第18話 吉村刑事2
ー/ー
20世紀のいつか、良子大学1、芳子大学1、明彦大学2、雅子大学3
ファンファンの自宅の電話番号は無理矢理メモさせられたが、まさか、俺から電話するわけにもいかない。いや、決して電話したいってわけじゃない。俺は刑事だ。未成年の女子高生に電話して何を話すっていうんだ?だが、ファンからは頻繁に連絡があった。俺の自宅、勤務先の番号を強引に聞かれて教えた。
去年の秋から年末まで、数日おきに、自宅にかかってきた。とりとめのない話をして、デートに誘われる。流石に彼女も気を使ってくれて、主に東京で会った。買い物につきあわされたり、美術館に行ったり、食事をして。2回に1回は、ホテルに泊まる。9才年上のしかも刑事の俺と会って何がいいんだろう?
特に年末は、毎週会った。どこにも行かず、ホテルに直行。最近、会う頻度が多いのはなぜなんだ?と聞くと、だって、私、来年受験なんだよ?年が明けたら、会えないじゃない?だから、いっぱいしておくのよ、と言う。
秋口から年末まで、14回ほど会って、その内8回セックスした。いや、俺からじゃない。彼女にせがまれたのだ。そういうことにしておこう。セックスするたびに相性がよくなっていって、お互いの体がなじんでいく。おいおい、刑事がマフィアの未成年の娘に溺れていいのか?
年が明けて、パッタリとファンファンから連絡がなくなった。受験勉強が忙しんだろう。俺はちょっとホッとした。流石にこの関係はマズイ。ま、電話くらいしてくれたっていいだろう、と思っちゃいけない。これで自然消滅。万々歳だ。よかった。たぶんそうだ、よかったんだ。
大学入試の季節も終わった。受かったんだから落ちたんだか、連絡がない。ま、これでいいんだと俺は思っていた。
それが、半年も経って、急に、それも職場に電話だ。いったん別れて諦めた女とヨリが戻った気分だ。
伊勢佐木町本通りから一本隔てた通りのラブホを見て回る。何を熱心に選んでいるんだろう?さっさと入りたい。人目を気にしてしまう。女子高生から女子大生に昇格したとはいえ、まだ19才の未成年だ。もちろん、18才未満とは違うんだが、やはり『未成年!』は心理的にダメだ。しかもマフィアの家の娘なのだ。
「浩司、ここだ!」とやっとホテルを決めてくれた。なんの違いがあるのかわからないが、ここだ!というならここでいい。さっさと入ろう。と、入ったはいいが、今度はエントランスで、掲示されている各部屋の写真を見ている。「う~ん、ちょっとまとも過ぎる・・・あ!変態っぽい!・・・電動ベッド?」お~い、どこでもいいから決めてくれ!「ねえ、浩司、SM部屋があるよ?私を鞭で叩きたい?」とかラブホのエントランスで普通の声で聞かないで欲しい。
普通でいい、ファンファン、普通にしよう、と説得して、比較的まともな部屋を選ばせた。2時間ご休憩の料金を払って、そそくさと鍵を受け取り、部屋に行く。ファンファンはエレベーターが豪華!無駄なところにお金を使っているね?なんて感心している。
部屋に入った。いつもはさっさとシャワーを浴びて臨戦態勢に突入するファンファンがベッドに座って動かない。あれ?そう言えば、頼み事なんて言っていたからな。ベッドの自分の横を叩く。座れってことだな。
「ねえ、浩司。私があなたのお仕事の話を聞き出そうとしたこと、ある?」
「ないよ。セックスばかりだ」
「あなたを利用したこと、ある?」
「ない!セックスを強要されたことは何度もあるが」
「あのね、今、初めて、浩司のお仕事に関わるお話をあなたから聞きたいの」
「俺は、おまえの家に関わる話なんかできないぜ」
「私の家は関係ないわ。これ、見て」
ファンファンがコピー二枚と写真数枚を俺に渡した。ふ~ん、手紙と封書のコピー?一通り手紙を読んだ。俺には、単なる女と男の別れ話にしか思えなかった。封書も普通の封書だ。写真を見た。ファンファンが髪の毛の長い子じゃないよ。ショートボブの方と言う。髪の毛の長い子は、見れば誰もが振り向くスーパー級の美少女。もう一人は、その子とはタイプの違うカワイ子ちゃんで、ファンファンと同等か、彼女よりも可愛い。
俺には、これが警察沙汰になるようなこととは思えなかった。ファンファンにいろいろ聞く。両親は警察に通報したか?してない。なるほど。だったら、警察としても動きようがない。しかも、この手紙を見る限り、警察は記録に残して終わりだ。そのことを言うとファンファンはそう言われると思ったわ、と言う。
「長い髪の毛の女の子は、私の小学校の同級生なの。彼女が昨日の夜、私に連絡してきて、それで・・・」と時間を追って一通り説明した。中華街郵便局からの投函。文面がなんとなく疑わしい。中華街郵便局の近くに住む誰か男で、家出少女を連れ込んでいるヤツに部屋にいるんじゃないか?う~ん、あやふやな根拠だ。
「ファンファン、あやふやな根拠だよ。俺には事件性は感じられない」
「そうよね。ただ、良子と私の女の勘でしかない。だから、この件で、浩司に何かお願いすることはないわ。こんな家出娘捜索に浩司がなにかできるとも思えないし」
「正直、ファンファンの言うとおりだ。俺には何もできん」
「うん、わかってる。私が浩司に聞きたいのは、あなたが言った『お前の言う台湾系のグループが変なことをしているみたい』のこと。そのことってさ、若い女の誘拐と海外への日本女性の人身売買のことじゃない?」
「知ってんのか?」
「いいえ、ウチの人間もきな臭いって話を噂話で聞いているだけ。なんでも、本牧かどこかの倉庫に誘拐した女性を集めて、数人単位で船に密航させて、香港か広東に売り飛ばしているって話。それも何度も」
「これは、ファンファンのこの美姫って子の話とは関係ないだろ?それとも関係する情報でも掴んだのか?」
「関係ないと思う。単に、ナンパ野郎の部屋に連れ込まれて、セックスしてるだけと思うよ。でも、何か気になるから、人身売買の話も知っておきたいだけ」
「う~ん、ファンファン、誰にも言うなよ。あのな、俺の情報屋からの話では、お前の家とお仲がいい台湾マフィアが米軍の不良兵士と組んでいるって話なんだ。集められる女性は、同じような場所だと俺ら警察が疑うから、日本全国から素人の女を集めてくるらしい。北海道から九州まで。日本の広域暴力団から女を買い上げているみたいだ。彼女らを本牧の倉庫に監禁しているようだ。中国野郎どもは・・・失礼、ゴメン。ヤツラは日本女性が大好きだからな。香港、広東に売り飛ばせば末端で数百万、数千万の値がつく。もちろん、横浜は出荷価格だからもっと安いけどな。それで、数名集まると、香港・台湾・中国船籍の貨物船に密航させて、香港か台湾に出荷、とこういう手はずになってる」
「なるほど。そういうこ汚い商売を台湾のヤツラやってんだね。だけど、米軍兵士も噛んでいるのか?厄介だね。日本の警察は手が出せないじゃん」
「内緒で米軍施設を使っているかもしれん・・・おい、ファンファン、この話はおまえの友だちの話とは関係ないだろ?おかしなことをするなよ?」
「しませんよ。か弱い乙女がそんなヤバい話に首を突っ込まないわよ。関係ないだろう話だし。何か耳にしたら、すぐ浩司に教えるから」
「頼むぜ。俺の大事な・・・」
「え?何?今さ、『俺の大事な・・・』って言わなかった?」
「・・・俺の大事なファンファンに何かあったら、俺はどうしたらいい?って言おうとしたんだよ」
「うっれしい!もっと言って!」
「あのな、バナナの叩き売りじゃないんだからな。まったく。何で30才近い刑事の俺に可愛い女子大生が絡んでくるのか、俺にはさっぱりわからないぜ」
「え~、わからない?」
「わからないよ」
「浩司が好きだからに決まってるじゃない?張芳芳、寄ってくる男はいくらでもいるわよ。でも、浩司は私から絡んでいくの。歪な愛情表現とでも言うのかな?」
「歪な愛情表現?」
「浩司、私のこと、好き?」
「・・・ああ、最初に会った時からな。話も合うし、体も合う。とびきりのカワイ子ちゃんだ」
「ありがと。でもさ、中国マフィアの家の娘が、いくら好きだからって、日本人の刑事と添い遂げられるなんて思わないわ。それとも私と駆け落ちしてくれる?刑事を辞めてこっちの世界に来てくれる?」
「そりゃ、無理だ・・・いや、正直、まったく考えなかったってわけじゃない。刑事を辞めて、料理屋でも開けば、ファンファンを嫁にもらえる、なんて妄想はしたことがあった」
「ああ、うれしい。浩司、好き!・・・って、現実問題、無理でしょ?たまに抱き合うくらいしかないでしょ?だからね、私のしていることは、見込みのない、望みのない『歪な愛情表現』ということなのよ」
「昭和枯れすすきの世界になっちまうな」
「今を楽しみましょう。未来は未来。私、弁護士か判事になれるかもしれないしね。検事になったら、私が浩司の上よ」
「やれやれ。とにかくだ、ファンファンはヤバいことに首を突っ込むなよ。女なんだから」
「あれ?私、女だけど、自分の身は自分で守れるわ」
「何、言ってんだい」
ファンファンは俺の右に座っていたんだが、フフフと笑うと、俺の右手の手の平と手の甲を親指と中指で持って、ちょっと捻った。俺は体が勝手に回ってしまった。ベッドに顔を突っ伏した。左手を背中に捻り上げられた。まったく動けない。おいおい、俺は署で柔道やってんだぜ?19才の小娘に油断していたとはいえ、捻り上げらて、動けないなんて信じられない。
「ほら、浩司。どう?私、合気道の有段者なんだよ。チビだと思って油断したね?」と手を放してくれた。
「イテテ。いてえよ。肩がどうにかなったぜ。ファンファンを抱けなくなったら、どうすんだ?」
「あ!失敗!でも、肩、抜いてないよ」
「お前、怖い女だな」
「マフィアの娘とは無関係よ。小学校の頃から道場に通って習ってるんだ。そうそう、その写真の良子も同じ有段者だよ。私より強い」
「この美少女が?」
「彼女は丘の上のお嬢様だけどさ、私と小学校の頃からのダチで、良い子の良子と悪い子の悪子が同居してるんだ。あ!良子に誘惑されたら承知しないからね!浩司!」
「この美少女が?」
「人はみかけによらないのよ。彼女、小学校の頃から学級委員長で、ずっと生徒会長で、成績優秀、だけど、男の子は食っちゃうんだよ。私よりも肉食だよ。みんな知らないだけだよ」
「おお、怖い世界だ。この良子って子には会いたくない」
「私も会わせないよ。私の彼氏を食われちゃたまらない」
「・・・『私の彼氏』・・・」
「だって、いつか浩司、言ったじゃない?私は『俺の女』だって」
「ジーンと来たぜ」
「ジーンと来たなら、さっさと抱いて!シティーホテルじゃない二時間ご休憩なんですから。私は美姫を探さなきゃいけないんで、忙しいのよ」
「あ~あ」
「みんな解決したら、いくらでも女子大生の体をもてあそばせてあげるから。二時間弱ね?浩司、三回できるね?」
「・・・」
※性描写も含みますが登場人物は18歳以上の成人です。
この物語は法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
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特に年末は、毎週会った。どこにも行かず、ホテルに直行。最近、会う頻度が多いのはなぜなんだ?と聞くと、だって、私、来年受験なんだよ?年が明けたら、会えないじゃない?だから、いっぱいしておくのよ、と言う。
秋口から年末まで、14回ほど会って、その内8回セックスした。いや、俺からじゃない。彼女にせがまれたのだ。そういうことにしておこう。セックスするたびに相性がよくなっていって、お互いの体がなじんでいく。おいおい、刑事がマフィアの未成年の娘に溺れていいのか?
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大学入試の季節も終わった。受かったんだから落ちたんだか、連絡がない。ま、これでいいんだと俺は思っていた。
それが、半年も経って、急に、それも職場に電話だ。いったん別れて諦めた女とヨリが戻った気分だ。
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「浩司、ここだ!」とやっとホテルを決めてくれた。なんの違いがあるのかわからないが、ここだ!というならここでいい。さっさと入ろう。と、入ったはいいが、今度はエントランスで、掲示されている各部屋の写真を見ている。「う~ん、ちょっとまとも過ぎる・・・あ!変態っぽい!・・・電動ベッド?」お~い、どこでもいいから決めてくれ!「ねえ、浩司、SM部屋があるよ?私を鞭で叩きたい?」とかラブホのエントランスで普通の声で聞かないで欲しい。
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「ねえ、浩司。私があなたのお仕事の話を聞き出そうとしたこと、ある?」
「ないよ。セックスばかりだ」
「あなたを利用したこと、ある?」
「ない!セックスを強要されたことは何度もあるが」
「あのね、今、初めて、浩司のお仕事に関わるお話をあなたから聞きたいの」
「俺は、おまえの家に関わる話なんかできないぜ」
「私の家は関係ないわ。これ、見て」
ファンファンがコピー二枚と写真数枚を俺に渡した。ふ~ん、手紙と封書のコピー?一通り手紙を読んだ。俺には、単なる女と男の別れ話にしか思えなかった。封書も普通の封書だ。写真を見た。ファンファンが髪の毛の長い子じゃないよ。ショートボブの方と言う。髪の毛の長い子は、見れば誰もが振り向くスーパー級の美少女。もう一人は、その子とはタイプの違うカワイ子ちゃんで、ファンファンと同等か、彼女よりも可愛い。
俺には、これが警察沙汰になるようなこととは思えなかった。ファンファンにいろいろ聞く。両親は警察に通報したか?してない。なるほど。だったら、警察としても動きようがない。しかも、この手紙を見る限り、警察は記録に残して終わりだ。そのことを言うとファンファンはそう言われると思ったわ、と言う。
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「知ってんのか?」
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「これは、ファンファンのこの美姫って子の話とは関係ないだろ?それとも関係する情報でも掴んだのか?」
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「う~ん、ファンファン、誰にも言うなよ。あのな、俺の情報屋からの話では、お前の家とお仲がいい台湾マフィアが米軍の不良兵士と組んでいるって話なんだ。集められる女性は、同じような場所だと俺ら警察が疑うから、日本全国から素人の女を集めてくるらしい。北海道から九州まで。日本の広域暴力団から女を買い上げているみたいだ。彼女らを本牧の倉庫に監禁しているようだ。中国野郎どもは・・・失礼、ゴメン。ヤツラは日本女性が大好きだからな。香港、広東に売り飛ばせば末端で数百万、数千万の値がつく。もちろん、横浜は出荷価格だからもっと安いけどな。それで、数名集まると、香港・台湾・中国船籍の貨物船に密航させて、香港か台湾に出荷、とこういう手はずになってる」
「なるほど。そういうこ汚い商売を台湾のヤツラやってんだね。だけど、米軍兵士も噛んでいるのか?厄介だね。日本の警察は手が出せないじゃん」
「内緒で米軍施設を使っているかもしれん・・・おい、ファンファン、この話はおまえの友だちの話とは関係ないだろ?おかしなことをするなよ?」
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「頼むぜ。俺の大事な・・・」
「え?何?今さ、『俺の大事な・・・』って言わなかった?」
「・・・俺の大事なファンファンに何かあったら、俺はどうしたらいい?って言おうとしたんだよ」
「うっれしい!もっと言って!」
「あのな、バナナの叩き売りじゃないんだからな。まったく。何で30才近い刑事の俺に可愛い女子大生が絡んでくるのか、俺にはさっぱりわからないぜ」
「え~、わからない?」
「わからないよ」
「浩司が好きだからに決まってるじゃない?張芳芳、寄ってくる男はいくらでもいるわよ。でも、浩司は私から絡んでいくの。歪な愛情表現とでも言うのかな?」
「歪な愛情表現?」
「浩司、私のこと、好き?」
「・・・ああ、最初に会った時からな。話も合うし、体も合う。とびきりのカワイ子ちゃんだ」
「ありがと。でもさ、中国マフィアの家の娘が、いくら好きだからって、日本人の刑事と添い遂げられるなんて思わないわ。それとも私と駆け落ちしてくれる?刑事を辞めてこっちの世界に来てくれる?」
「そりゃ、無理だ・・・いや、正直、まったく考えなかったってわけじゃない。刑事を辞めて、料理屋でも開けば、ファンファンを嫁にもらえる、なんて妄想はしたことがあった」
「ああ、うれしい。浩司、好き!・・・って、現実問題、無理でしょ?たまに抱き合うくらいしかないでしょ?だからね、私のしていることは、見込みのない、望みのない『歪な愛情表現』ということなのよ」
「昭和枯れすすきの世界になっちまうな」
「今を楽しみましょう。未来は未来。私、弁護士か判事になれるかもしれないしね。検事になったら、私が浩司の上よ」
「やれやれ。とにかくだ、ファンファンはヤバいことに首を突っ込むなよ。女なんだから」
「あれ?私、女だけど、自分の身は自分で守れるわ」
「何、言ってんだい」
ファンファンは俺の右に座っていたんだが、フフフと笑うと、俺の右手の手の平と手の甲を親指と中指で持って、ちょっと捻った。俺は体が勝手に回ってしまった。ベッドに顔を突っ伏した。左手を背中に捻り上げられた。まったく動けない。おいおい、俺は署で柔道やってんだぜ?19才の小娘に油断していたとはいえ、捻り上げらて、動けないなんて信じられない。
「ほら、浩司。どう?私、合気道の有段者なんだよ。チビだと思って油断したね?」と手を放してくれた。
「イテテ。いてえよ。肩がどうにかなったぜ。ファンファンを抱けなくなったら、どうすんだ?」
「あ!失敗!でも、肩、抜いてないよ」
「お前、怖い女だな」
「マフィアの娘とは無関係よ。小学校の頃から道場に通って習ってるんだ。そうそう、その写真の良子も同じ有段者だよ。私より強い」
「この美少女が?」
「彼女は丘の上のお嬢様だけどさ、私と小学校の頃からのダチで、良い子の良子と悪い子の悪子が同居してるんだ。あ!良子に誘惑されたら承知しないからね!浩司!」
「この美少女が?」
「人はみかけによらないのよ。彼女、小学校の頃から学級委員長で、ずっと生徒会長で、成績優秀、だけど、男の子は食っちゃうんだよ。私よりも肉食だよ。みんな知らないだけだよ」
「おお、怖い世界だ。この良子って子には会いたくない」
「私も会わせないよ。私の彼氏を食われちゃたまらない」
「・・・『私の彼氏』・・・」
「だって、いつか浩司、言ったじゃない?私は『俺の女』だって」
「ジーンと来たぜ」
「ジーンと来たなら、さっさと抱いて!シティーホテルじゃない二時間ご休憩なんですから。私は美姫を探さなきゃいけないんで、忙しいのよ」
「あ~あ」
「みんな解決したら、いくらでも女子大生の体をもてあそばせてあげるから。二時間弱ね?浩司、三回できるね?」
「・・・」
※性描写も含みますが登場人物は18歳以上の成人です。
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