三人掛けの木製ベンチに二人。間に腕が当たらない程度の距離を空けて座り、通りかかる人たちを何となく眺めながら話を進めた。
「あのさ、加賀見の従兄ってどんな人? 俺のほうは良い距離で話せる兄さんって感じだけど」
わざと空気を読まない発言をしたせいか、加賀見がまた苦い顔をした。
「……ちょっと捻くれてる。斜に構えているところがあるけど憎めない」
答えてくれたのは良いけど、その性格は今の彼女自身のことではないかと思えた。返す言葉に困る。
影響されたのか、とはさすがにきけない。桜に関する話も微妙なところだけどそれを言っていると何も進まない。それ以前に桜から始まっているのだから、と視界に入る花を見ながら質問を投げた。
「桜に詳しかったのはその……何か研究でもしてたのか?」
「ただ個人的に。何で調べたのか理由までは知らない」
きいておけばよかった、と後悔を口にした彼女は分かりやすく寂しげだった。
「難しいけど、誰が相手でも話せるうちに何でも話すのが良いんだろうな」
本当に必要なことは単純かつ難しくできているのかもしれない、といつになく真面目なことを思う。
けど、思うだけで終わりだ。実際にはそこまでオープンになれない。
「理想論だけど」
「……やっぱり似てる」
視線を合わせないまま言うと呟きが返ってきた。
「……ならここにいないほうがいいか」
俺は気付けばそう言っていた。
「別に。どちらでも」
「それが一番困る」
「なら、もう少しだけ」
「分かった」
いるだけだ。加賀見も黙っている。