以来、何度か四人で楽しい時間を過ごした。
親身になってくれる友人の気持ちを無下にするのは忍びなくて、成り行きで受け入れただけの関係だった。
それだけの筈、だった。
彬に悪い感情は初めからない。特別な想いも一切なかったけれど、そこは咎められることではないだろう。瑠璃から紹介してくれと頼んだわけではないのだから。
あのメンバーと時間を共にするのは、理屈抜きでとても楽しかった。『ダブルデート』という名目だったけれど、瑠璃はあくまでも友人との遊び程度の感覚しか抱いていなかったのだ。
適当に何度か付き合って、時機を見て断りを入れればいいと思っていた。それなら薫乃への義理も立つ。最初は明確にそのつもりだった。
新しい恋なんて口にした彼女に、反論こそはしなかったものの考えてみる気もなかった。もう誰も好きになりたくないとさえ滅入っていたのに。
いつの間にか、そういうすべてをすっかり忘れてしまっていたことに今更のように気づく。
単純に四人で、──彬と会うのが楽しくて。
最近は思い出すこともなくなっていた史也のことが、何故か不意に脳裏に浮かんだ。
友人としての姿しか知らないとはいえ、何かと如才なく計らってくれた史也。
察する能力が高いとでも言うのか、さり気なく先回りして要望を叶えては涼しい顔をしていたものだ。
翻って、何事もまずは瑠璃の意思を確認してから動こうとする彬。「実直・誠実」という言葉が、彼にはそのまま当て嵌まる。
無意識のうちに二人を比べていることを自覚した瞬間、瑠璃は胸に広がった黒い何かにも気づいた。──汚れた感情。
放っておいたら体も心も侵食されて、どんどん嫌な人間になってしまうような気がする。
もし史也より先に、彬に会っていたら。
そうしたら、すべての基準が彬になっていたのかもしれない。何も考えずに彼の気配りを受け入れられたのかも。
まったく意味のない仮定が、頭の中をぐるぐる回り続ける。どうしても止められない。
止められるのは、きっと一人だけ。