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第百五十七話

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 その場を強く踏み出すと、全霊の拳が強大な狼男と化した灰崎の鳩尾を捉え、怯ませたと同時に腕を瞬時に掴み、遠くへ荒っぽく投げ飛ばす。そこはヤクザが集会を開く場所であったが、唐突に巨体が飛び込んできたためにパニック状態に。
「さあ、少しくらいは準備運動させてくれよ、ヤクザもん」
 呻いたのち、その場を強く蹴り跳躍。空中を蹴り飛ばし清志郎に高速接近。
 しかし、そのままの勢いを、たった一撃の肘打ちで墜落させる。
 めげることなく受け身を取り迫るも、結局はいなされる。
「――何だ、お前。誰もかれも犠牲にしないのな。こんな場所を取り仕切っている奴だ、血も涙もねえ奴だと思ったよ」
『俺だって人間だ、そういうことを拒否する心くらいある!』
 その言動に引っ掛かりを覚えた清志郎は、拳を繰り出すのが数瞬遅れた。
 その結果、フェイントを食らったため、怪人の巨体から繰り出されるパワフルな回し蹴りを食らってしまい、吹き飛んでしまう。
『俺は――この組を守りたいだけだ! そこに汚い欲望などない、純粋な生存欲だけだ』
「……そうかい。その言葉に……『嘘』はないな」
 吹き飛ばされ、宙で身動きが取れないはずの清志郎は、空中で身を捻り魔力で足場……否、小規模の壁を生成する。
 その場で踏ん張り、超高速で戦場へ帰還。速度の勢いを乗せた、ヘビーなストレートをガード越しに叩き込んだのだ。
「俺は……事前に情報を叩き込んできた。しかし……思ったよりもことは『複雑』らしい」
 それに、思考汚染を食らっているはずなのに、意思疎通に齟齬が生じていない。そのことが何よりもの疑問であった。
(この男は――おそらくこの案件のキーマンとなりうる存在かもしれない)
 瞬時に理解した清志郎は、ガードをもう一方の腕で荒々しく解き、即座にドライバー両端を押し込む。
 その後力を貯め込みながら、遥か上空へ蹴り上げる。
「悪いが、事はそうチンタラしていられない。これより、『誅罰』を執行する」
『超必殺承認! 狼王牙戟・一蹴(ウルフェンズ・ガンマストライク)!!』
 魔力を辺りに満ちさせ、清志郎の周囲の空間を歪ませ、更なる上空への射出準備は万端。
「――行くぞ、アイツとは違うから少しくらい加減はしてやる」
 まるで、トランポリンを限界まで沈み込んで、その反発で上昇するように。はるか上空に跳躍。そこから体勢を整え、二頭の狼と共に飛び蹴り。
 無数の予測演算能力によって数多の幻像が現れ、灰崎を惑わす。太い腕を振るってその未来をふいにするも、すぐさま次の未来が押し寄せるように怒涛かつ無数の攻撃を繰り出す。
 幻像が、次第に形を持った実体へ。それらが宙へと灰崎を完全固定、そこに本来の清志郎の飛び蹴りが超高速着弾。
 一切の緩衝材なしな中、高速で蹴り飛ばされ、グレープ・フルボディの強固な壁に叩きつけられる。その場全体が、巨大地震が起きたほどに激しく揺れた。
「……久しぶりだし、少しくらいはまともな運動したかったんだけどね」
 それほどの衝撃でありながら、変身解除された灰崎は未だ息があった。手加減という言葉に、嘘偽りはなかった。



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 その場を強く踏み出すと、全霊の拳が強大な狼男と化した灰崎の鳩尾を捉え、怯ませたと同時に腕を瞬時に掴み、遠くへ荒っぽく投げ飛ばす。そこはヤクザが集会を開く場所であったが、唐突に巨体が飛び込んできたためにパニック状態に。
「さあ、少しくらいは準備運動させてくれよ、ヤクザもん」
 呻いたのち、その場を強く蹴り跳躍。空中を蹴り飛ばし清志郎に高速接近。
 しかし、そのままの勢いを、たった一撃の肘打ちで墜落させる。
 めげることなく受け身を取り迫るも、結局はいなされる。
「――何だ、お前。誰もかれも犠牲にしないのな。こんな場所を取り仕切っている奴だ、血も涙もねえ奴だと思ったよ」
『俺だって人間だ、そういうことを拒否する心くらいある!』
 その言動に引っ掛かりを覚えた清志郎は、拳を繰り出すのが数瞬遅れた。
 その結果、フェイントを食らったため、怪人の巨体から繰り出されるパワフルな回し蹴りを食らってしまい、吹き飛んでしまう。
『俺は――この組を守りたいだけだ! そこに汚い欲望などない、純粋な生存欲だけだ』
「……そうかい。その言葉に……『嘘』はないな」
 吹き飛ばされ、宙で身動きが取れないはずの清志郎は、空中で身を捻り魔力で足場……否、小規模の壁を生成する。
 その場で踏ん張り、超高速で戦場へ帰還。速度の勢いを乗せた、ヘビーなストレートをガード越しに叩き込んだのだ。
「俺は……事前に情報を叩き込んできた。しかし……思ったよりもことは『複雑』らしい」
 それに、思考汚染を食らっているはずなのに、意思疎通に齟齬が生じていない。そのことが何よりもの疑問であった。
(この男は――おそらくこの案件のキーマンとなりうる存在かもしれない)
 瞬時に理解した清志郎は、ガードをもう一方の腕で荒々しく解き、即座にドライバー両端を押し込む。
 その後力を貯め込みながら、遥か上空へ蹴り上げる。
「悪いが、事はそうチンタラしていられない。これより、『誅罰』を執行する」
『超必殺承認! |狼王牙戟・一蹴《ウルフェンズ・ガンマストライク》!!』
 魔力を辺りに満ちさせ、清志郎の周囲の空間を歪ませ、更なる上空への射出準備は万端。
「――行くぞ、アイツとは違うから少しくらい加減はしてやる」
 まるで、トランポリンを限界まで沈み込んで、その反発で上昇するように。はるか上空に跳躍。そこから体勢を整え、二頭の狼と共に飛び蹴り。
 無数の予測演算能力によって数多の幻像が現れ、灰崎を惑わす。太い腕を振るってその未来をふいにするも、すぐさま次の未来が押し寄せるように怒涛かつ無数の攻撃を繰り出す。
 幻像が、次第に形を持った実体へ。それらが宙へと灰崎を完全固定、そこに本来の清志郎の飛び蹴りが超高速着弾。
 一切の緩衝材なしな中、高速で蹴り飛ばされ、グレープ・フルボディの強固な壁に叩きつけられる。その場全体が、巨大地震が起きたほどに激しく揺れた。
「……久しぶりだし、少しくらいはまともな運動したかったんだけどね」
 それほどの衝撃でありながら、変身解除された灰崎は未だ息があった。手加減という言葉に、嘘偽りはなかった。