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第三部 20話 再会

ー/ー



 少し待つとグレイとセシルも馬車に乗り込んで来た。

「キース、ここかー? うわ」
「……うわ、は流石に失礼じゃない?」
 グレイが間の抜けた声を出して失言する。

 セシルはぺこりとお辞儀をすると、グレイの隣に腰掛けた。
 俺は大人しく俯いている。いかにもボロが出そうだ。

 すぐに馬車は走り出した。
 客はこの二組だけらしい。

 不審に思われない程度でナタリーとアリスを覗き見た。

 二人とも二十七歳程度のはずだ。
 ナタリーはハーフドワーフだから未だ幼い印象すらあった。
 アリスは人間なので綺麗なおねーさんという感じだった。

「……」
 複雑な感情で妹だった女性を見る。

 種族的な問題もあってか、背はあまり伸びなかったようだ。
 金髪は昔よりも伸ばしているらしい。

 かつての自分が約束を果たせなかった少女。
 今でも変わらない姿だけが救いだった。

「ねぇねぇ、ソフィアちゃん? 三人とはどういう関係なの?」
「……ただの同級生よ」
「へえ、それじゃ、あたし達の後輩だね」
「? 学院出身なんですか?」
 ソフィアとナタリーの間にグレイが割り込んだ。

「そうだよっ! ほら、アリス起きて」
「すぴー」
「カナ、起こして」
「んー? 何?」
 ナタリーが加奈の名前を呼ぶと眠っていたアリスが目を開けた。
 そういう仕組みなのか……?

 そして軽く自己紹介となった。

「……『ソフィア・ターナー』よ」
 不愛想に呟いた。共通の知り合いだから繋ぐ必要があると察したのだろう。

「あたしは『ナタリー・クレフ』よ。冒険者組合のA級冒険者をやってるわ」
「私は『アリス・カナ・バケット』。同じく冒険者組合のA級冒険者よ」

 A級、か。
 俺は一瞬だけコメントに困ったが、慌てて言葉を続けた。

「俺は『キース・クロス』と言います。ソフィアの同級生です」
「『グレイ・ウッド』です。同じく同級生」
「……『セシル・ルイス』で――」

「――セシルちゃんだ!?」
 ナタリーが叫んでセシルに飛び付いた。

 その癖、まだ治ってないのか……。
 俺が内心で溜息を吐く。他のメンバーは目を丸くしていた。

「やっぱり、ナタリーお姉ちゃん」
 セシルの方は覚えていたようで軽く微笑んでいる。

「あぁ、あの時の」
 アリスがぱちん、と手を叩いた。

 確かに、村にいた頃に見かけたはずだが……覚えているのか?

「ぴ!」
 しばらく雑談を続けていると、青い小鳥が入って来た。

「この鳥は……?」
「あたしの使い魔『ピノ』よ。よろしくね」
「ぴ」
 グレイにピノが片翼を上げて挨拶する。

 その後しばらくナタリーはピノと向き合っていた。
 俺は知っているが、魔力を通して情報を受け取っているのだろう。

「はぁ……。面倒くさいことになったなぁ」
「とうとう来たの?」
 ナタリーの呟きにアリスが応じた。

「うん。帝国の軍部が新政府を樹立しちゃった」
「クーデターが成功したってことかな?」
「うーん、どうだろう? 新政府が安定したら成功じゃないかな?」
 ナタリー、アリス、加奈の三人で意見を出して、うんうんと頷いた。

「何かあったんですか?」
 俺は何も分からないフリで訊ねる。

「以前、帝国でクーデターっていうのがあってね?
 それから軍部が勝手に政府を作ってたんだけど……本物の政府になっちゃった」
 ナタリーが苦い顔で言う。

 だが、俺も平静ではいられない。
 帝国のクーデターも鬼が関わっていたはずだ。



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 少し待つとグレイとセシルも馬車に乗り込んで来た。
「キース、ここかー? うわ」
「……うわ、は流石に失礼じゃない?」
 グレイが間の抜けた声を出して失言する。
 セシルはぺこりとお辞儀をすると、グレイの隣に腰掛けた。
 俺は大人しく俯いている。いかにもボロが出そうだ。
 すぐに馬車は走り出した。
 客はこの二組だけらしい。
 不審に思われない程度でナタリーとアリスを覗き見た。
 二人とも二十七歳程度のはずだ。
 ナタリーはハーフドワーフだから未だ幼い印象すらあった。
 アリスは人間なので綺麗なおねーさんという感じだった。
「……」
 複雑な感情で妹だった女性を見る。
 種族的な問題もあってか、背はあまり伸びなかったようだ。
 金髪は昔よりも伸ばしているらしい。
 かつての自分が約束を果たせなかった少女。
 今でも変わらない姿だけが救いだった。
「ねぇねぇ、ソフィアちゃん? 三人とはどういう関係なの?」
「……ただの同級生よ」
「へえ、それじゃ、あたし達の後輩だね」
「? 学院出身なんですか?」
 ソフィアとナタリーの間にグレイが割り込んだ。
「そうだよっ! ほら、アリス起きて」
「すぴー」
「カナ、起こして」
「んー? 何?」
 ナタリーが加奈の名前を呼ぶと眠っていたアリスが目を開けた。
 そういう仕組みなのか……?
 そして軽く自己紹介となった。
「……『ソフィア・ターナー』よ」
 不愛想に呟いた。共通の知り合いだから繋ぐ必要があると察したのだろう。
「あたしは『ナタリー・クレフ』よ。冒険者組合のA級冒険者をやってるわ」
「私は『アリス・カナ・バケット』。同じく冒険者組合のA級冒険者よ」
 A級、か。
 俺は一瞬だけコメントに困ったが、慌てて言葉を続けた。
「俺は『キース・クロス』と言います。ソフィアの同級生です」
「『グレイ・ウッド』です。同じく同級生」
「……『セシル・ルイス』で――」
「――セシルちゃんだ!?」
 ナタリーが叫んでセシルに飛び付いた。
 その癖、まだ治ってないのか……。
 俺が内心で溜息を吐く。他のメンバーは目を丸くしていた。
「やっぱり、ナタリーお姉ちゃん」
 セシルの方は覚えていたようで軽く微笑んでいる。
「あぁ、あの時の」
 アリスがぱちん、と手を叩いた。
 確かに、村にいた頃に見かけたはずだが……覚えているのか?
「ぴ!」
 しばらく雑談を続けていると、青い小鳥が入って来た。
「この鳥は……?」
「あたしの使い魔『ピノ』よ。よろしくね」
「ぴ」
 グレイにピノが片翼を上げて挨拶する。
 その後しばらくナタリーはピノと向き合っていた。
 俺は知っているが、魔力を通して情報を受け取っているのだろう。
「はぁ……。面倒くさいことになったなぁ」
「とうとう来たの?」
 ナタリーの呟きにアリスが応じた。
「うん。帝国の軍部が新政府を樹立しちゃった」
「クーデターが成功したってことかな?」
「うーん、どうだろう? 新政府が安定したら成功じゃないかな?」
 ナタリー、アリス、加奈の三人で意見を出して、うんうんと頷いた。
「何かあったんですか?」
 俺は何も分からないフリで訊ねる。
「以前、帝国でクーデターっていうのがあってね?
 それから軍部が勝手に政府を作ってたんだけど……本物の政府になっちゃった」
 ナタリーが苦い顔で言う。
 だが、俺も平静ではいられない。
 帝国のクーデターも鬼が関わっていたはずだ。