会社と自宅の平穏な日常を過ごす江藤あずさ。高校卒業してからOLとして働いて気が付いたら22歳。趣味は特にないけど自己啓発の書物には興味を持ち読むことも時々している程度。休みの日は姉とジョギングするくらいだ。「あぁーもお、22歳かぁー。結婚私するかな、出来るかな・・・」なんて、ふと思っていたりもする。友人に誘われて、婚活パーティーに参加した。はじめての事で戸惑い結局前進、変化もないままだ。その後3~5回くらい婚活に挑んでみたがやっぱり苦手なあずさ。そうしているうちに、25歳の誕生日が近づいていた。そんな折叔母の息子から友人を紹介される。あずさは軽い気持ちで"まあ、ご縁でしょ"くらいな感じだった。連絡先を交換しあれよあれよという間に交際がスタートしていた。彼は建築関係の仕事真面目・明るい・シャイ・夢も持っている、そんな彼に気が付いたら惹かれていたことに自分でも驚いた。そして、5年の交際を経て結婚し苗字は、黒沼くろぬまあずさになった。アパートを借りて新婚生活のはじまり。寿退社したので、続けたらよかったかなと振り返ることもあった。旦那と相談し就活することになり面接が決まり、内定の連絡届き、とんとん拍子事が運んだのだ。
そして結婚後初めての職場。ドキドキしながら説明を受ける。あずさ以外に2名棚山咲紀たなやま さき・多脇有子たわき ゆうこの3人が入社し、同じ部署で働くことになる。同期入社3人が同じ部署になることは珍しく初心者同士の結合というか、助け合いながら就業生活を送るあずさ、咲紀、有子だ。生産部署に配属された三人。そして、三人は職場で助け合い、支えあい、認め合い、トラブルが起きても一所に乗り越えることができたのだったそれには"臨機応変"があったからだと・・・。プライベートでも悩み事なども相談できるまでの間柄に自然になっていた。結婚後の初めての親友。
そんな4月のある日、黒沼あずさは部署移動を告げられる。検品・梱包・伝票・出荷部署だ。雰囲気が独特であると噂で聞いたことがあったことを思い出した。特に梱包部は何やらルールがあるのだが、そんなことは知らされることなく、4月15日~移動が決定している。この先も一所に仕事できると思っていた三人だが異動が残念でならない。部署移動とは言え業務内容があずさにとって"新規"であることに変わりはない。生産部署は"お互い様"という空気があった。梱包部署は果たしてあるのか?と心で疑問が浮いていた。
異動一日目ドキドキで始まる仕事まず顔と名前が一致していない。朝礼で、紹介され"よろしくお願いします"と言うのが精いっぱい。仕事の流れを聞きながら実践しながら塚村さんに教えてもらって、休憩のチャイムが聞こえなく肩をトントンと叩かれ、はっとする。「休憩だよ」と声をかけていただいき、「すみません、ありがとうございます」とあずさは返したのだが・・・どうも相手の方には届かずだった。そう、少し風邪気味で、マスクをしていて自分の声もモワンとなっていてしっかり声が出ているのかさえも微妙だった。部署初日はあっという間に業務終了。2日目3日目・・・目の前にある仕事をこなすことで精一杯なあずさ、周りの方々に手伝ってもらっていることさえ気が付くことができなかったのである。そんな中、1週間出勤した後、発熱で3日欠勤する。
あずさ「おはようございます」従業員「おはよう、体調どう?」あずさ「ありがとうございます、熱は下がりました。耳鳴りが少しありますが」と会話した。休憩室の隅でこそこそ何やら話している様子を見て見ぬふりをして休憩室を出た。何だろう自分の事を言っているのか、わからないけど何か雰囲気が違うような気がしたが、時間は止まらない仕事の時間になり、準備に取り掛かり仕事が開始される。そしてルーティーンが何となくわかりつつ、生活のリズムも慣れ始めていた数日後の朝、管理長「おはようございます、黒沼さんちょっといいかな」あずさ「はい」ドキッとした、何か失敗したのかと・・・・・管理長「挨拶交流はしているよね」と尋ねられる。あずさ「はい、挨拶してますけど何かあったんですか?」管理長「挨拶しない、している、ということを耳にしたので、直接本人に確認、そうよね、勘違いかしら。私にはしているのに何でかと思ったので・・・呼び止めてごめんなさいね」あずさ「はぃ、あのー実は耳鳴りもあって、自分の声も聞こえにくいので、そのせいで挨拶できてないことになってしまったのかもしれないです。」管理長「それは、それでいいから、今まで通りでいいから気にしないで」あずさの心は?が飛び交っていたが、あっ耳もモワンとして耳鳴りもあり、声も届きにくいのかと思っていたが、冷静に考えたとしたら言った、言わんの問題?驚きしかなかった。次の日からは、出勤したらあいさつ、とにかく挨拶と心で念じ気を遣っていた。トイレですれ違った時、お疲れ様ですと声が聞こえあわてて、あずさも"お疲れ様です"と返信した。生産部では言ってた?と不意に思ったが記憶がない。梱包部署は言うのが通常なんだと・・・慣れれば何とかなるのか、生産部署ではそんなことは言われなかったし、言いそびれたとしても、追及されることも、尋ねられることもなかったからだ3カ月が過ぎ、まだまだ、業務上では戸惑うところもあるあずさだけど、一つ一つできることが増えてきた。流れ的にも分かるようになっていた。そんなある時、はさみと糊を定位置に片付けてもらっていたことに気づく余裕もなかったのだ。そんな様子を見ていた日比野さんがあずさに近寄って「高橋さん、はさみと糊かたづけていただいてありがとう」って言ってきてください、片付けてもらったんでしょ、と言われたときには、言われるままに、高橋さんにお礼を伝えたあずさ同時に小さい子がお菓子など貰って、御礼を恥ずかしそうにしているとき親に"ありがとう"って言い忘れてるよ、ほら、と教える場面が浮かんだ。高橋さんは、"ついでがあったから"と告げた。その後、梱包時に必須の書類の用意や、記入箇所を手伝っていたただいていることに、はっとした。あ、ここも含めて一括りなのね・・・・とビニール袋を用意してもってきてくれた、峰際さんに、あずさは"ありがとうございます、助かりました"と言い添えた。微笑みを返し無言だった。時には、"お互い様だから"と返事が聞こえることもあった。名前はわからない。
してもらったこと、助けてもらったこと、補助してもらったことは感謝しかない。「ありがとうございます」のお礼の一言も大切。仕事中の出来事で、言える余裕がない時もあることもある。他のみんなは、どう感じ、どう思うのだろうか?
"言った・言わん"に巻き込まれ、疑問にも思うが、道徳に正解はない。道徳には認め合い・赦し合・助け合い・お互い様という気持ち、意識が必要と思っている。でも、他人に強制はしない。あずさの思考だから。
こんな情景は日常いつでも、どこにでも見え隠れし遭遇する可能性はあるはずなのだ。もし似たような事に遭遇したとき、あなたの心のジャッジはどうですか?さらりと切り替えできるタイプちょっとひっかかるタイプ言い返すタイプ自分のプラスに受け止めるタイプ受け止め方は多々あり。
あずさは心の益プラスになるように自身を向上させて日常を送っている。数年後・・・副リーダとして総合的に慕われ活躍している。社内では講演会(向上する会)を大勢の従業員希望により開催され、反響を得ている。