第三部 45話 『悪戯娘』と『ダブル』
ー/ー 焼き払われて出来た森の広場に魔物が入ってくる。対処できない数ではないが、多い。
できれば目の前に『緑竜』がいる状態で相手をしたくない。
「……ソフィア、動けるか?」
「悪いけど、まだ最低限の動きしかできそうにない。自分自身とナタリーなら守れるわ」
ソフィアが軽くふらつきながら立ち上がった。
あれだけの錬金をしたのだから無理もない。錬金術は体力と集中力を消耗する。
「分かった。俺が三人の護衛と攻撃を担当するよ」
だからナタリーは俺を残したのだろう。
俺は手に魔力を流す。
俺の周囲を障壁が囲んだ。
いつも通り、エルの言葉に頷く。
今回はさらに要求を出した。
「ついでだ。護衛対象の三人を中心に、円を幻覚で見せてくれ」
「? 離れすぎないようにしたいってこと?」
エルの言葉に頷いた。
すぐさまドーム状の幻覚が視界に描かれる。
「円より半球の方が良いでしょう?」
「……流石だな」
芸が細かい。
万が一、三人が襲われても助けに戻れるだろう。
「お礼を期待してるわよ?」
「分かった。高級な餌で良いか?」
エルが俺の頭をぺし、と叩く。
「豪華なご飯よ」
「風よ、吹き飛ばせ」
アリスの声に応じて魔術が発動する。
生み出された風が『緑竜』の生み出した炎を相殺した。
――魔術に近いけど魔力をそのまま扱ってる感じ?
――あはは。ラルフさんに近い能力なら化け物だなぁ。
アリスと加奈が内面で分析し合う。
その間にも『緑竜』が次の攻撃を始める。無数の氷剣が飛んできた。
「氷よ、防げ」
今度は加奈の言葉に応じて氷の壁が出来上がる。
氷剣は氷壁にぶつかり、すべて落ちる。
意外そうに『緑竜』が動きを止めた。
まだ立っているとは思わなかったらしい。
すぐに苛立たしそうに小さく唸り、連続で攻撃を続けた。
風刃が、氷柱が、炎球が、土塊が、まとめて襲い掛かる。
「風よ、吹き飛ばせ」
「氷よ、防げ」
「炎よ、焼き尽くせ」
「大地よ、防げ」
アリスと加奈が交互に魔術を発動させる。
未だ少女は無傷だった。
魔術には『命令』と『魔力』が必要である。
『ダブル』アリス・カナ・バケットは一方が『命令』している間にもう一方が『魔力』を準備するという独自の方法で魔術の回転率を跳ね上げていた。膨大な魔力を持った上で、二つの意識を完全に制御しなければ出来ないことだった。
さらに挑発するように笑って見せる。
その姿を認めて『緑竜』は初めて大きく吠えた。
目を怒らせて『緑竜』がその長大な尾を薙ぎ払う。
スキルが駄目なら直接殴るだけだと考えたのだろう。
「ぴ」
その瞬間『緑竜』の足元で小さな青い小鳥が鳴いた。
『緑竜』の体勢を完璧に計算した上で、足場を崩す魔法が放たれた。
すぐさま『緑竜』の足元に穴が掘られる。
尾の支えを失った直後の『緑竜』は仰向けに転がるように倒れた。
「よし」
ナタリーが頷く声を聞いた。
――嘘だろう?
――あの巨体を倒したのか?
俺は咄嗟に言葉が出なかった。ずしん、という大きな音を聞きながら目を疑う。
今は追い打ちを掛けるようにアリスとピノが魔術の連打を浴びせている。
しかし。
やはりというか、すぐに『緑竜』は立ち上がる。
その姿は無傷に見えた。
「二分。キース、援護に行って」
ナタリーの声が聞こえた。
周囲の魔物は半数近くは倒した。
何よりもソフィアが回復している。
俺は頷いた。
できれば目の前に『緑竜』がいる状態で相手をしたくない。
「……ソフィア、動けるか?」
「悪いけど、まだ最低限の動きしかできそうにない。自分自身とナタリーなら守れるわ」
ソフィアが軽くふらつきながら立ち上がった。
あれだけの錬金をしたのだから無理もない。錬金術は体力と集中力を消耗する。
「分かった。俺が三人の護衛と攻撃を担当するよ」
だからナタリーは俺を残したのだろう。
俺は手に魔力を流す。
俺の周囲を障壁が囲んだ。
いつも通り、エルの言葉に頷く。
今回はさらに要求を出した。
「ついでだ。護衛対象の三人を中心に、円を幻覚で見せてくれ」
「? 離れすぎないようにしたいってこと?」
エルの言葉に頷いた。
すぐさまドーム状の幻覚が視界に描かれる。
「円より半球の方が良いでしょう?」
「……流石だな」
芸が細かい。
万が一、三人が襲われても助けに戻れるだろう。
「お礼を期待してるわよ?」
「分かった。高級な餌で良いか?」
エルが俺の頭をぺし、と叩く。
「豪華なご飯よ」
「風よ、吹き飛ばせ」
アリスの声に応じて魔術が発動する。
生み出された風が『緑竜』の生み出した炎を相殺した。
――魔術に近いけど魔力をそのまま扱ってる感じ?
――あはは。ラルフさんに近い能力なら化け物だなぁ。
アリスと加奈が内面で分析し合う。
その間にも『緑竜』が次の攻撃を始める。無数の氷剣が飛んできた。
「氷よ、防げ」
今度は加奈の言葉に応じて氷の壁が出来上がる。
氷剣は氷壁にぶつかり、すべて落ちる。
意外そうに『緑竜』が動きを止めた。
まだ立っているとは思わなかったらしい。
すぐに苛立たしそうに小さく唸り、連続で攻撃を続けた。
風刃が、氷柱が、炎球が、土塊が、まとめて襲い掛かる。
「風よ、吹き飛ばせ」
「氷よ、防げ」
「炎よ、焼き尽くせ」
「大地よ、防げ」
アリスと加奈が交互に魔術を発動させる。
未だ少女は無傷だった。
魔術には『命令』と『魔力』が必要である。
『ダブル』アリス・カナ・バケットは一方が『命令』している間にもう一方が『魔力』を準備するという独自の方法で魔術の回転率を跳ね上げていた。膨大な魔力を持った上で、二つの意識を完全に制御しなければ出来ないことだった。
さらに挑発するように笑って見せる。
その姿を認めて『緑竜』は初めて大きく吠えた。
目を怒らせて『緑竜』がその長大な尾を薙ぎ払う。
スキルが駄目なら直接殴るだけだと考えたのだろう。
「ぴ」
その瞬間『緑竜』の足元で小さな青い小鳥が鳴いた。
『緑竜』の体勢を完璧に計算した上で、足場を崩す魔法が放たれた。
すぐさま『緑竜』の足元に穴が掘られる。
尾の支えを失った直後の『緑竜』は仰向けに転がるように倒れた。
「よし」
ナタリーが頷く声を聞いた。
――嘘だろう?
――あの巨体を倒したのか?
俺は咄嗟に言葉が出なかった。ずしん、という大きな音を聞きながら目を疑う。
今は追い打ちを掛けるようにアリスとピノが魔術の連打を浴びせている。
しかし。
やはりというか、すぐに『緑竜』は立ち上がる。
その姿は無傷に見えた。
「二分。キース、援護に行って」
ナタリーの声が聞こえた。
周囲の魔物は半数近くは倒した。
何よりもソフィアが回復している。
俺は頷いた。
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