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第三部 35話 再戦

ー/ー



 その再戦は意外と早くやって来た。
 俺の正面にはソフィアが立っている。

「いくわよ?」
 いつものようにエルの声へと頷いた。

「対象は『ソフィア』『リック』『君の魔力』よ」
 青い炎が灯る。敵チーム全員は多すぎるらしい。

 開始の合図が鳴った。

「あら、素直ね」
「俺はいつも素直だぞ?」
 真っ直ぐにソフィアの元へと走ると、本人はふざけたことを言う。

 どうせ俺たちが戦うんだろ。
 余計な時間を省いてやったんだよ。

 俺は一振りの小剣を両手で構えた。
 予備の小剣は腰に提げてある。

 勢いそのままに、俺から踏み込んだ。
 初めは浅く。真横に一閃した。

 ソフィアはリックを長槍に錬金していた。
 穂先を跳ね上げるように俺の小剣を弾く。

「……これは」
 思わず俺は驚きの声を漏らした。

『青い幻』は確かに見えている。だが、その数が多すぎる。
 一つは長槍での突き。
 一つは双剣で両払い。
 一つは長剣での斬り下ろし。

 他にもいくつも見えている。
 とても絞り切れるものではない。

「ああ、もう!」
 慌てて後ろへと跳んだ。

 ソフィアが容赦なく踏み込んでくる。やはり強い。
 変幻自在な攻撃を繰り返す。俺はいったん下がるしかない。

「――よし」
 数合打ち合った後、俺は仕掛けることにした。
 このままではジリ貧でしかない。

「障壁よ、防げ」
「出たわね」
 ソフィアが面倒臭そうにぼやく。

 無理もない。
 逆の立場なら、俺もそう言うだろう。

「魔弾よ――勇敢の象徴たる正義の剣よ、貫け」
 俺はどうにか扱えるようになった『一節三句』の命令を口にする。

 いつものような魔弾ではなく、魔力は剣の形を取った。
 剣は一斉に放たれ、ソフィアへと襲い掛かる。

 ソフィアはリックを盾に錬金して防ぐ。
 しかし、当たらなかった魔弾剣は障壁に弾かれて反射する。

 それでも流石はソフィア。簡単には当たらない。
 冷静に安全地帯を考えて移動した。盾を双剣に変える。

 俺は踏み込んで、ソフィアへと右手の小剣を払う。
 ソフィアは簡単に小剣を弾いた。さらに跳ね返って来た魔弾剣も避ける。

 ――俺はその魔弾剣を左手で掴んだ。

「な――」
 珍しい。ソフィアが息を呑んだ。

 そのままソフィアへと斬りかかる。
 右手の小剣を返し、左手の魔弾剣を振り下ろす。

 ソフィアが慌てた様子で避けた。
 先ほどの仕返しとばかりに、容赦なく踏み込んだ。

 さらに、飛んできた魔弾を魔弾剣で弾く。ソフィアへ向けて。
 魔力同士は『弾性』の特性に従って弾かれた。

 右手で斬りつけながら、左手で魔弾を弾く。

「……なんて奴だ」
 リックの驚いた声。ソフィアが一歩下がった。

「鬱陶しい!」
 腹立たし気な声に続いて、バチッという錬金音。

 神鋼の鎖が編まれていく。
 俺は後ろへと大きく跳んだ。

『青い幻』へと目を凝らす。『予測』できるはずだ。
 その動きを教えたのは誰だと思っている。

「嘘でしょう……?」
 驚いた声がした。

 俺はリックの鎖を避け、魔弾を弾きながら、ソフィアへと走る。

 鎖が俺を包囲するように迫る。
 そこに穴を見つけて、俺は飛び込んだ。

「……まいった」
 ソフィアの声がやけに大きく響いた。

 俺はソフィアを組み伏して、剣を首筋に当てていた。



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 その再戦は意外と早くやって来た。
 俺の正面にはソフィアが立っている。
「いくわよ?」
 いつものようにエルの声へと頷いた。
「対象は『ソフィア』『リック』『君の魔力』よ」
 青い炎が灯る。敵チーム全員は多すぎるらしい。
 開始の合図が鳴った。
「あら、素直ね」
「俺はいつも素直だぞ?」
 真っ直ぐにソフィアの元へと走ると、本人はふざけたことを言う。
 どうせ俺たちが戦うんだろ。
 余計な時間を省いてやったんだよ。
 俺は一振りの小剣を両手で構えた。
 予備の小剣は腰に提げてある。
 勢いそのままに、俺から踏み込んだ。
 初めは浅く。真横に一閃した。
 ソフィアはリックを長槍に錬金していた。
 穂先を跳ね上げるように俺の小剣を弾く。
「……これは」
 思わず俺は驚きの声を漏らした。
『青い幻』は確かに見えている。だが、その数が多すぎる。
 一つは長槍での突き。
 一つは双剣で両払い。
 一つは長剣での斬り下ろし。
 他にもいくつも見えている。
 とても絞り切れるものではない。
「ああ、もう!」
 慌てて後ろへと跳んだ。
 ソフィアが容赦なく踏み込んでくる。やはり強い。
 変幻自在な攻撃を繰り返す。俺はいったん下がるしかない。
「――よし」
 数合打ち合った後、俺は仕掛けることにした。
 このままではジリ貧でしかない。
「障壁よ、防げ」
「出たわね」
 ソフィアが面倒臭そうにぼやく。
 無理もない。
 逆の立場なら、俺もそう言うだろう。
「魔弾よ――勇敢の象徴たる正義の剣よ、貫け」
 俺はどうにか扱えるようになった『一節三句』の命令を口にする。
 いつものような魔弾ではなく、魔力は剣の形を取った。
 剣は一斉に放たれ、ソフィアへと襲い掛かる。
 ソフィアはリックを盾に錬金して防ぐ。
 しかし、当たらなかった魔弾剣は障壁に弾かれて反射する。
 それでも流石はソフィア。簡単には当たらない。
 冷静に安全地帯を考えて移動した。盾を双剣に変える。
 俺は踏み込んで、ソフィアへと右手の小剣を払う。
 ソフィアは簡単に小剣を弾いた。さらに跳ね返って来た魔弾剣も避ける。
 ――俺はその魔弾剣を左手で掴んだ。
「な――」
 珍しい。ソフィアが息を呑んだ。
 そのままソフィアへと斬りかかる。
 右手の小剣を返し、左手の魔弾剣を振り下ろす。
 ソフィアが慌てた様子で避けた。
 先ほどの仕返しとばかりに、容赦なく踏み込んだ。
 さらに、飛んできた魔弾を魔弾剣で弾く。ソフィアへ向けて。
 魔力同士は『弾性』の特性に従って弾かれた。
 右手で斬りつけながら、左手で魔弾を弾く。
「……なんて奴だ」
 リックの驚いた声。ソフィアが一歩下がった。
「鬱陶しい!」
 腹立たし気な声に続いて、バチッという錬金音。
 神鋼の鎖が編まれていく。
 俺は後ろへと大きく跳んだ。
『青い幻』へと目を凝らす。『予測』できるはずだ。
 その動きを教えたのは誰だと思っている。
「嘘でしょう……?」
 驚いた声がした。
 俺はリックの鎖を避け、魔弾を弾きながら、ソフィアへと走る。
 鎖が俺を包囲するように迫る。
 そこに穴を見つけて、俺は飛び込んだ。
「……まいった」
 ソフィアの声がやけに大きく響いた。
 俺はソフィアを組み伏して、剣を首筋に当てていた。