第037話 リンゴとあやしいババ 中編
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老婆の放った言葉に、マコトはすぐさまサーシャの前にかばうように立ち、剣の柄に手をあてがった。
「おやおや、流石はシノビの末裔だけの事はあるねぇ。真一君や。ひっひっひ」
「どうして…それを…」
マコトは剣の柄を強く握る。
「マコっちゃん………」
「僕が時間を稼ぐから、サーシャはギルドに」
「わ…分かったわ」
「ひひひ、それは無理な話だよ」
次の瞬間、今まであったはずの町がマコトたちの視界から消え去る。
「っ!?」
「えっ!?どういうことなの!?」
マコトとサーシャは、左右に首を振りながら辺りを見回すが、そこに広がっているのはただ真っ白な世界。
「まぁ、慌てなさんな。直ぐに視界は開けるさね」
その老婆の言葉どおり、真っ白な世界は程なく消え去った。
しかし…そこに現れたのは、先程までマコトとサーシャが居た町で無かった。
「な…に、ここ…」
「森の中…だね……」
そう、二人は人の気配が全くしない森に挟まれた道の中に立っていた。
「付いてきな」
老婆はそう言うと、二人に背を向け歩き出す。
「どうする?マコっちゃん…」
「とりあえず、付いていくしかないよ」
二人はこうして老婆の後を追うように歩き出した。
程なく、分かれ道に到着した二人は、そこで仁王立ちしている動物に動揺する。
「マコっちゃん、熊よっ!熊!」
「うん。僕の後ろに下がって」
臨戦態勢を取った二人であったが、熊は分かれ道で仁王立ちしたままであった。
「ひっひっひ。この子は大丈夫さね」
「メロン、変わりはないかい?」
老婆の言葉に、メロンと呼ばれた熊は首を縦に振り、老婆は答えに納得したのか左の道へと歩みを進めた。
それに続いて二人も恐る恐る歩みを進めたが、結局熊は二人を一瞥する事も無かった。
それからの道のりは長く、もう日が暮れようかというのに道の先に何かが見える素振りも無かった。
そんな中、老婆は足を止める。
「このままでは着かんからの。飛んでいくぞい」
そう言うと老婆はどこから出したのか、古びたホウキを出しまたがった。
「ほれ、乗らんかい」
そう言って老婆は自身の後ろにまたがるように指を指した。
『魔法のホウキあるんかーい!』
二人は瞬時にそう思ったが、心の中に仕舞ったままホウキにまたがった。
「うぉっ!すっごーい!!!」
ホウキのスピードは歩くスピードどころか馬車のそれより速く、サーシャが驚くのも無理はなかった。
「てか、あるんなら最初から出してほしかったわね」
サーシャは前にいるマコトの耳元でボソッと呟き、マコトは苦笑いしたのである。
それから数分と経たずに前方に一軒の家屋が二人の視界に入る。
「さぁ、着いたよ」
老婆はそう言うと地上へと降り立ち、玄関まで歩みを進めたところで家の扉が開いた。
「お帰りなさい。おばあ様………それにこんばんは、アレクサンドラさんに真一さん」
扉を開けた老婆の孫娘もまた、二人の本名を口にする。
「えっと……」
困惑するサーシャに、マコトが代わりに挨拶をした。
「ふふふ。とりあえず、中へどうぞ」
老婆の孫娘に言われるまま二人は入り、そして、案内されたのは既に食事の用意が整っていた食卓であった。
テーブルの上には4人分の食器が置かれており、それが更に二人を困惑させることになる。
ともかく、二人は案内されるがまま椅子に座り、食事が始まったのであった。
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
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老婆の放った言葉に、マコトはすぐさまサーシャの前にかばうように立ち、剣の柄に手をあてがった。
「おやおや、流石はシノビの末裔だけの事はあるねぇ。|真一《・・》君や。ひっひっひ」
「どうして…それを…」
マコトは剣の柄を強く握る。
「マコっちゃん………」
「僕が時間を稼ぐから、サーシャはギルドに」
「わ…分かったわ」
「ひひひ、それは無理な話だよ」
次の瞬間、今まであったはずの町がマコトたちの視界から消え去る。
「っ!?」
「えっ!?どういうことなの!?」
マコトとサーシャは、左右に首を振りながら辺りを見回すが、そこに広がっているのはただ真っ白な世界。
「まぁ、慌てなさんな。直ぐに視界は開けるさね」
その老婆の言葉どおり、真っ白な世界は程なく消え去った。
しかし…そこに現れたのは、先程までマコトとサーシャが居た町で無かった。
「な…に、ここ…」
「森の中…だね……」
そう、二人は人の気配が全くしない森に挟まれた道の中に立っていた。
「付いてきな」
老婆はそう言うと、二人に背を向け歩き出す。
「どうする?マコっちゃん…」
「とりあえず、付いていくしかないよ」
二人はこうして老婆の後を追うように歩き出した。
程なく、分かれ道に到着した二人は、そこで仁王立ちしている動物に動揺する。
「マコっちゃん、熊よっ!熊!」
「うん。僕の後ろに下がって」
臨戦態勢を取った二人であったが、熊は分かれ道で仁王立ちしたままであった。
「ひっひっひ。この子は大丈夫さね」
「メロン、変わりはないかい?」
老婆の言葉に、メロンと呼ばれた熊は首を縦に振り、老婆は答えに納得したのか左の道へと歩みを進めた。
それに続いて二人も恐る恐る歩みを進めたが、結局熊は二人を一瞥する事も無かった。
それからの道のりは長く、もう日が暮れようかというのに道の先に何かが見える素振りも無かった。
そんな中、老婆は足を止める。
「このままでは着かんからの。飛んでいくぞい」
そう言うと老婆はどこから出したのか、古びたホウキを出しまたがった。
「ほれ、乗らんかい」
そう言って老婆は自身の後ろにまたがるように指を指した。
『魔法のホウキあるんかーい!』
二人は瞬時にそう思ったが、心の中に仕舞ったままホウキにまたがった。
「うぉっ!すっごーい!!!」
ホウキのスピードは歩くスピードどころか馬車のそれより速く、サーシャが驚くのも無理はなかった。
「てか、あるんなら最初から出してほしかったわね」
サーシャは前にいるマコトの耳元でボソッと呟き、マコトは苦笑いしたのである。
それから数分と経たずに前方に一軒の家屋が二人の視界に入る。
「さぁ、着いたよ」
老婆はそう言うと地上へと降り立ち、玄関まで歩みを進めたところで家の扉が開いた。
「お帰りなさい。おばあ様………それにこんばんは、アレクサンドラさんに真一さん」
扉を開けた老婆の孫娘もまた、二人の本名を口にする。
「えっと……」
困惑するサーシャに、マコトが代わりに挨拶をした。
「ふふふ。とりあえず、中へどうぞ」
老婆の孫娘に言われるまま二人は入り、そして、案内されたのは既に食事の用意が整っていた食卓であった。
テーブルの上には4人分の食器が置かれており、それが更に二人を困惑させることになる。
ともかく、二人は案内されるがまま椅子に座り、食事が始まったのであった。