第036話 リンゴとあやしいババ 前編
ー/ー「暇ねぇ」
「そだねぇ」
昼ご飯を堪能した後も、閑散としたギルド併設の食堂に二人は居た。
サーシャは、本当に退屈そうに両手に顎を乗せ、足をバタバタをさせている。
一方、マコトは本を読みながらサーシャに相槌を打っていた。
そんな他愛もないやり取りが30分程あった後、サーシャはいきなり立ち上がった。
「よし、数時間くらいで出来そうな依頼を探そう!」
そんな思い付きで言った事に、マコトは否定も拒否もしなかった。
「そだねぇ。それじゃあ、ちょっと見てみようか」
その回答にサーシャは満面の笑みを浮かべた。
「無いわねぇ………」
「そだねぇ」
サーシャ達は依頼が張られている掲示板を眺めるが、あるのは難易度の高いクエストや、難易度は低くてもそれなりの人数がいるクエストばかりで、二人で簡単に出来るようなものは見当たらない。
それから十数分ほどした後、サーシャは声をあげた。
「あれ?こんなのあったっけ……」
そう言いながら、サーシャは一枚の依頼書を手に取った。
「えっと…どうか不憫な老婆のお手伝いをお願いします…簡単で誰でも短時間で終わります…だって」
サーシャは、傍までやってきたマコトにその依頼書を渡した。
「うーん………何か怪しい感じがするけど………」
マコトは少し考えを巡らせた後、口を開いた。
「アリアさんに訊いてみよう」
こうして、二人はアリアのいるギルドの窓口へと足を運んだ。
「あぁ…また、この依頼書ですか………」
アリアの反応から、正規の依頼で無い事は二人にも分かった。
「ごめんなさいね。これは正規の依頼書ではないので、こちらで破棄させていただきます」
アリアはそう言うとビリビリと破き、ゴミ箱のような容器にそれをポイっと捨てた。
「それじゃあ、二人で短時間で出来る依頼はありますか?」
サーシャは諦めずに、カウンター越しにアリアに迫る。
気迫に押されたアリアは、初心者向けの依頼の一覧に目を通していくが‥‥‥。
「………うーん…ないですねぇ」
「そういうのは朝一番でなくなっちゃいますからねぇ………」
ですよねぇ。
二人はアリアの答えに心の中でそう思ったのだった。
そして、諦めた二人はギルドを後にした。
町の中央広場にある噴水までやって来ると、二人は腰かけた。
「これからどうする?リリスさんを冷やかしに行く?」
「いや…それは流石に悪いよ。勉強教えてるんだろうし」
「そうだ。この前、見つけた商店で美味しそうな紅茶の茶葉があったんだ」
「それに合うお菓子も一緒に買って宿屋で楽しむのはどうかな?」
「お、いいねいいね、それ。そうしよう!」
サーシャは、ぴょんと前に飛び跳ねて立ち上がる。
こうして二人は広場を立ち去ろうとしたのだが、程なく背後から声を掛ける者が現れた。
「そこの可愛らしいお嬢さんに、お似合いのお兄さん」
普通は直ぐには自分の事だとは思わないであろうが、そこは自分が美少女だと自負しているサーシャは躊躇する事なく後ろを振り返る。
「私のこと?」
サーシャは満面の笑みを浮かべながら振り返ったものの、直ぐに後悔する事になる。
何故なら‥‥‥。
「ひっひっひ。もちろん、お嬢さんのことだよ。ひっひっひ」
それは、黒いフードのあるローブを身に纏い、赤く輝くリンゴの入った古びたカゴを手に持つ老婆だったからである。
「あ、すみませーん、勘違いでしたぁ」
サーシャは機械人形の如き動きで反転すると、何事も無かったかのように立ち去ろうとした。
「おやおや、どこへ行くんだい?アレクサンドラさんや」
老婆の放った名前に、サーシャとマコトは驚きの表情を浮かべ、再び老婆の方へと振り向いたのであった。
「そだねぇ」
昼ご飯を堪能した後も、閑散としたギルド併設の食堂に二人は居た。
サーシャは、本当に退屈そうに両手に顎を乗せ、足をバタバタをさせている。
一方、マコトは本を読みながらサーシャに相槌を打っていた。
そんな他愛もないやり取りが30分程あった後、サーシャはいきなり立ち上がった。
「よし、数時間くらいで出来そうな依頼を探そう!」
そんな思い付きで言った事に、マコトは否定も拒否もしなかった。
「そだねぇ。それじゃあ、ちょっと見てみようか」
その回答にサーシャは満面の笑みを浮かべた。
「無いわねぇ………」
「そだねぇ」
サーシャ達は依頼が張られている掲示板を眺めるが、あるのは難易度の高いクエストや、難易度は低くてもそれなりの人数がいるクエストばかりで、二人で簡単に出来るようなものは見当たらない。
それから十数分ほどした後、サーシャは声をあげた。
「あれ?こんなのあったっけ……」
そう言いながら、サーシャは一枚の依頼書を手に取った。
「えっと…どうか不憫な老婆のお手伝いをお願いします…簡単で誰でも短時間で終わります…だって」
サーシャは、傍までやってきたマコトにその依頼書を渡した。
「うーん………何か怪しい感じがするけど………」
マコトは少し考えを巡らせた後、口を開いた。
「アリアさんに訊いてみよう」
こうして、二人はアリアのいるギルドの窓口へと足を運んだ。
「あぁ…また、この依頼書ですか………」
アリアの反応から、正規の依頼で無い事は二人にも分かった。
「ごめんなさいね。これは正規の依頼書ではないので、こちらで破棄させていただきます」
アリアはそう言うとビリビリと破き、ゴミ箱のような容器にそれをポイっと捨てた。
「それじゃあ、二人で短時間で出来る依頼はありますか?」
サーシャは諦めずに、カウンター越しにアリアに迫る。
気迫に押されたアリアは、初心者向けの依頼の一覧に目を通していくが‥‥‥。
「………うーん…ないですねぇ」
「そういうのは朝一番でなくなっちゃいますからねぇ………」
ですよねぇ。
二人はアリアの答えに心の中でそう思ったのだった。
そして、諦めた二人はギルドを後にした。
町の中央広場にある噴水までやって来ると、二人は腰かけた。
「これからどうする?リリスさんを冷やかしに行く?」
「いや…それは流石に悪いよ。勉強教えてるんだろうし」
「そうだ。この前、見つけた商店で美味しそうな紅茶の茶葉があったんだ」
「それに合うお菓子も一緒に買って宿屋で楽しむのはどうかな?」
「お、いいねいいね、それ。そうしよう!」
サーシャは、ぴょんと前に飛び跳ねて立ち上がる。
こうして二人は広場を立ち去ろうとしたのだが、程なく背後から声を掛ける者が現れた。
「そこの可愛らしいお嬢さんに、お似合いのお兄さん」
普通は直ぐには自分の事だとは思わないであろうが、そこは自分が美少女だと自負しているサーシャは躊躇する事なく後ろを振り返る。
「私のこと?」
サーシャは満面の笑みを浮かべながら振り返ったものの、直ぐに後悔する事になる。
何故なら‥‥‥。
「ひっひっひ。もちろん、お嬢さんのことだよ。ひっひっひ」
それは、黒いフードのあるローブを身に纏い、赤く輝くリンゴの入った古びたカゴを手に持つ老婆だったからである。
「あ、すみませーん、勘違いでしたぁ」
サーシャは機械人形の如き動きで反転すると、何事も無かったかのように立ち去ろうとした。
「おやおや、どこへ行くんだい?アレクサンドラさんや」
老婆の放った名前に、サーシャとマコトは驚きの表情を浮かべ、再び老婆の方へと振り向いたのであった。
みんなのリアクション
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
「暇ねぇ」
「そだねぇ」
昼ご飯を堪能した後も、閑散としたギルド併設の食堂に二人は居た。
サーシャは、本当に退屈そうに両手に顎を乗せ、足をバタバタをさせている。
一方、マコトは本を読みながらサーシャに相槌を打っていた。
一方、マコトは本を読みながらサーシャに相槌を打っていた。
そんな他愛もないやり取りが30分程あった後、サーシャはいきなり立ち上がった。
「よし、数時間くらいで出来そうな依頼を探そう!」
そんな思い付きで言った事に、マコトは否定も拒否もしなかった。
「そだねぇ。それじゃあ、ちょっと見てみようか」
その回答にサーシャは満面の笑みを浮かべた。
「無いわねぇ………」
「そだねぇ」
サーシャ達は依頼が張られている掲示板を眺めるが、あるのは難易度の高いクエストや、難易度は低くてもそれなりの人数がいるクエストばかりで、二人で簡単に出来るようなものは見当たらない。
それから十数分ほどした後、サーシャは声をあげた。
「あれ?こんなのあったっけ……」
そう言いながら、サーシャは一枚の依頼書を手に取った。
「えっと…どうか不憫な老婆のお手伝いをお願いします…簡単で誰でも短時間で終わります…だって」
サーシャは、傍までやってきたマコトにその依頼書を渡した。
「うーん………何か怪しい感じがするけど………」
マコトは少し考えを巡らせた後、口を開いた。
「アリアさんに訊いてみよう」
こうして、二人はアリアのいるギルドの窓口へと足を運んだ。
「あぁ…また、この依頼書ですか………」
アリアの反応から、正規の依頼で無い事は二人にも分かった。
「ごめんなさいね。これは正規の依頼書ではないので、こちらで破棄させていただきます」
アリアはそう言うとビリビリと破き、ゴミ箱のような容器にそれをポイっと捨てた。
「それじゃあ、二人で短時間で出来る依頼はありますか?」
サーシャは諦めずに、カウンター越しにアリアに迫る。
気迫に押されたアリアは、初心者向けの依頼の一覧に目を通していくが‥‥‥。
気迫に押されたアリアは、初心者向けの依頼の一覧に目を通していくが‥‥‥。
「………うーん…ないですねぇ」
「そういうのは朝一番でなくなっちゃいますからねぇ………」
「そういうのは朝一番でなくなっちゃいますからねぇ………」
ですよねぇ。
二人はアリアの答えに心の中でそう思ったのだった。
そして、諦めた二人はギルドを後にした。
そして、諦めた二人はギルドを後にした。
町の中央広場にある噴水までやって来ると、二人は腰かけた。
「これからどうする?リリスさんを冷やかしに行く?」
「いや…それは流石に悪いよ。勉強教えてるんだろうし」
「そうだ。この前、見つけた商店で美味しそうな紅茶の茶葉があったんだ」
「それに合うお菓子も一緒に買って宿屋で楽しむのはどうかな?」
「そうだ。この前、見つけた商店で美味しそうな紅茶の茶葉があったんだ」
「それに合うお菓子も一緒に買って宿屋で楽しむのはどうかな?」
「お、いいねいいね、それ。そうしよう!」
サーシャは、ぴょんと前に飛び跳ねて立ち上がる。
こうして二人は広場を立ち去ろうとしたのだが、程なく背後から声を掛ける者が現れた。
こうして二人は広場を立ち去ろうとしたのだが、程なく背後から声を掛ける者が現れた。
「そこの可愛らしいお嬢さんに、お似合いのお兄さん」
普通は直ぐには自分の事だとは思わないであろうが、そこは自分が美少女だと自負しているサーシャは躊躇する事なく後ろを振り返る。
「私のこと?」
サーシャは満面の笑みを浮かべながら振り返ったものの、直ぐに後悔する事になる。
何故なら‥‥‥。
何故なら‥‥‥。
「ひっひっひ。もちろん、お嬢さんのことだよ。ひっひっひ」
それは、黒いフードのあるローブを身に纏い、赤く輝くリンゴの入った古びたカゴを手に持つ老婆だったからである。
「あ、すみませーん、勘違いでしたぁ」
サーシャは機械人形の如き動きで反転すると、何事も無かったかのように立ち去ろうとした。
「おやおや、どこへ行くんだい?|アレクサンドラ《・・・・・・・》さんや」
老婆の放った名前に、サーシャとマコトは驚きの表情を浮かべ、再び老婆の方へと振り向いたのであった。