「お化粧なんて、大人になったら嫌でもするのにねぇ。何も今からわざわざ塗らなくてもいいのに」
近所の高校生のお姉さんが、休みの日にフルメイクで遊びに行くらしいのとすれ違ったママが零した。
陰口って感じじゃなくて、ホントに「残念!」って口調だったな。
「でもぉ、イマドキ高校生ならメイクなんて当たり前なんじゃない!?
鈴ちゃんが持って来たお姉ちゃんの雑誌にメイクのページあったよ」
私の言葉に、ママは首を左右に振る。
「今も昔もないわ。素顔で通用するのが若さの特権なのに」
「えー。でも若い時しかできないことあるじゃん? 服とかもさぁ」
「それでも、その
年齢に相応しい行いってあるのよ」
オシャレ好きな女子高生向けの雑誌だったから、小学五年生だった私にはちょっと早かったのは間違いないよ?
けど
奈々さんは高校生だし、何より本当に似合ってたから別にいいじゃない、ってのが私の気持ちだったんだ。
「奈々さんも学校行くときはしてないんだから、休みの日くらいいーじゃん」
正直「うるさいなぁ」としか思わなかった。雑誌にだって載ってるし、
みんなやってるのになんでダメなの?
うちのママは古臭い、頭固い、ってね。
「若いうちからせっかくピカピカのお肌隠しちゃうなんてもったいないわ。奈々ちゃん、そのままで十分綺麗で可愛いんだし」
ママの言葉通り、奈々さんはすごく美人で素敵なお姉さんだった。
メイクするとそれが際立ってたな。それだけ上手かったのかもしれない。
ギャル、っていうのともちょっと違って、むしろコスメオタクっていうほうが近いかも。
ファッションは全然派手じゃなかったしね。
七つも年下の小学生の私にも、いつも優しかったわ。