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第三部 3話 王立学院

ー/ー



 翌日。
 俺は大きな講堂で入学式に参加していた。

 校長だが学長だか言うおっさんがぼそぼそと呟いている。
 申し訳ないが、俺はそれどころではない。

「急すぎるだろ……」
 本当に転生の翌日が入学式だった。

 実を言うとナタリーの時に付き添ったので来たことがある。
 しかし、前とは勝手が違いすぎる。

 やばいやばい。『キース・クロス』の知り合いがいたら困る。
 まだ資料も全然読めてないんだよ。

「俺の手持ちの情報は自分と家族の名前くらいだぞ?」
 小さな声で呟いた。

 仕方ないだろう。
 キース歴一日だぞ?

 王立学院。
 王国の最高学府で、大陸でも有数の教育機関。
 
『騎士団』『魔術師団』『組合』の三組織が共同で運営している。
 優れた才能の発見と育成を目的としている。

 ……俺が知っているのはこのくらいか。
 俺の印象では高校というよりも大学に近い気がする。

 特に年齢の指定はなくて、能力があれば誰でも入学が可能だ。
 しかし、この世界で成年とされる十六歳で入学することが多いようだ。

 流石にサポートも多く、至れり尽くせりと言う感じすらあった。
 前の世界で言う奨学金も充実している。ナタリーがお世話になりました。

 話が終わってぞろぞろと講堂から出て行く。
 講堂前の広場に出ると、人だかりができていた。

「――あれが」
「綺麗な人……」

 誰かを遠巻きに見ているようだ。有名人かも知れない。
 できるだけ人目を引かないようにこっそりと覗いてみる。
 
「!」
 思わず、足を止めてしまう。確かに入学すると言っていたな。

 雪のような銀髪銀目に白い肌。
 人形のようだった可愛らしさが薄れて、美しさが目立つようになっていた。

 年相応に背が伸びて、学院の制服が良く似合っていた。
 肩に乗せているのは見覚えのあるメタルスライム。

 目を焼くような真赤の魂。
 今日までその本質で苦しむことはなかっただろうか。

 十六歳になった、お嬢様が立っていた。

 ふと、ソフィアがこちらへと目を向けた。
 じろじろと見すぎたかもしれない。

 俺は軽く身を引いてしまう。
 しかし、ソフィアは俺に興味を持たずに目を逸らした。

 そのまま、背を向けると去って行ってしまった。

 複雑な心境で俺はその背中を見送る。
 当然の反応だった。今の俺は無関係。ただの失礼な奴だ。

 すぐ横を別の少女が通り過ぎた。
 思わず顔を上げる。ソフィアと同じ銀髪だった。

 しかし、それだけではなく――

「あれ? どこかで見たことがあるような?」

 ――その姿に見覚えがある気がしたのだ。

 それにしても、周りを見回すとみんな頭が良さそうに見えた。
 ……ナタリーアリスはここで主席次席だったと言う。

 もしかして。いや、ひょっとしたらだけど。
 まさか、あいつら……本当は頭が良かったのか?

 そこでアナウンスがあった。この後は自分のクラスごとに集まるらしい。
 途端に俺は内心で頭を抱えた。

「自己紹介することになったらどうしよう?」
 まさか自分の情報が不足して自己紹介できない奴が存在するなんて。



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 翌日。
 俺は大きな講堂で入学式に参加していた。
 校長だが学長だか言うおっさんがぼそぼそと呟いている。
 申し訳ないが、俺はそれどころではない。
「急すぎるだろ……」
 本当に転生の翌日が入学式だった。
 実を言うとナタリーの時に付き添ったので来たことがある。
 しかし、前とは勝手が違いすぎる。
 やばいやばい。『キース・クロス』の知り合いがいたら困る。
 まだ資料も全然読めてないんだよ。
「俺の手持ちの情報は自分と家族の名前くらいだぞ?」
 小さな声で呟いた。
 仕方ないだろう。
 キース歴一日だぞ?
 王立学院。
 王国の最高学府で、大陸でも有数の教育機関。
『騎士団』『魔術師団』『組合』の三組織が共同で運営している。
 優れた才能の発見と育成を目的としている。
 ……俺が知っているのはこのくらいか。
 俺の印象では高校というよりも大学に近い気がする。
 特に年齢の指定はなくて、能力があれば誰でも入学が可能だ。
 しかし、この世界で成年とされる十六歳で入学することが多いようだ。
 流石にサポートも多く、至れり尽くせりと言う感じすらあった。
 前の世界で言う奨学金も充実している。ナタリーがお世話になりました。
 話が終わってぞろぞろと講堂から出て行く。
 講堂前の広場に出ると、人だかりができていた。
「――あれが」
「綺麗な人……」
 誰かを遠巻きに見ているようだ。有名人かも知れない。
 できるだけ人目を引かないようにこっそりと覗いてみる。
「!」
 思わず、足を止めてしまう。確かに入学すると言っていたな。
 雪のような銀髪銀目に白い肌。
 人形のようだった可愛らしさが薄れて、美しさが目立つようになっていた。
 年相応に背が伸びて、学院の制服が良く似合っていた。
 肩に乗せているのは見覚えのあるメタルスライム。
 目を焼くような真赤の魂。
 今日までその本質で苦しむことはなかっただろうか。
 十六歳になった、お嬢様が立っていた。
 ふと、ソフィアがこちらへと目を向けた。
 じろじろと見すぎたかもしれない。
 俺は軽く身を引いてしまう。
 しかし、ソフィアは俺に興味を持たずに目を逸らした。
 そのまま、背を向けると去って行ってしまった。
 複雑な心境で俺はその背中を見送る。
 当然の反応だった。今の俺は無関係。ただの失礼な奴だ。
 すぐ横を別の少女が通り過ぎた。
 思わず顔を上げる。ソフィアと同じ銀髪だった。
 しかし、それだけではなく――
「あれ? どこかで見たことがあるような?」
 ――その姿に見覚えがある気がしたのだ。
 それにしても、周りを見回すとみんな頭が良さそうに見えた。
 ……ナタリーアリスはここで主席次席だったと言う。
 もしかして。いや、ひょっとしたらだけど。
 まさか、あいつら……本当は頭が良かったのか?
 そこでアナウンスがあった。この後は自分のクラスごとに集まるらしい。
 途端に俺は内心で頭を抱えた。
「自己紹介することになったらどうしよう?」
 まさか自分の情報が不足して自己紹介できない奴が存在するなんて。