第035話 何気ない日常の昼
ー/ーギルド併設の食堂。
昼ともなれば、それなりに賑わう食堂であるが、今日は閑古鳥…とはいかないまでも食事をする冒険者もまばらで閑散としていた。
というのも、地下迷宮に取り残されたパーティの救出に多くの冒険者が向かっていたからである。
シロウ、エリス、オフィーリアの3人も、それで地下迷宮に潜っている。
「そういえば、リリスさんはどこ行ったの?」
「あぁ、それならアンちゃんの家に行くって言ってたよ」
アンというのは、少し前にリリスと縁が出来た少女で、以降、彼女や近所の子供たちに勉強を教えるようになっていた。
ちなみに、今日はその予定日では無かったが、空気を読んで食堂を去っていった。
「ふーん。ま、そんな事より食事よ食事」
そう言って、サーシャがメニュー表を開いた時、声を掛ける者が現れた。
「あ…あのぅ…つかぬことをお聞きしますが…」
その声にサーシャは横を振り向くと、控えめな台詞とは裏腹に赤髪のビキニアーマーを身に纏った身長180cmはあろうかという女戦士と、その傍らには彼女の腰ほどしかない背丈の可愛らしい神官姿の少年がいた。
「えっと、何かご用でしょうか?」
あまりのギャップにサーシャは、少しばかり身構えるような仕草で訊いた。
「あわわ…ご…ごめんなさい。少しお訊きしたいことがありまして…」
(うわー、なんだろ。身なりと性格が全く合ってないんだけど……みたい顔をしてるなぁ、サーシャ)
と、マコトは目を細め乾いた笑いをしながら思った。
「何でしょう。答えられることであれば」
「それでは…貴方も年下の子がお好きなんですよね?」
「は?」
想定外の質問だったのか、サーシャは素っ頓狂な声をあげた。
「いえ…その…そちらの美少年の子、お好きなんでしょう?」
マコトは、女戦士の視線に少なからず危険を感じた。
「まぁ、そうですね。同じ年で一緒に育った幼なじみなので」
「はっ!?同じ年!?」
サーシャの言葉に、女戦士は驚きの表情で二人に視線を向けた。
「はぁ…お仲間じゃなかったんだ………」
「え!?」
「あ、いえ、ごめんなさい。ぶしつけな質問をしてしまい申し訳ありませんでした」
女戦士は深々と頭を下げると、供の少年を連れて去って行った。
『だから違うと思いますよって言ったじゃないですか、エリザ様』
『だってだって、初めてのお仲間に会えたと思ったんだもん』
そんな会話と共に。
「えっと、何だったのかしら…」
「あはははは…」
マコトは色々察したが、言わないでおくことにした。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
食事が終わり、その余韻を楽しんでいた時、マコトは口を開いた。
「そういえばだけど、この前シロウさんの持っていた物だけど、サーシャのお母さんに見て貰ったらどうかな」
「あー…それは駄目」
「どうして?」
「ママに見せたら先越されちゃうもん」
「アレが人工物であることを最初に気付いたのは私。つまり、私こそがアレの謎を解き明かす権利があるの」
そう言いながら、サーシャは握りこぶしを作った。
「それに…」
「それに?」
「アレが元の世界に帰る事の出来るカギだった場合、破壊してしまわないといけないしね」
「いや…仮にそうだったとしても、そこまでしなくても…」
「マコっちゃん、気付いてるでしょ?」
「この世界に来た時間のこと?」
「そう。私たちがこの世界に転移した日のうちに、私達のパパたちは決闘をして時空の歪みの扉が開いた」
「でも、実際にパパたちがこの世界にやって来たのは、再開したあの日から1週間前のこと」
「つまり、僕達とは数か月も開きがある」
「そう。だから仮に例の物がそうだった場合でも使ったらダメ」
「だねぇ。最悪人類滅亡後の地球に帰還、の可能性もあるもんね」
「てか、その可能性が大なのよねぇ…」
「だね…」
「ま、ともかく、私が解き明かすまでママ達には内緒にしておいてね」
「うん、分かったよ」
「よっし、じゃあ。小腹も空いたしケーキでも頼もう」
そう言ってメニュー表を開くサーシャに、まだ食べるんだ、と思ったマコトであった。
昼ともなれば、それなりに賑わう食堂であるが、今日は閑古鳥…とはいかないまでも食事をする冒険者もまばらで閑散としていた。
というのも、地下迷宮に取り残されたパーティの救出に多くの冒険者が向かっていたからである。
シロウ、エリス、オフィーリアの3人も、それで地下迷宮に潜っている。
「そういえば、リリスさんはどこ行ったの?」
「あぁ、それならアンちゃんの家に行くって言ってたよ」
アンというのは、少し前にリリスと縁が出来た少女で、以降、彼女や近所の子供たちに勉強を教えるようになっていた。
ちなみに、今日はその予定日では無かったが、空気を読んで食堂を去っていった。
「ふーん。ま、そんな事より食事よ食事」
そう言って、サーシャがメニュー表を開いた時、声を掛ける者が現れた。
「あ…あのぅ…つかぬことをお聞きしますが…」
その声にサーシャは横を振り向くと、控えめな台詞とは裏腹に赤髪のビキニアーマーを身に纏った身長180cmはあろうかという女戦士と、その傍らには彼女の腰ほどしかない背丈の可愛らしい神官姿の少年がいた。
「えっと、何かご用でしょうか?」
あまりのギャップにサーシャは、少しばかり身構えるような仕草で訊いた。
「あわわ…ご…ごめんなさい。少しお訊きしたいことがありまして…」
(うわー、なんだろ。身なりと性格が全く合ってないんだけど……みたい顔をしてるなぁ、サーシャ)
と、マコトは目を細め乾いた笑いをしながら思った。
「何でしょう。答えられることであれば」
「それでは…貴方も年下の子がお好きなんですよね?」
「は?」
想定外の質問だったのか、サーシャは素っ頓狂な声をあげた。
「いえ…その…そちらの美少年の子、お好きなんでしょう?」
マコトは、女戦士の視線に少なからず危険を感じた。
「まぁ、そうですね。同じ年で一緒に育った幼なじみなので」
「はっ!?同じ年!?」
サーシャの言葉に、女戦士は驚きの表情で二人に視線を向けた。
「はぁ…お仲間じゃなかったんだ………」
「え!?」
「あ、いえ、ごめんなさい。ぶしつけな質問をしてしまい申し訳ありませんでした」
女戦士は深々と頭を下げると、供の少年を連れて去って行った。
『だから違うと思いますよって言ったじゃないですか、エリザ様』
『だってだって、初めてのお仲間に会えたと思ったんだもん』
そんな会話と共に。
「えっと、何だったのかしら…」
「あはははは…」
マコトは色々察したが、言わないでおくことにした。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
食事が終わり、その余韻を楽しんでいた時、マコトは口を開いた。
「そういえばだけど、この前シロウさんの持っていた物だけど、サーシャのお母さんに見て貰ったらどうかな」
「あー…それは駄目」
「どうして?」
「ママに見せたら先越されちゃうもん」
「アレが人工物であることを最初に気付いたのは私。つまり、私こそがアレの謎を解き明かす権利があるの」
そう言いながら、サーシャは握りこぶしを作った。
「それに…」
「それに?」
「アレが元の世界に帰る事の出来るカギだった場合、破壊してしまわないといけないしね」
「いや…仮にそうだったとしても、そこまでしなくても…」
「マコっちゃん、気付いてるでしょ?」
「この世界に来た時間のこと?」
「そう。私たちがこの世界に転移した日のうちに、私達のパパたちは決闘をして時空の歪みの扉が開いた」
「でも、実際にパパたちがこの世界にやって来たのは、再開したあの日から1週間前のこと」
「つまり、僕達とは数か月も開きがある」
「そう。だから仮に例の物がそうだった場合でも使ったらダメ」
「だねぇ。最悪人類滅亡後の地球に帰還、の可能性もあるもんね」
「てか、その可能性が大なのよねぇ…」
「だね…」
「ま、ともかく、私が解き明かすまでママ達には内緒にしておいてね」
「うん、分かったよ」
「よっし、じゃあ。小腹も空いたしケーキでも頼もう」
そう言ってメニュー表を開くサーシャに、まだ食べるんだ、と思ったマコトであった。
みんなのリアクション
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ギルド併設の食堂。
昼ともなれば、それなりに賑わう食堂であるが、今日は閑古鳥…とはいかないまでも食事をする冒険者もまばらで閑散としていた。
というのも、地下迷宮に取り残されたパーティの救出に多くの冒険者が向かっていたからである。
シロウ、エリス、オフィーリアの3人も、それで地下迷宮に潜っている。
シロウ、エリス、オフィーリアの3人も、それで地下迷宮に潜っている。
「そういえば、リリスさんはどこ行ったの?」
「あぁ、それならアンちゃんの家に行くって言ってたよ」
アンというのは、少し前にリリスと縁が出来た少女で、以降、彼女や近所の子供たちに勉強を教えるようになっていた。
ちなみに、今日はその予定日では無かったが、空気を読んで食堂を去っていった。
ちなみに、今日はその予定日では無かったが、空気を読んで食堂を去っていった。
「ふーん。ま、そんな事より食事よ食事」
そう言って、サーシャがメニュー表を開いた時、声を掛ける者が現れた。
「あ…あのぅ…つかぬことをお聞きしますが…」
その声にサーシャは横を振り向くと、控えめな台詞とは裏腹に赤髪のビキニアーマーを身に纏った身長180cmはあろうかという女戦士と、その傍らには彼女の腰ほどしかない背丈の可愛らしい神官姿の少年がいた。
「えっと、何かご用でしょうか?」
あまりのギャップにサーシャは、少しばかり身構えるような仕草で訊いた。
「あわわ…ご…ごめんなさい。少しお訊きしたいことがありまして…」
(うわー、なんだろ。身なりと性格が全く合ってないんだけど……みたい顔をしてるなぁ、サーシャ)
と、マコトは目を細め乾いた笑いをしながら思った。
「何でしょう。答えられることであれば」
「それでは…貴方も年下の子がお好きなんですよね?」
「は?」
想定外の質問だったのか、サーシャは素っ頓狂な声をあげた。
「いえ…その…そちらの美少年の子、お好きなんでしょう?」
マコトは、女戦士の視線に少なからず危険を感じた。
「まぁ、そうですね。同じ年で一緒に育った幼なじみなので」
「はっ!?同じ年!?」
サーシャの言葉に、女戦士は驚きの表情で二人に視線を向けた。
「はぁ…お仲間じゃなかったんだ………」
「え!?」
「あ、いえ、ごめんなさい。ぶしつけな質問をしてしまい申し訳ありませんでした」
女戦士は深々と頭を下げると、供の少年を連れて去って行った。
『だから違うと思いますよって言ったじゃないですか、エリザ様』
『だってだって、初めてのお仲間に会えたと思ったんだもん』
そんな会話と共に。
「えっと、何だったのかしら…」
「あはははは…」
マコトは色々察したが、言わないでおくことにした。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
食事が終わり、その余韻を楽しんでいた時、マコトは口を開いた。
「そういえばだけど、この前シロウさんの持っていた物だけど、サーシャのお母さんに見て貰ったらどうかな」
「あー…それは駄目」
「どうして?」
「ママに見せたら先越されちゃうもん」
「アレが人工物であることを最初に気付いたのは私。つまり、私こそがアレの謎を解き明かす権利があるの」
「アレが人工物であることを最初に気付いたのは私。つまり、私こそがアレの謎を解き明かす権利があるの」
そう言いながら、サーシャは握りこぶしを作った。
「それに…」
「それに?」
「アレが元の世界に帰る事の出来るカギだった場合、破壊してしまわないといけないしね」
「いや…仮にそうだったとしても、そこまでしなくても…」
「マコっちゃん、気付いてるでしょ?」
「この世界に来た時間のこと?」
「そう。私たちがこの世界に転移した日のうちに、私達のパパたちは決闘をして時空の歪みの扉が開いた」
「でも、実際にパパたちがこの世界にやって来たのは、再開したあの日から1週間前のこと」
「でも、実際にパパたちがこの世界にやって来たのは、再開したあの日から1週間前のこと」
「つまり、僕達とは数か月も開きがある」
「そう。だから仮に例の物がそうだった場合でも使ったらダメ」
「だねぇ。最悪人類滅亡後の地球に帰還、の可能性もあるもんね」
「てか、その可能性が大なのよねぇ…」
「だね…」
「ま、ともかく、私が解き明かすまでママ達には内緒にしておいてね」
「うん、分かったよ」
「よっし、じゃあ。小腹も空いたしケーキでも頼もう」
そう言ってメニュー表を開くサーシャに、まだ食べるんだ、と思ったマコトであった。