第三部 77話 もう一回
ー/ー「今が良いと思う。ニナさん」
「……ええ、行きましょう」
夕方だった。ここまではナタリーの狙い通りに運んでいる。
遠くで、王国の騎兵を追って帝国軍が進軍している様子が見えた。
俺たちは帝国軍の背後を横切るような形で帝国軍の本営へと馬を走らせる。
セシリーの使い魔である犬型の魔物、ブラッドが並走していた。
まだ『エリーナ・コルト』を除いても数百程度の兵力はあるかもしれない。
しかし――
「そのまま、止まらずに!
ここからは時間との勝負よ!」
――ナタリーの言葉に全員が頷いた。
こちらは『準A級パーティ』と『A級冒険者』だ。
終いには『騎士団長』『魔術師団副団長』までいる。
上層部だけであれば制圧する力は十分にあるだろう。
混乱している間に辿り着けば勝ち、という話だ。
「あはは! やっちゃえ!」
「……アリス、こういうの好きだよね」
楽しそうに叫んだアリスに加奈が苦言を呈した。
いや、本当に楽しそうだなぁ。
「よし、やりますか」
セシリーが矢のような魔弾をいくつも作り出す。
そのまま、野営地の上空へと放った。弧を描きながら落ちてゆく。
「……な」
思わず目を見張る。
矢が地面に落ちるたび、巨大な火柱が上がったのだ。
あれは……。
ブラウン団長が使っていた遠隔の魔法陣?
「へぇ……パパの応用だ。矢の先端が魔法陣を描いてるのね」
「そして矢全体の魔力で起動してる?」
アリスと加奈が感心した声を上げる。
流石に仕組みはすぐに分かったらしい。
そして、いよいよこれから突っ込むという段階になって――現れた。
野営地の前で立ちはだかるように出てきたのは『エリーナ・コルト』だった。
「まったく騒がしいじゃないか」
そう言って、前を進むニナとセシリーに赤い本を向けた。
俺は馬から飛び降りると、障壁を二度三度と蹴りつける。
さらに腰の小剣を右手で抜き払う。
同時に魔弾を飛ばし、一緒になって突っ込んだ。
軽い舌打ちと一緒に風の魔法が発動して全てがいなされる。
おそらく攻撃の魔法から咄嗟に切り替えたのだろう。
その隙にニナとセシリーが野営の中へと入っていく。
さらに俺の後ろを走っていたナタリーとアリスも抜けようとする。
「それは許せないな」
エリーナが赤い本をナタリーの背に向ける。
そのまま例の青白い炎が走った。
「許してもらわないと困るわ」
その前にソフィアが飛び出す。
すぐさまリックを盾に錬金すると炎を防ぐ。
俺とソフィアがエリーナと対峙した。
エリーナを止める役は俺とソフィアに決定していた。
戦闘経験が一番多いからと、あまり多くの人を割きたくなかったためだ。
本来なら二人では厳しい。それでも少しの間なら何とかなる。
……足止めならば殺さなくても良いしな。
逆にニナとセシリー、ナタリーアリスとミアは司令部の制圧へと向かう。
不測の事態を考えれば、妥当なところだろう。返り討ちになっては笑えない。
驚いたことにナタリーは鬼がいる可能性すら考えていたらしい。
クーデター繋がりで警戒しているようだった。流石に考えすぎだと思うが……。
「頼んだよー!」
ナタリーの暢気な叫び声がした。
俺たちはすぐさま叫び返す。
「いいなッ! 十五分だぞ! それ以上は保たないからな!?」
「それ以上経ったら私たちを殺すと思いなさいっ!?」
実際のところ、笑いごとではない。
……十五分で全部出し切るつもりだった。
「……ええ、行きましょう」
夕方だった。ここまではナタリーの狙い通りに運んでいる。
遠くで、王国の騎兵を追って帝国軍が進軍している様子が見えた。
俺たちは帝国軍の背後を横切るような形で帝国軍の本営へと馬を走らせる。
セシリーの使い魔である犬型の魔物、ブラッドが並走していた。
まだ『エリーナ・コルト』を除いても数百程度の兵力はあるかもしれない。
しかし――
「そのまま、止まらずに!
ここからは時間との勝負よ!」
――ナタリーの言葉に全員が頷いた。
こちらは『準A級パーティ』と『A級冒険者』だ。
終いには『騎士団長』『魔術師団副団長』までいる。
上層部だけであれば制圧する力は十分にあるだろう。
混乱している間に辿り着けば勝ち、という話だ。
「あはは! やっちゃえ!」
「……アリス、こういうの好きだよね」
楽しそうに叫んだアリスに加奈が苦言を呈した。
いや、本当に楽しそうだなぁ。
「よし、やりますか」
セシリーが矢のような魔弾をいくつも作り出す。
そのまま、野営地の上空へと放った。弧を描きながら落ちてゆく。
「……な」
思わず目を見張る。
矢が地面に落ちるたび、巨大な火柱が上がったのだ。
あれは……。
ブラウン団長が使っていた遠隔の魔法陣?
「へぇ……パパの応用だ。矢の先端が魔法陣を描いてるのね」
「そして矢全体の魔力で起動してる?」
アリスと加奈が感心した声を上げる。
流石に仕組みはすぐに分かったらしい。
そして、いよいよこれから突っ込むという段階になって――現れた。
野営地の前で立ちはだかるように出てきたのは『エリーナ・コルト』だった。
「まったく騒がしいじゃないか」
そう言って、前を進むニナとセシリーに赤い本を向けた。
俺は馬から飛び降りると、障壁を二度三度と蹴りつける。
さらに腰の小剣を右手で抜き払う。
同時に魔弾を飛ばし、一緒になって突っ込んだ。
軽い舌打ちと一緒に風の魔法が発動して全てがいなされる。
おそらく攻撃の魔法から咄嗟に切り替えたのだろう。
その隙にニナとセシリーが野営の中へと入っていく。
さらに俺の後ろを走っていたナタリーとアリスも抜けようとする。
「それは許せないな」
エリーナが赤い本をナタリーの背に向ける。
そのまま例の青白い炎が走った。
「許してもらわないと困るわ」
その前にソフィアが飛び出す。
すぐさまリックを盾に錬金すると炎を防ぐ。
俺とソフィアがエリーナと対峙した。
エリーナを止める役は俺とソフィアに決定していた。
戦闘経験が一番多いからと、あまり多くの人を割きたくなかったためだ。
本来なら二人では厳しい。それでも少しの間なら何とかなる。
……足止めならば殺さなくても良いしな。
逆にニナとセシリー、ナタリーアリスとミアは司令部の制圧へと向かう。
不測の事態を考えれば、妥当なところだろう。返り討ちになっては笑えない。
驚いたことにナタリーは鬼がいる可能性すら考えていたらしい。
クーデター繋がりで警戒しているようだった。流石に考えすぎだと思うが……。
「頼んだよー!」
ナタリーの暢気な叫び声がした。
俺たちはすぐさま叫び返す。
「いいなッ! 十五分だぞ! それ以上は保たないからな!?」
「それ以上経ったら私たちを殺すと思いなさいっ!?」
実際のところ、笑いごとではない。
……十五分で全部出し切るつもりだった。
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