「……男の人って、小っちゃい可愛い子が好きよね」
この四人は全員背が高い方だ、という話題になったときだった。
つい零れてしまった言葉に、瑠璃は頭が真っ白になった。どうにか取り繕おうと焦るが、何も思いつかない。
「僕はあまり身長差のある人は、会話しにくいので正直苦手です。座れば平気と言えばそうだけど。人それぞれじゃないのかな?」
おそらくは青褪めているだろう瑠璃への助け舟という風ではなく、彬が淡々と話し出した。
「俺なんかデカいってだけで、特に背の低い子には警戒されるからな。威圧感あるのはわかってるけど、あからさまに怖がられたらこんな図体でも傷つくんだよ」
「まあ僕は背は高くてもヒョロヒョロで弱そうだからそうでもないけど。駿太は体格良いからね」
駿太が嘆くのに、彬が苦笑している。以前に聞いた記憶が正しければ、駿太は百八十五センチだった筈。彬は百八十あるかないか、というところだろうか。
「あたしは駿ちゃんくらいの方がちょうどいいな。自分が大きいから。別に男の方が高くないと! ってのはないんだけど、相手が気にしそうだしそれはそれで面倒かなって」
正面に座る彼氏に笑い掛けながらの薫乃の言葉。
彼女は百七十強で、瑠璃よりさらに数センチ高い。
「なんかゴメン。変なこと言っちゃって、私──」
「瑠璃、そんなの気にすることないって! 彬くんの言う通り、好みも価値観も人それぞれだからさ」
ようやくそれだけ口にした瑠璃に、薫乃が向き直って励ましてくれた。
すっかり振り切った気ではいても、どこかで引き摺っている。
瑠璃よりずっと小さな彼女。せめてあの子と同じくらいの身長だったなら。
それが、それだけが理由ではないと瑠璃も頭では納得していた。なのに、考えても詮無いことが未だ顔を出すのだ。
「……うん。ありがと、薫乃」
無言で同意するような彬と駿太の優しい眼差しにも勇気づけられる気がする。
「よし、じゃ行こっか!」
少し沈んだ空気を振り払うように駿太が明るく声を張るのを合図に、四人は荷物を持って席を立った。
「ねー、次は四人でカラオケ行かない?」
室内遊戯施設で思い切り遊んだその日の別れ際、薫乃が切り出すのを三人が口々に肯定する。
「おっ、いいな!」
「行きたーい。私、カラオケ好きなんだぁ」
こうして、初めての『ダブルデート』は和気藹々とした雰囲気で終わった。
今日は来てよかった、のかもしれない。瑠璃は本当に久しぶりに、心の底から笑って楽しめた気がした。