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第三部 67話 貴重な意見

ー/ー



「うわぁ!」

 情けない声と一緒に俺たちはどさっと重なり合うように関所の入口に倒れ込んだ。
 さらに一斉に振り返っては叫ぶ。

「早く閉めて閉めて!」

 去ってゆくエリーナの背中が見えているにも関わらず、全員で門を閉じた。
 いや、違う。一人を除いて、だ。

「すぴー」
「なんであんたは寝てるのよ!?」

 ナタリーがアリスの頭をスパンと叩いた。
 ここまで俺が引っ張って来たのだ。

「いやいや、落馬して頭を打ったんだよ」
「ぐ……分かってる。でも、あまりにも寝顔が安らかだから」

 仕方ないと言う俺の言葉でナタリーが項垂れた。
 まあ、確かに気持ちよさそうに寝ているけどさ。
 ……心配する気も失せるほどに。

「……相変わらずだな」
「ブラウン団長!」

 背後から聞こえた声に振り返る。
 やはりそこには『魔術師団長』ブラウン・バケットが立っていた。

 隣には銀髪碧眼のハーフエルフ。
 セシルによく似たあの外見……セシリーか!?

「助かりました」
「いや、ここまで良く来たものだな」

 驚く俺を他所にミアがブラウン団長に頭を下げていた。
 ブラウン団長は軽く微笑みながら続ける。

「早速で悪いが、付いてきてほしい。
 少しでも早く情報の共有がしたい」



 ブラウン団長に連れてこられた先は大きなテントだった。
 全員で中に入ると「う」と小さく言葉が漏れた……昔も似たような状況があった気がするな。
 ちなみに、アリスはすでに叩き起こしている。

 テントの中にいたのは騎士団からは『騎士団長』ニナ・ローズ。
 かつての『三番隊隊長』クロード・ベルク。

 自分の席へと戻っていくのは魔術師団の『魔術師団長』ブラウン・バケット。
 同じく『魔術師団副団長』セシリー・ルイス。

 組合……つまり、俺たちの上司として『組合長』ギルバート・アンドリュー。
 さらに冒険者組合から『スキルマスター』ラルフ・コーネル。

「よぉ、よく来たな」
「酷い言い草っすねぇ……」

 最初に口を開いたのは組合長。
 ミアが項垂れるように返事をした。一番こき使われているから仕方ない。

「とりあえず、ここまでのいきさつを説明してもらえるかな」
「はい」

 ラルフの言葉にナタリーが代表して答えた。
 一つ一つ要点から説明していく。

「……なるほど。話は分かりました」
「死ななかっただけで奇跡だと思うがね」

 話が終わるとニナとクロードが苦笑するように頷いた。
 生きてることを不思議がらないでほしい。
 ……今はクロードが『一番隊副隊長』ということだろう。

「次はこちらからの情報も共有しておこう。伝わっていないのだろう?」
「はい。こちらからの伝令はすれ違ったようです」

 ブラウン団長とセシリーが後を継ぐ。
 ? 何かあったのだろうか?

「ああ。簡単に言えば、連合でも動きがある」
「! 帝国と協力しているということですか?」

 ブラウン団長の言葉にミアが訊く。しかし無理もない。
 帝国だけでも厄介なのに、連合と手を組まれては太刀打ちできない。
 言ってしまえば、三国が睨み合っていたからバランスを保っていたのだ。

「そこまでは分からねぇよ。だが、国境付近に兵を集めているんだろ?」
「ええ。そこまでは複数の情報から確認できています。
 逆に言えば、それ以上の情報は未確認です」

 組合長の言葉にラルフが頷いた。
 協力関係とは言えないような気がする。あまりにも連携がちぐはぐだ。

「とにかく、帝国から侵攻されている状態です。早く追い出す必要がある」
「その通り。そこで『悪戯娘』に意見を聞きたい」
「? あたしですか?」

 ニナと組合長の言葉にナタリーが目を丸くした。
 意見を聞かれるとは思っていなかったのだろう。

「ああ。ここまで逃げてきた実績があるからな? どうだ、何か案はあるか?」
「…………」

 ナタリーはしばらくの間、顎に手を置いて考える。
 そして、ゆっくりと言葉を続けていった。

「帝国はここまで攻めてきています」
「ああ、それは知っているよ」

 組合長が軽く笑って応じる。
 しかし、ナタリーは気にした風もなく続けていく。

「そうです。あたしたちを追ってここまで来てしまった。
 どう考えても攻めすぎている。望み通り正面から迎え撃てば良い」

 小さく息を呑んだ音。
 それはナタリーをよく知るセシリーだったか。

「あたしなら同時に帝国の司令部を叩く。
 ああ、あの人の言う通りだね……確かに頭から潰すのが正しい」

 そうか。
 だから執拗にナタリーを狙ったのだ。



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「うわぁ!」
 情けない声と一緒に俺たちはどさっと重なり合うように関所の入口に倒れ込んだ。
 さらに一斉に振り返っては叫ぶ。
「早く閉めて閉めて!」
 去ってゆくエリーナの背中が見えているにも関わらず、全員で門を閉じた。
 いや、違う。一人を除いて、だ。
「すぴー」
「なんであんたは寝てるのよ!?」
 ナタリーがアリスの頭をスパンと叩いた。
 ここまで俺が引っ張って来たのだ。
「いやいや、落馬して頭を打ったんだよ」
「ぐ……分かってる。でも、あまりにも寝顔が安らかだから」
 仕方ないと言う俺の言葉でナタリーが項垂れた。
 まあ、確かに気持ちよさそうに寝ているけどさ。
 ……心配する気も失せるほどに。
「……相変わらずだな」
「ブラウン団長!」
 背後から聞こえた声に振り返る。
 やはりそこには『魔術師団長』ブラウン・バケットが立っていた。
 隣には銀髪碧眼のハーフエルフ。
 セシルによく似たあの外見……セシリーか!?
「助かりました」
「いや、ここまで良く来たものだな」
 驚く俺を他所にミアがブラウン団長に頭を下げていた。
 ブラウン団長は軽く微笑みながら続ける。
「早速で悪いが、付いてきてほしい。
 少しでも早く情報の共有がしたい」
 ブラウン団長に連れてこられた先は大きなテントだった。
 全員で中に入ると「う」と小さく言葉が漏れた……昔も似たような状況があった気がするな。
 ちなみに、アリスはすでに叩き起こしている。
 テントの中にいたのは騎士団からは『騎士団長』ニナ・ローズ。
 かつての『三番隊隊長』クロード・ベルク。
 自分の席へと戻っていくのは魔術師団の『魔術師団長』ブラウン・バケット。
 同じく『魔術師団副団長』セシリー・ルイス。
 組合……つまり、俺たちの上司として『組合長』ギルバート・アンドリュー。
 さらに冒険者組合から『スキルマスター』ラルフ・コーネル。
「よぉ、よく来たな」
「酷い言い草っすねぇ……」
 最初に口を開いたのは組合長。
 ミアが項垂れるように返事をした。一番こき使われているから仕方ない。
「とりあえず、ここまでのいきさつを説明してもらえるかな」
「はい」
 ラルフの言葉にナタリーが代表して答えた。
 一つ一つ要点から説明していく。
「……なるほど。話は分かりました」
「死ななかっただけで奇跡だと思うがね」
 話が終わるとニナとクロードが苦笑するように頷いた。
 生きてることを不思議がらないでほしい。
 ……今はクロードが『一番隊副隊長』ということだろう。
「次はこちらからの情報も共有しておこう。伝わっていないのだろう?」
「はい。こちらからの伝令はすれ違ったようです」
 ブラウン団長とセシリーが後を継ぐ。
 ? 何かあったのだろうか?
「ああ。簡単に言えば、連合でも動きがある」
「! 帝国と協力しているということですか?」
 ブラウン団長の言葉にミアが訊く。しかし無理もない。
 帝国だけでも厄介なのに、連合と手を組まれては太刀打ちできない。
 言ってしまえば、三国が睨み合っていたからバランスを保っていたのだ。
「そこまでは分からねぇよ。だが、国境付近に兵を集めているんだろ?」
「ええ。そこまでは複数の情報から確認できています。
 逆に言えば、それ以上の情報は未確認です」
 組合長の言葉にラルフが頷いた。
 協力関係とは言えないような気がする。あまりにも連携がちぐはぐだ。
「とにかく、帝国から侵攻されている状態です。早く追い出す必要がある」
「その通り。そこで『悪戯娘』に意見を聞きたい」
「? あたしですか?」
 ニナと組合長の言葉にナタリーが目を丸くした。
 意見を聞かれるとは思っていなかったのだろう。
「ああ。ここまで逃げてきた実績があるからな? どうだ、何か案はあるか?」
「…………」
 ナタリーはしばらくの間、顎に手を置いて考える。
 そして、ゆっくりと言葉を続けていった。
「帝国はここまで攻めてきています」
「ああ、それは知っているよ」
 組合長が軽く笑って応じる。
 しかし、ナタリーは気にした風もなく続けていく。
「そうです。あたしたちを追ってここまで来てしまった。
 どう考えても攻めすぎている。望み通り正面から迎え撃てば良い」
 小さく息を呑んだ音。
 それはナタリーをよく知るセシリーだったか。
「あたしなら同時に帝国の司令部を叩く。
 ああ、あの人の言う通りだね……確かに頭から潰すのが正しい」
 そうか。
 だから執拗にナタリーを狙ったのだ。