますよっ!」
 ティアナが叫ぶ。
 俺が負けずに叫び返す。
「破綻してるもんか!
 ティアナが選ばれるなんて間違ってる!」
 俺の言葉を聞いて、ティアナは背中を向けて走り出した。
「わーん! 兄さんは酷いですよっ!」
「……?」
 珍しく子供っぽい様子で駆けていく。
 俺は良く分からずに首を傾げた。
 捨て台詞のようにティアナがさらに叫ぶ。
「三年生ではなく、二年生から選ばれるのは初めてなんですよっ!」
「優秀だな! 畜生ッ!」
「うわーん!」