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第三部 8話 同級生

ー/ー



 放課後。俺はグレイ、セシルと一緒に歩いていた。
 グレイの住む二番街の方へ寄り道を誘われたのだ。

 学院自体は王都の中心である時計塔から少し歩いた先にある。
 位置としては一番街の王城へと向かう道の半ばといったところだ。

「いやぁ、今日の試合は良かった良かった。この調子で頑張ろうや!」
 グレイが機嫌良さそうに声を張り上げる。

「そうだな。初めてにしては上手くいったよなぁ」
「次も勝つぞ」
「? 随分と熱心だな」
「ん? そりゃそうだろ。ここで成績が良ければ評価が一気に上がるぞ?
 俺は学院を卒業して、騎士団に入りたいんだ」
「……なんと」
 思わず驚いた声を上げてしまったが、当然の話だった。

 入学直後から毎日のように試合をさせる程である。
 学院がこの実技演習を重要視しているのは明らかだろう。

「……」
「どうした?」
「んー、騎士団に入りたい人っているんだなぁ」
「何言ってるんだ? 大勢いるだろ」
 グレイは首を傾げている。
 
 アッシュの時はニナさんから声を掛けてもらったからなぁ。
 あと、あそこは思っているよりも激務だぞ?
 
「そりゃそうか」
 適当な相槌で誤魔化して視線を逸らす。
 
「!? セシル?」
「? 何だそれ?」
「……」
 後ろを歩いていたセシルを見て、俺とグレイは声を張り上げる。
 
 セシルは両手一杯に料理を持って、俯いていた。
 持っているのは串料理や芋料理など。出店で買ったのだろう。
 
「いつの間に買ったんだ」
「随分と買ったなぁ。食い切れるのか?」
「……」
 俺とグレイにセシルは答えない。俯いたまま、もぐもぐと咀嚼だけしている。
 
「? どうしたんだ?」
 流石に様子がおかしいと、俺が声を掛ける。
 
 セシルが顔を上げる。もぐもぐごくん。
 心なしか、目端に涙が浮かんでいる気もする。
 
「お小遣い、全部使っちゃった……」
 
 今日のところは解散となった。



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 放課後。俺はグレイ、セシルと一緒に歩いていた。
 グレイの住む二番街の方へ寄り道を誘われたのだ。
 学院自体は王都の中心である時計塔から少し歩いた先にある。
 位置としては一番街の王城へと向かう道の半ばといったところだ。
「いやぁ、今日の試合は良かった良かった。この調子で頑張ろうや!」
 グレイが機嫌良さそうに声を張り上げる。
「そうだな。初めてにしては上手くいったよなぁ」
「次も勝つぞ」
「? 随分と熱心だな」
「ん? そりゃそうだろ。ここで成績が良ければ評価が一気に上がるぞ?
 俺は学院を卒業して、騎士団に入りたいんだ」
「……なんと」
 思わず驚いた声を上げてしまったが、当然の話だった。
 入学直後から毎日のように試合をさせる程である。
 学院がこの実技演習を重要視しているのは明らかだろう。
「……」
「どうした?」
「んー、騎士団に入りたい人っているんだなぁ」
「何言ってるんだ? 大勢いるだろ」
 グレイは首を傾げている。
 アッシュの時はニナさんから声を掛けてもらったからなぁ。
 あと、あそこは思っているよりも激務だぞ?
「そりゃそうか」
 適当な相槌で誤魔化して視線を逸らす。
「!? セシル?」
「? 何だそれ?」
「……」
 後ろを歩いていたセシルを見て、俺とグレイは声を張り上げる。
 セシルは両手一杯に料理を持って、俯いていた。
 持っているのは串料理や芋料理など。出店で買ったのだろう。
「いつの間に買ったんだ」
「随分と買ったなぁ。食い切れるのか?」
「……」
 俺とグレイにセシルは答えない。俯いたまま、もぐもぐと咀嚼だけしている。
「? どうしたんだ?」
 流石に様子がおかしいと、俺が声を掛ける。
 セシルが顔を上げる。もぐもぐごくん。
 心なしか、目端に涙が浮かんでいる気もする。
「お小遣い、全部使っちゃった……」
 今日のところは解散となった。