お日様の光が強くなってきた。それまではあたたかかったお日様がギラギラとぼくをあつくするようになるにつれて、シロは元気がなくなっていった。そして、ぼくも……何だか、前みたいにきれいにかがやくことができなくなっていった。
そんな、ある日の朝のこと。
「ねぇ、シロ。大丈夫?」
ぼくが話しかけると、シロは力なくぼくにとまった。
「チューリップさん。今日で、お別れよ」
「え……お別れ?」
とつぜんのことにおどろくぼくに、シロは言った。
「私、向こうの菜の花畑に行って、たまごをうむの。そして、ここにはもう……帰って来れないわ」
「え、うそ……どうして?」
「私は、いなくなってしまうから」
「そんな……いなくなるなんて」
「でもね、菜の花畑でうんだたまごからは、私の子供達がたくさん生まれて元気に育つの。だから、私、いなくなったとしても……さびしくないのよ」
そう言ったシロはとてもつらそうだったけど、今までで一番強く見えて、ぼくは「行かないで」と言うことができなかった。
「チューリップさん、さようなら。私達、ずっと、友達だよ」
シロはそう言って菜の花畑へ飛んで行った。
「あれ、チューリップさん。どうしたの?」
今日もいつものようにぼくにお水をくれるはるちゃんが、首をかしげた。
「シロが……シロとさようならをしたんだ」
ぼくの言うことは、はるちゃんには聞こえない。でも、はるちゃんは手の平でそっとぼくをつつんでくれた。
「チューリップさん、悲しまないで。きっと、いつか……会えるから」
はるちゃんの手のあたたかさが、冷たくなりそうになっていたぼくの心を、またあたたかくしてくれた。
次の朝。
ぼくは目を覚ますことができなかった。閉じた目を開くことが出来ず、ずっとねむることになった。でも……はるちゃんが流したあたたかいしずくが、土の中にねむっていたぼくの心に届いて。ねむっていながらも、ぼくの心はポカポカとあたたかくなったんだ。
ぼくはずっとねむった。冷たく暗い、土の中で。地面の上はどうなっていたのか、全然分からなかった。
でも、ぼくの心は冷たくも、暗くもならなかった。はるちゃんが最後に落としたあのしずくがぼくの心をポカポカとあたためて、ずっと夢を見ていた。
ぼくの周りを楽しそうに、ひらひらと飛ぶシロの子供達。ぼくににっこりと笑う、少しお姉さんになったはるちゃん。あたたかくて幸せな春のひざし……。