とりあえず、海へ行こう! 3
ー/ー
海ではしゃぐムツヤ達を眺めて、ユモトはため息をついていた。
「どうしたユモト?」
「どうしたって、水着ですよ水着……」
「似合っていると思うが?」
「アシノさんまで!!」
ユモトはプーッと頬を膨らませる。
「お前だって海は初めてなんだろう? 旅の恥はかき捨てって言うんだから行ったらどうだ?」
「……そうですね」
こんな格好お父さんが見たら泣くだろうなと思いながら、ユモトはそそくさと砂浜を走り抜ける。
「あ、ユモトさーん!!」
「ユモトちゃん観念したのね!!」
「ぼ、僕だって海で遊びたいですもん!」
「やっと素直になったかユモト」
ちょんと足先を海水につける。
少しだけ冷たいが、気持ちが良い。
それからは水着のことなど忘れてムツヤ達と波打ち際で遊んでいた。
そんなムツヤ達を眺める影がある。冒険者の集団だ。
「なんで男だらけで海を楽しまなきゃならねーんだ!!」
「そう言うな、仕方がないだろ」
「そうですよ兄貴、仕方ねぇっす」
長身の男と髪の長い優男、その弟分らしき男。
海に来るには悲しすぎるメンバーだった。
「水着を眺められるのは良いけどよぉー、悲しい……」
「そうっすね……」
「特にあのグループ、上玉揃いじゃねーか!! それを独り占めしてるあの男は何なんだ!?」
「声でも掛けに行く?」
優男に言われると長身の男は下を向いて小声で言う。
「いや、その、それはちょっと……」
「兄貴『鬼のミシマ』って呼ばれているのに女関係は奥手っすよねぇ」
鬼のミシマと呼ばれた男はうなだれた。
「ムツヤっちー、オイル塗ってー!!」
ルーは砂浜に寝そべってビキニの肩紐をおろしていた。
「オイルって、これを体に塗れば良いんですか?」
ムツヤはこれからする事に鼻の下を伸ばす。
「そーよ、そう!!」
「ルー殿! そういう事は私がやります!!」
ムツヤは美味しい役目を取られてしょんぼりとした。
「ヨーリィちゃん海は楽しい?」
ユモトは無表情のまま海でチャプチャプと歩いているヨーリィに話しかける。
「海は初めてだし、凄いと思う」
楽しんでいるのかよく分からない返事が帰ってきた。
そんな2人に近付く男たちが居る。先ほどムツヤを羨望の眼差しで見ていた男達だ。
「お姉さん達ー。今お時間ありますー?」
優男がそうユモトに声を掛けた。一瞬自分のことと思わずに周りを見る。
「お姉さんですよ、お姉さん」
手をこちらに向けられてユモトは自分の事だと分かり顔を真っ赤にした。
「ちっちが、ぼ、僕は男で、いや、この格好はその、いや、あの」
「ははっ、お姉さん面白いね。いやね、ちょっと僕らとも遊んでくれたら嬉しいかなーって」
モモが異変を察知してアシノに耳打ちする。
「アシノ殿、あれって……」
「……ナンパだな。男相手だが……」
「ユモトちゃんモテモテー!! ヒューヒュー!!」
はしゃぐルーだったが、ムツヤは心配そうだった。
「ユモトさん!!」
「……助けてやるか」
「おーい、ソイツは私達のツレなんだ。手を出さないでやってくれ」
「アシノさん!」
救いの手がやってきてユモトはホッと胸を撫で下ろす。
「おねーさんも可愛いね、どう? 僕らと一緒に」
優男はそんな事を言っていたが、筋肉モリモリマッチョマンの鬼のミシマはその名を聞いてハッとする。
「アシノ、赤髪…… いや、まさかな……」
「そのまさかなんですよ、お兄さん」
いつの間にか3人の後ろに回り込んだルーがそう声を出した。
「うわっ、ビックリした!!」
ミシマの弟分はそう言うも、次の瞬間にはルーの胸元に視線が向かう。
「勇者アシノはキエーウを壊滅させたって聞いたぞ!? 今頃その後始末でもしてるんじゃねーのか?」
「キエーウを倒したから羽根を伸ばしに海まで来たのよ!!」
ルーはえっへんと腰に手を当てて胸を張る。
アシノは噂がもうこんな所まで広まっていることに少し驚いた。
「アシノの事を知っていて、その体付きは冒険者ね!?」
「あぁ、そうだ。まさか勇者アシノのパーティだとは知らず、悪かった」
ミシマがそう言ってすごすごと引き返そうとするが、その3人組にルーは待ったをかける。
「ちょい待ち、ウチのユモトちゃんに手を出しておいてそのまま帰れると思ってるの!?」
「いやー、すいませんでした」
優男はにこにこ笑いながら頭を下げた。
「ここで会ったが百年目!! 勝負よ!!」
「え、俺たち初対面なんすけど……」
弟分が言うのもお構いなしにルーは3人組を指さす。
「勝負って言われても、勇者アシノ相手に勝てるわけが……」
「大丈夫!! 海らしい勝負をするから!! 勝ったら好きな子が遊んであげるわ!!」
「勝手に決めてんじゃねぇ!!」
アシノがルーの頭を引っ叩く。「モジャッ」と言って沈んでいった。
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
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「どうしたユモト?」
「どうしたって、水着ですよ水着……」
「似合っていると思うが?」
「アシノさんまで!!」
ユモトはプーッと頬を膨らませる。
「お前だって海は初めてなんだろう? 旅の恥はかき捨てって言うんだから行ったらどうだ?」
「……そうですね」
こんな格好お父さんが見たら泣くだろうなと思いながら、ユモトはそそくさと砂浜を走り抜ける。
「あ、ユモトさーん!!」
「ユモトちゃん観念したのね!!」
「ぼ、僕だって海で遊びたいですもん!」
「やっと素直になったかユモト」
ちょんと足先を海水につける。
少しだけ冷たいが、気持ちが良い。
それからは水着のことなど忘れてムツヤ達と波打ち際で遊んでいた。
そんなムツヤ達を眺める影がある。冒険者の集団だ。
「なんで男だらけで海を楽しまなきゃならねーんだ!!」
「そう言うな、仕方がないだろ」
「そうですよ兄貴、仕方ねぇっす」
長身の男と髪の長い優男、その弟分らしき男。
海に来るには悲しすぎるメンバーだった。
「水着を眺められるのは良いけどよぉー、悲しい……」
「そうっすね……」
「特にあのグループ、上玉揃いじゃねーか!! それを独り占めしてるあの男は何なんだ!?」
「声でも掛けに行く?」
優男に言われると長身の男は下を向いて小声で言う。
「いや、その、それはちょっと……」
「兄貴『鬼のミシマ』って呼ばれているのに女関係は奥手っすよねぇ」
鬼のミシマと呼ばれた男はうなだれた。
「ムツヤっちー、オイル塗ってー!!」
ルーは砂浜に寝そべってビキニの肩紐をおろしていた。
「オイルって、これを体に塗れば良いんですか?」
ムツヤはこれからする事に鼻の下を伸ばす。
「そーよ、そう!!」
「ルー殿! そういう事は私がやります!!」
ムツヤは美味しい役目を取られてしょんぼりとした。
「ヨーリィちゃん海は楽しい?」
ユモトは無表情のまま海でチャプチャプと歩いているヨーリィに話しかける。
「海は初めてだし、凄いと思う」
楽しんでいるのかよく分からない返事が帰ってきた。
そんな2人に近付く男たちが居る。先ほどムツヤを羨望の眼差しで見ていた男達だ。
「お姉さん達ー。今お時間ありますー?」
優男がそうユモトに声を掛けた。一瞬自分のことと思わずに周りを見る。
「お姉さんですよ、お姉さん」
手をこちらに向けられてユモトは自分の事だと分かり顔を真っ赤にした。
「ちっちが、ぼ、僕は男で、いや、この格好はその、いや、あの」
「ははっ、お姉さん面白いね。いやね、ちょっと僕らとも遊んでくれたら嬉しいかなーって」
モモが異変を察知してアシノに耳打ちする。
「アシノ殿、あれって……」
「……ナンパだな。男相手だが……」
「ユモトちゃんモテモテー!! ヒューヒュー!!」
はしゃぐルーだったが、ムツヤは心配そうだった。
「ユモトさん!!」
「……助けてやるか」
「おーい、ソイツは私達のツレなんだ。手を出さないでやってくれ」
「アシノさん!」
救いの手がやってきてユモトはホッと胸を撫で下ろす。
「おねーさんも可愛いね、どう? 僕らと一緒に」
優男はそんな事を言っていたが、筋肉モリモリマッチョマンの鬼のミシマはその名を聞いてハッとする。
「アシノ、赤髪…… いや、まさかな……」
「そのまさかなんですよ、お兄さん」
いつの間にか3人の後ろに回り込んだルーがそう声を出した。
「うわっ、ビックリした!!」
ミシマの弟分はそう言うも、次の瞬間にはルーの胸元に視線が向かう。
「勇者アシノはキエーウを壊滅させたって聞いたぞ!? 今頃その後始末でもしてるんじゃねーのか?」
「キエーウを倒したから羽根を伸ばしに海まで来たのよ!!」
ルーはえっへんと腰に手を当てて胸を張る。
アシノは噂がもうこんな所まで広まっていることに少し驚いた。
「アシノの事を知っていて、その体付きは冒険者ね!?」
「あぁ、そうだ。まさか勇者アシノのパーティだとは知らず、悪かった」
ミシマがそう言ってすごすごと引き返そうとするが、その3人組にルーは待ったをかける。
「ちょい待ち、ウチのユモトちゃんに手を出しておいてそのまま帰れると思ってるの!?」
「いやー、すいませんでした」
優男はにこにこ笑いながら頭を下げた。
「ここで会ったが百年目!! 勝負よ!!」
「え、俺たち初対面なんすけど……」
弟分が言うのもお構いなしにルーは3人組を指さす。
「勝負って言われても、勇者アシノ相手に勝てるわけが……」
「大丈夫!! 海らしい勝負をするから!! 勝ったら好きな子が遊んであげるわ!!」
「勝手に決めてんじゃねぇ!!」
アシノがルーの頭を引っ叩く。「モジャッ」と言って沈んでいった。