とりあえず、海へ行こう! 4
ー/ー
「第1回!! チキチキ海辺のビーチフラッグ選手権!!」
ルーがテンション高めに声を上げる。何だ何だと見物人もチラホラと集まっていた。
「ルールは簡単!! ここから走って先にある旗を取った人の勝利です!! あ、魔法の強化は禁止ね!」
「なるほど、確かに簡単だ」
優男は頷いて言う。勇者アシノのパーティでもこれならばまだ勝算はある。
「ウチからはモモちゃんが行くわ!!」
「へぇ、あのオークの美人さんか…… ならばこっちは僕が行くよ」
そう優男は名乗りを上げた。
「え、わ、私ですか!?」
突然ゲームに参加させられたモモは少し驚くが、それを受け入れる。
「まぁ、分かりました。正々堂々勝負だ」
「はいはい、それじゃ位置についてー」
ルーが言うと、優男とモモの2人は並んで構えた。
「よーい、ドン!」
勢いよく両者走り出す。
「おーっと、ナンパ男くんが少しリードか!? その後ろからモモちゃんが追い上げる!! 勝利の女神はどちらにチュウをするのか!?」
勝手にルーが実況を入れだした。その通り優男が少し先を走っている。
「モモちゃーん、このままだと1日デートよー!!」
そうだ、脳裏にムツヤの顔が浮かぶ。
仲間のためにも、自分のためにも負けられない!!
そんな事を思われていたムツヤだったが、当の本人は男達とプルンプルーン揺れるモモの胸を見てのんきに鼻を伸ばしていた。
「最後の直線に入ったー!! 旗を制するのはナンパ男くんか!? モモちゃんか!?」
旗が射程圏内に入る。両者勢いよく飛び込んだ。そして旗を掴んだのは……
「モモちゃんだー!!!」
モモが天高く旗を掲げる。1回戦目を制したのはモモだった。
「お次はー? スイカ割り対決ー!!」
いつの間にかルーは大きなスイカを2つ用意していた。
「ルールは知っての通り、目隠ししてグルグル回った後、スイカを先に割った方の勝ちでーす」
「なるほど、分かりやすい。ここは俺に行かせて下さい!!」
ミシマの弟分の男が今度は挑戦するみたいだ。
「それじゃこっちはユモトちゃん」
ルーが言うとユモトは驚きの声を上げる。
「え、僕もやるんですか!?」
「当たり前よねぇ」
こちらは勝手にユモトが参戦することになった。
挑戦する2人は、スイカから少し離れた場所に立ち、目隠しをされる。
「よーし、よーいスタート!! それじゃ棒を置いてグルグル10回まわってー!!」
言われるがままにグルグルと回った。ユモトは5回まわったぐらいでフラフラになる。
ミシマの弟分が先に回り終わり、ヨロヨロと歩き出した。
「もっと前だ、そして右!!」
早速、ミシマ達が支持を出し始めた。遅れてユモトもスタートする。
「ユモト、頑張れ!!」
「ユモトちゃーん、もっと前に行って左よー!!」
飛び交うモモの声援とスイカの場所のヒント。
「え、え、どこですかー」
「ちょい右、そして上!!!」
「上ってなんですか!?」
棒を振り上げたままユモトはあっちへ行ったりこっちへ行ったりしている。
その周りをルーがギャーギャー騒ぎながら歩いていた。
その瞬間、ユモトは足がふらついて倒れそうになってしまう。
ぽよよんと柔らかい感触がする。
「やーん、ユモトちゃんのエッチー!!」
ユモトはルーの別のスイカに思い切り顔を押し付けていた。
「あ、すみませんすみません!!」
ユモトは急いで体勢を立て直して後退りする。その時勢い余ってよろめく。
グシャッ。
転ぶと同時に持っていた棒で偶然にもスイカを割ることが出来てしまった。
「第2回戦はユモトちゃんの勝ちー!!!」
目隠しを取って割れたスイカを見てユモトはふぅーっと胸を撫で下ろす。
「ミシマの兄貴ィー面目ねぇ!!」
「いや、仕方がねぇ」
ムツヤ達は倒れているユモトを取り囲んで賛辞を送る。
「よくやったユモト」
アシノが言うとユモトは照れて頭をかいた。
「アシノさん、でも何か偶然なような……」
ルーは早速割れたスイカを拾ってモシャモシャ食べながら言う。
「ぐうじぇんでもいいのお」
「怪我しなかったですか?」
「あ、いえ、大丈夫です」
ムツヤが言いながらユモトの手を取って起き上がらせる。ちょっと恥ずかしくて思わず赤面した。
「さーて、お次はー? ラスト!! ビーチバレー対決!!」
「ビーチバレー?」
ムツヤやモモ、ユモトやヨーリィといった海が初めて組は思わず首を傾げる。
「何かこう、ボールをポンポンポーンってやって相手の陣地に叩き込む奴よ!!」
相変わらずルーの説明は何を言っているのか分からない。
「じゃあルールを知っているアシノと私で行くわ!!」
フンスと胸を張っていうルーだったが、アシノが待ったをかけた。
「ビーチバレーならちびっ子のお前じゃ不利だろ」
「ちびっ子言うなし!!!」
「ちびっ子だ」「違うし」と言い合いながらも、ルーとアシノのデコボココンビが戦うことになる。
「でも向こう3人組よね、ルールとはちょっと違うけど3対3の勝負でどうかしら?」
「こっちはそれで構わないよ」
優男がそう言ったのでルーはヨーリィに声をかける。
「ヨーリィちゃん、一緒にビーチバレーで遊ぼうか」
「よく分かりませんが」
「私がルールを教える」
アシノが簡単に説明するとヨーリィは「わかった」と返事をした。
「それじゃ行くわよー?」
アシノがサーブを打ち、相手チームがそれを難なく返す。ヨーリィも小さい体ではあるが、持ち前の機動力を生かして頑張っていた。
(流石は勇者アシノのパーティだ)
ミシマがそんな事を思っていたら、アシノのスパイクが敵陣の地面に決まる。
その瞬間。
チュドーン!!!
爆発音と共に吹き飛ぶミシマ達、それを唖然と見るアシノ達。
「は? 何が起こったんだ!?」
「あ、あのー、あのボールムツヤっちのカバンから取ってきた奴なんだよね……」
ルーが言うと全員に沈黙が走った。
「ば、爆発オチなんてダメー!!」
場をごまかすためにルーが叫ぶとアシノは頭を引っ叩いた。
「お前のせいだろ!!」
「うーん、ハッ……」
「気が付いたか。良かった」
ミシマは頭に柔らかな感触を覚える。そして見上げるとアシノが微笑んでこちらを見ていた。
男臭い人生で初めての膝枕をされている。
「俺は……」
「私の力が暴走したみたいでな、すまなかった」
あの爆発ボールはアシノの力が暴発したという事に口裏を合わせた。
「まぁ、女の子達と遊べたし、こうして膝枕もしてもらえたし、試合に負けて勝負に勝ったって所かな?」
優男はルーに膝枕を、弟分はヨーリィに膝枕をされている。
「自分、いままで乳はデカければ良いと思ってたっす。でも自分新たな扉が開きそうっす!!!」
しばらくして男達が回復すると、互いの健闘を讃えて握手をした。
「私達、夜にバーベキューするけど、お詫びがてら一緒にどうかしら?」
「是非ご一緒させて頂きたいね」
「あ、あぁ、そうだな!!」
優男が言うとミシマも乗っかってきた。
約束をすると一旦解散となり、日が暮れるまでそれぞれ遊ぶ。
大きな太陽が海に沈んでいく、その様を皆で浜辺に座って眺めていた。
「ムツヤ、お前がしたかった冒険はできているか?」
アシノが聞くとムツヤは笑顔で答える。
「はい! ものすごく楽しいでず!!」
そうかと言ってアシノは笑う。モモは何だかアシノがよく笑うようになったなと思っていた。
辺りが暗くなると、約束通り皆で集まってバーベキューが始まる。
見知らぬ土地で酒と肉と仲間、ムツヤは最高の冒険者生活をおくっていた。
こんな生活がいつまでも続けばいいのにと。
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
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「なるほど、確かに簡単だ」
優男は頷いて言う。勇者アシノのパーティでもこれならばまだ勝算はある。
「ウチからはモモちゃんが行くわ!!」
「へぇ、あのオークの美人さんか…… ならばこっちは僕が行くよ」
そう優男は名乗りを上げた。
「え、わ、私ですか!?」
突然ゲームに参加させられたモモは少し驚くが、それを受け入れる。
「まぁ、分かりました。正々堂々勝負だ」
「はいはい、それじゃ位置についてー」
ルーが言うと、優男とモモの2人は並んで構えた。
「よーい、ドン!」
勢いよく両者走り出す。
「おーっと、ナンパ男くんが少しリードか!? その後ろからモモちゃんが追い上げる!! 勝利の女神はどちらにチュウをするのか!?」
勝手にルーが実況を入れだした。その通り優男が少し先を走っている。
「モモちゃーん、このままだと1日デートよー!!」
そうだ、脳裏にムツヤの顔が浮かぶ。
仲間のためにも、自分のためにも負けられない!!
そんな事を思われていたムツヤだったが、当の本人は男達とプルンプルーン揺れるモモの胸を見てのんきに鼻を伸ばしていた。
「最後の直線に入ったー!! 旗を制するのはナンパ男くんか!? モモちゃんか!?」
旗が射程圏内に入る。両者勢いよく飛び込んだ。そして旗を掴んだのは……
「モモちゃんだー!!!」
モモが天高く旗を掲げる。1回戦目を制したのはモモだった。
「お次はー? スイカ割り対決ー!!」
いつの間にかルーは大きなスイカを2つ用意していた。
「ルールは知っての通り、目隠ししてグルグル回った後、スイカを先に割った方の勝ちでーす」
「なるほど、分かりやすい。ここは俺に行かせて下さい!!」
ミシマの弟分の男が今度は挑戦するみたいだ。
「それじゃこっちはユモトちゃん」
ルーが言うとユモトは驚きの声を上げる。
「え、僕もやるんですか!?」
「当たり前よねぇ」
こちらは勝手にユモトが参戦することになった。
挑戦する2人は、スイカから少し離れた場所に立ち、目隠しをされる。
「よーし、よーいスタート!! それじゃ棒を置いてグルグル10回まわってー!!」
言われるがままにグルグルと回った。ユモトは5回まわったぐらいでフラフラになる。
ミシマの弟分が先に回り終わり、ヨロヨロと歩き出した。
「もっと前だ、そして右!!」
早速、ミシマ達が支持を出し始めた。遅れてユモトもスタートする。
「ユモト、頑張れ!!」
「ユモトちゃーん、もっと前に行って左よー!!」
飛び交うモモの声援とスイカの場所のヒント。
「え、え、どこですかー」
「ちょい右、そして上!!!」
「上ってなんですか!?」
棒を振り上げたままユモトはあっちへ行ったりこっちへ行ったりしている。
その周りをルーがギャーギャー騒ぎながら歩いていた。
その瞬間、ユモトは足がふらついて倒れそうになってしまう。
ぽよよんと柔らかい感触がする。
「やーん、ユモトちゃんのエッチー!!」
ユモトはルーの別のスイカに思い切り顔を押し付けていた。
「あ、すみませんすみません!!」
ユモトは急いで体勢を立て直して後退りする。その時勢い余ってよろめく。
グシャッ。
転ぶと同時に持っていた棒で偶然にもスイカを割ることが出来てしまった。
「第2回戦はユモトちゃんの勝ちー!!!」
目隠しを取って割れたスイカを見てユモトはふぅーっと胸を撫で下ろす。
「ミシマの兄貴ィー面目ねぇ!!」
「いや、仕方がねぇ」
ムツヤ達は倒れているユモトを取り囲んで賛辞を送る。
「よくやったユモト」
アシノが言うとユモトは照れて頭をかいた。
「アシノさん、でも何か偶然なような……」
ルーは早速割れたスイカを拾ってモシャモシャ食べながら言う。
「ぐうじぇんでもいいのお」
「怪我しなかったですか?」
「あ、いえ、大丈夫です」
ムツヤが言いながらユモトの手を取って起き上がらせる。ちょっと恥ずかしくて思わず赤面した。
「さーて、お次はー? ラスト!! ビーチバレー対決!!」
「ビーチバレー?」
ムツヤやモモ、ユモトやヨーリィといった海が初めて組は思わず首を傾げる。
「何かこう、ボールをポンポンポーンってやって相手の陣地に叩き込む奴よ!!」
相変わらずルーの説明は何を言っているのか分からない。
「じゃあルールを知っているアシノと私で行くわ!!」
フンスと胸を張っていうルーだったが、アシノが待ったをかけた。
「ビーチバレーならちびっ子のお前じゃ不利だろ」
「ちびっ子言うなし!!!」
「ちびっ子だ」「違うし」と言い合いながらも、ルーとアシノのデコボココンビが戦うことになる。
「でも向こう3人組よね、ルールとはちょっと違うけど3対3の勝負でどうかしら?」
「こっちはそれで構わないよ」
優男がそう言ったのでルーはヨーリィに声をかける。
「ヨーリィちゃん、一緒にビーチバレーで遊ぼうか」
「よく分かりませんが」
「私がルールを教える」
アシノが簡単に説明するとヨーリィは「わかった」と返事をした。
「それじゃ行くわよー?」
アシノがサーブを打ち、相手チームがそれを難なく返す。ヨーリィも小さい体ではあるが、持ち前の機動力を生かして頑張っていた。
(流石は勇者アシノのパーティだ)
ミシマがそんな事を思っていたら、アシノのスパイクが敵陣の地面に決まる。
その瞬間。
チュドーン!!!
爆発音と共に吹き飛ぶミシマ達、それを唖然と見るアシノ達。
「は? 何が起こったんだ!?」
「あ、あのー、あのボールムツヤっちのカバンから取ってきた奴なんだよね……」
ルーが言うと全員に沈黙が走った。
「ば、爆発オチなんてダメー!!」
場をごまかすためにルーが叫ぶとアシノは頭を引っ叩いた。
「お前のせいだろ!!」
「うーん、ハッ……」
「気が付いたか。良かった」
ミシマは頭に柔らかな感触を覚える。そして見上げるとアシノが微笑んでこちらを見ていた。
男臭い人生で初めての膝枕をされている。
「俺は……」
「私の力が暴走したみたいでな、すまなかった」
あの爆発ボールはアシノの力が暴発したという事に口裏を合わせた。
「まぁ、女の子達と遊べたし、こうして膝枕もしてもらえたし、試合に負けて勝負に勝ったって所かな?」
優男はルーに膝枕を、弟分はヨーリィに膝枕をされている。
「自分、いままで乳はデカければ良いと思ってたっす。でも自分新たな扉が開きそうっす!!!」
しばらくして男達が回復すると、互いの健闘を讃えて握手をした。
「私達、夜にバーベキューするけど、お詫びがてら一緒にどうかしら?」
「是非ご一緒させて頂きたいね」
「あ、あぁ、そうだな!!」
優男が言うとミシマも乗っかってきた。
約束をすると一旦解散となり、日が暮れるまでそれぞれ遊ぶ。
大きな太陽が海に沈んでいく、その様を皆で浜辺に座って眺めていた。
「ムツヤ、お前がしたかった冒険はできているか?」
アシノが聞くとムツヤは笑顔で答える。
「はい! ものすごく楽しいでず!!」
そうかと言ってアシノは笑う。モモは何だかアシノがよく笑うようになったなと思っていた。
辺りが暗くなると、約束通り皆で集まってバーベキューが始まる。
見知らぬ土地で酒と肉と仲間、ムツヤは最高の冒険者生活をおくっていた。
こんな生活がいつまでも続けばいいのにと。