前世のいもむし
ー/ー キャベツが好きな私の前世はきっとウサギに違いない。私はそう信じている。
前世の私の夢は、おなか一杯キャベツを食べることだった。だから、私は生まれ変わってもキャベツが好きで、毎日のようにしてキャベツを食べているのだ。朝ごはんはキャベツスープだし、お昼ごはんにも主催と一緒にキャベツのサラダを付ける。夕飯もキャベツを使ったご飯に決めている。
ロールキャベツも、キャベツのお浸しも、ザワークラウトも好き。でも、一番好きなのは味噌マヨネーズを付けて生でキャベツを食べている時だ。春はキャベツが柔らかいからとても嬉しい。穏やかにキャベツを食べられる日々は、私にとって幸せな時間だった。
「あー、美味しい~!」
その日もキャベツを食べて眠りについた。
私は夢の中でいもむしになっていた。短いいくつもの手足で、私は丸いキャベツの上をのそのそと歩いていたのである。青い空には白い雲が浮かんで、風がそよそよと流れている。外敵はおらず、他にも同じようないもむしがキャベツの葉の上でのそのそと移動をしていた。私は、私が前世の夢を見ているのだとすぐにわかった。
どうやら私の前世は愛らしいウサギではなかったらしい。私は人間の指先ほどのモンシロチョウの幼虫だったのである。小さな緑色のか弱いいもむしだったのだ。
がーん、とショックを受けたものの、私はすぐに立ち直った。なぜなら、周囲にはたくさんのキャベツがあったからだ。ウサギだろうが、いもむしだろうが、どちらでもよかった。目の前にたくさんのキャベツ。外敵はいない。今なら、おなか一杯キャベツを食べることができるに違いない。
夢の中で私はキャベツを食べ始めた。前世では、鳥に食べられそうになったり、人間に踏まれそうになったりする恐ろしい日々を過ごしていが、この夢の中で、私は安全にキャベツを食べることができる。穏やかな世界で思う存分食べる春キャベツは美味しい。柔らかな葉をもぐもぐと食み、腹が膨れれば繊維質な糞を出す。お腹がすけば、再びキャベツを噛んで食べることを繰り返す。
周囲にはたくさんのキャベツがあった。ここはどうやらキャベツ畑らしい。私はバイキングに参加しているかのように、毎日違うキャベツの上で、柔らかい葉っぱをもぐもぐ食べた。
甘くて柔らかいキャベツを食べながら空を見上げる。いつかモンシロチョウになって、晴れた空に向かって羽ばたきたいと思う。
大好きなキャベツと明るい未来。私はそんな幸福な夢を見ていた。
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キャベツが好きな私の前世はきっとウサギに違いない。私はそう信じている。
前世の私の夢は、おなか一杯キャベツを食べることだった。だから、私は生まれ変わってもキャベツが好きで、毎日のようにしてキャベツを食べているのだ。朝ごはんはキャベツスープだし、お昼ごはんにも主催と一緒にキャベツのサラダを付ける。夕飯もキャベツを使ったご飯に決めている。
ロールキャベツも、キャベツのお浸しも、ザワークラウトも好き。でも、一番好きなのは味噌マヨネーズを付けて生でキャベツを食べている時だ。春はキャベツが柔らかいからとても嬉しい。穏やかにキャベツを食べられる日々は、私にとって幸せな時間だった。
「あー、美味しい~!」
その日もキャベツを食べて眠りについた。
私は夢の中で《《いもむし》》になっていた。短いいくつもの手足で、私は丸いキャベツの上をのそのそと歩いていたのである。青い空には白い雲が浮かんで、風がそよそよと流れている。外敵はおらず、他にも同じようないもむしがキャベツの葉の上でのそのそと移動をしていた。私は、私が前世の夢を見ているのだとすぐにわかった。
どうやら私の前世は愛らしいウサギではなかったらしい。私は人間の指先ほどのモンシロチョウの幼虫だったのである。小さな緑色のか弱いいもむしだったのだ。
がーん、とショックを受けたものの、私はすぐに立ち直った。なぜなら、周囲にはたくさんのキャベツがあったからだ。ウサギだろうが、いもむしだろうが、どちらでもよかった。目の前にたくさんのキャベツ。外敵はいない。今なら、おなか一杯キャベツを食べることができるに違いない。
夢の中で私はキャベツを食べ始めた。前世では、鳥に食べられそうになったり、人間に踏まれそうになったりする恐ろしい日々を過ごしていが、この夢の中で、私は安全にキャベツを食べることができる。穏やかな世界で思う存分食べる春キャベツは美味しい。柔らかな葉をもぐもぐと食み、腹が膨れれば繊維質な糞を出す。お腹がすけば、再びキャベツを噛んで食べることを繰り返す。
周囲にはたくさんのキャベツがあった。ここはどうやらキャベツ畑らしい。私はバイキングに参加しているかのように、毎日違うキャベツの上で、柔らかい葉っぱをもぐもぐ食べた。
甘くて柔らかいキャベツを食べながら空を見上げる。いつかモンシロチョウになって、晴れた空に向かって羽ばたきたいと思う。
大好きなキャベツと明るい未来。私はそんな幸福な夢を見ていた。