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第百六十六話

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 ある程度のハンデとして一切の変身なしに戦うも、それでも並みのプロアスリートを超えた力を見せる、忍者との剣戟。
 ある程度鍛えてはいるエヴァであっても、忍び刀を受け止める腕が悲鳴を上げるほど。
「その力……只者じゃあない。並の身体では、忍者はやっていけないのでしょうね」
「ああ、少なくとも……メディアでよく言われている修行法などは眉唾ものだ。人知を超えた力を扱うためには、人知を超えた修行を重ねる以外にないのだ」
 咄嗟に鍛冶用小鎚を取り出し、刀の振りに合わせようとするも、うまく視点が合わないのだ。それは、間違いなく今この場に漂っている香りのせいである。
 刀の一撃を、もう一本のデュアルムラマサで受け止める。腕を捉える寸前であった。
 しかし、何とか一矢報いるべく、一対のデュアルムラマサの持ち手の間に超電流を流し、疑似的なヌンチャクへと変化。
 虚を突くべく手首のスナップで頭に向け振り回すも、危険と思われたためかすぐに後退される。
「我々に、特異な因子がある訳ではない。少なくとも、貴様ら英雄よりか弱き存在。弱いなら弱いなりに、頭を使った戦いをするべきだ。そう思わないかな、エヴァ殿」
「――ええ、実に理に適ってますね。腹が立つほどに」
 もとは短剣・短刀同士、二刀一対の武器であったが、デュアルムラマサに拡張性を生み出したのは他でもないエヴァ自身。人知を超えた使い方を以って対抗したのだが、結局は秀でた危機察知能力に阻まれる。
「――貴女は、変身しないので?」
「私のものは変身じゃあないんですよ、厳密には。第一私は……もう『そうじゃあない』ので」
 その言動に引っ掛かりを覚えた忍者であったが、そんなものお構いなしに刃のついた疑似的なヌンチャクを巧みに振りながら、雷を纏い迫るエヴァ。
 何とか攻撃を捌きながら立ち回るも、それぞれに強力な磁石でも付与されているのか、たとえ超電流の間に何かがあったとしても、それぞれが意志を持ったかのように自在に動き回る。
 しかし、お互いに決め手はない。そしてエヴァはその事実にほんの一瞬早く気が付いた。
 互いに後退する、その一瞬の隙に地面を小鎚で叩く。無数に生み出されるは、コンクリート製の太い腕が数十本。
 攻撃群を巧みに避けつつ、エヴァと無数の腕に向かって小型の爆弾を投げつける。だが、その腕は器用に複数の腕で包み込み、爆発の衝撃を全て殺すのだった。
「……変身しなくとも、我々を御せると考えたうえでの行動ですか」
「いや、単純に貴方から『真の敵意』を感じないだけです。それに・・・・・・生身の相手に数十トンの破壊力を有する装甲は、オーバースペックなだけです。肉ミンチになりたいなら話は別ですが」
 次第に幻を生み出す香りに適応し、一切のブレなく片方のムラマサを投擲するエヴァ。
 咄嗟に忍び刀を取り出し弾くも、無数の腕に隠れ迫るエヴァを感知しきれなかった。
「貴方は確かに強い。でも――」
 首元に当てられるは、魔力コントロールによって生み出された、チェーンソーのように無数の振動小刃を纏うもう片方のムラマサであった。
「真に敵に『なり切れなかった』のが、貴方の敗因です」
 忍者はただ無言になり、その場に忍び刀を落とし、諸手を挙げるのみであった。



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 ある程度のハンデとして一切の変身なしに戦うも、それでも並みのプロアスリートを超えた力を見せる、忍者との剣戟。
 ある程度鍛えてはいるエヴァであっても、忍び刀を受け止める腕が悲鳴を上げるほど。
「その力……只者じゃあない。並の身体では、忍者はやっていけないのでしょうね」
「ああ、少なくとも……メディアでよく言われている修行法などは眉唾ものだ。人知を超えた力を扱うためには、人知を超えた修行を重ねる以外にないのだ」
 咄嗟に鍛冶用小鎚を取り出し、刀の振りに合わせようとするも、うまく視点が合わないのだ。それは、間違いなく今この場に漂っている香りのせいである。
 刀の一撃を、もう一本のデュアルムラマサで受け止める。腕を捉える寸前であった。
 しかし、何とか一矢報いるべく、一対のデュアルムラマサの持ち手の間に超電流を流し、疑似的なヌンチャクへと変化。
 虚を突くべく手首のスナップで頭に向け振り回すも、危険と思われたためかすぐに後退される。
「我々に、特異な因子がある訳ではない。少なくとも、貴様ら英雄よりか弱き存在。弱いなら弱いなりに、頭を使った戦いをするべきだ。そう思わないかな、エヴァ殿」
「――ええ、実に理に適ってますね。腹が立つほどに」
 もとは短剣・短刀同士、二刀一対の武器であったが、デュアルムラマサに拡張性を生み出したのは他でもないエヴァ自身。人知を超えた使い方を以って対抗したのだが、結局は秀でた危機察知能力に阻まれる。
「――貴女は、変身しないので?」
「私のものは変身じゃあないんですよ、厳密には。第一私は……もう『そうじゃあない』ので」
 その言動に引っ掛かりを覚えた忍者であったが、そんなものお構いなしに刃のついた疑似的なヌンチャクを巧みに振りながら、雷を纏い迫るエヴァ。
 何とか攻撃を捌きながら立ち回るも、それぞれに強力な磁石でも付与されているのか、たとえ超電流の間に何かがあったとしても、それぞれが意志を持ったかのように自在に動き回る。
 しかし、お互いに決め手はない。そしてエヴァはその事実にほんの一瞬早く気が付いた。
 互いに後退する、その一瞬の隙に地面を小鎚で叩く。無数に生み出されるは、コンクリート製の太い腕が数十本。
 攻撃群を巧みに避けつつ、エヴァと無数の腕に向かって小型の爆弾を投げつける。だが、その腕は器用に複数の腕で包み込み、爆発の衝撃を全て殺すのだった。
「……変身しなくとも、我々を御せると考えたうえでの行動ですか」
「いや、単純に貴方から『真の敵意』を感じないだけです。それに・・・・・・生身の相手に数十トンの破壊力を有する装甲は、オーバースペックなだけです。肉ミンチになりたいなら話は別ですが」
 次第に幻を生み出す香りに適応し、一切のブレなく片方のムラマサを投擲するエヴァ。
 咄嗟に忍び刀を取り出し弾くも、無数の腕に隠れ迫るエヴァを感知しきれなかった。
「貴方は確かに強い。でも――」
 首元に当てられるは、魔力コントロールによって生み出された、チェーンソーのように無数の振動小刃を纏うもう片方のムラマサであった。
「真に敵に『なり切れなかった』のが、貴方の敗因です」
 忍者はただ無言になり、その場に忍び刀を落とし、諸手を挙げるのみであった。