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第二部 59話 ブラウン団長の胸騒ぎ

ー/ー



 クロード隊長に連れられて牢を出た。
 準備を整えてから、騎士団の詰所に向かう。

「あはは! お兄ちゃん、とうとう捕まったね?」
「私は無実だと信じてたのに……ふふ」
 会議室として使われている部屋に入ると、ナタリーアリスが笑った。

「うるさい。俺はいつだって無実だ」
 部屋には俺と王都まで同行したメンバーが揃っていた。

 ソフィアは少しだけ不機嫌そうだった。
 いつものメンバーにクロード隊長を交えた形だ。

 ブラウン団長が口を開く。

「まず、騎士団長と組合長が不在の状態だ。
 三組織の考え方に従って、私が全体の指揮を取らせてもらう」
 魔術師団長の言葉に全員が頷いた。

「まずは状況の再確認から。
 騎士団長が襲撃された。一命は取り留めたが重傷。犯人は『白鬼』」

 そこでブラウン団長は言葉を切って、全体を見た。
 ナタリーアリスもソフィアも黙って聞いている。

「『白鬼』は固有スキルで『アッシュ・クレフ』『ラルフ・コーネル』に化けることが確認できている。直接接触によって相手を昏倒させ、化けることが可能になる。未だ王都に潜伏中。私達の目的は『白鬼』の討伐だ」

 ブラウン団長は続ける。

「現状、何よりも問題なのは、相手の目的が分かっていないことだろう。
 長期的な視点では騎士団長を襲撃した目的。
 短期的な視点では逃亡が目的なのか。
 あるいはまだ達成するべき目的があるのか」

 確かにそうだ。
 極端な話『白鬼』は姿を見せなければ好き放題が出来た。

「今は短期的な目的だけ考えれば良い。
 逃亡が目的ならば逃がさない。他に目的があれば阻止する」

 ブラウン団長がいつもより警戒しているのが分かった。

「可能であれば『白鬼』の意識が逃亡にあるかどうかだけでも知りたい。
 行動する上で意識しておいて欲しい」

 そこからは実際の行動について話し合う。

「ナタリーとピノは王都の情報を集めてほしい」
「了解。お兄ちゃんとラルフさん、後は怪しい場所を探すね」
 ナタリーの返事にブラウン団長が頷く。

「『白鬼』の情報は公表しない。
 何かされるとすれば、油断させた上での奇襲が濃厚だ。要人の護衛を徹底する」
「その辺りは俺ですかね?」
「ああ、任せよう。私達も護衛対象なのが心苦しいな」
 クロード隊長の言葉にブラウン団長が笑みを返す。

「ふむ。正直、一番扱いにくいのは『アッシュ・クレフ』か」
 ブラウン団長が困ったように俺を見る。

「ふふ。そうね? 先生は常に偽物の危険があるもの。
 実はすでに偽物だったり?」
 ソフィアが楽しそうに笑う。一気に機嫌は直ったようだった。

「アッシュには『白鬼』を追ってもらうのが良いか?
 姿を奪われる危険性がないのは『白鬼』と対面する上では大きい。
 その上でアッシュは偽物の前提で確認を徹底する」
「分かりました」
 俺が頷いたら、大まかな動きは決まった。

 最後にブラウン団長が神妙な口調で締めくくった。
 それはまるで呟きのようにも聞こえた。

「皆、出来る限り慎重に行動して欲しい……嫌な予感がする」



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 クロード隊長に連れられて牢を出た。
 準備を整えてから、騎士団の詰所に向かう。
「あはは! お兄ちゃん、とうとう捕まったね?」
「私は無実だと信じてたのに……ふふ」
 会議室として使われている部屋に入ると、ナタリーアリスが笑った。
「うるさい。俺はいつだって無実だ」
 部屋には俺と王都まで同行したメンバーが揃っていた。
 ソフィアは少しだけ不機嫌そうだった。
 いつものメンバーにクロード隊長を交えた形だ。
 ブラウン団長が口を開く。
「まず、騎士団長と組合長が不在の状態だ。
 三組織の考え方に従って、私が全体の指揮を取らせてもらう」
 魔術師団長の言葉に全員が頷いた。
「まずは状況の再確認から。
 騎士団長が襲撃された。一命は取り留めたが重傷。犯人は『白鬼』」
 そこでブラウン団長は言葉を切って、全体を見た。
 ナタリーアリスもソフィアも黙って聞いている。
「『白鬼』は固有スキルで『アッシュ・クレフ』『ラルフ・コーネル』に化けることが確認できている。直接接触によって相手を昏倒させ、化けることが可能になる。未だ王都に潜伏中。私達の目的は『白鬼』の討伐だ」
 ブラウン団長は続ける。
「現状、何よりも問題なのは、相手の目的が分かっていないことだろう。
 長期的な視点では騎士団長を襲撃した目的。
 短期的な視点では逃亡が目的なのか。
 あるいはまだ達成するべき目的があるのか」
 確かにそうだ。
 極端な話『白鬼』は姿を見せなければ好き放題が出来た。
「今は短期的な目的だけ考えれば良い。
 逃亡が目的ならば逃がさない。他に目的があれば阻止する」
 ブラウン団長がいつもより警戒しているのが分かった。
「可能であれば『白鬼』の意識が逃亡にあるかどうかだけでも知りたい。
 行動する上で意識しておいて欲しい」
 そこからは実際の行動について話し合う。
「ナタリーとピノは王都の情報を集めてほしい」
「了解。お兄ちゃんとラルフさん、後は怪しい場所を探すね」
 ナタリーの返事にブラウン団長が頷く。
「『白鬼』の情報は公表しない。
 何かされるとすれば、油断させた上での奇襲が濃厚だ。要人の護衛を徹底する」
「その辺りは俺ですかね?」
「ああ、任せよう。私達も護衛対象なのが心苦しいな」
 クロード隊長の言葉にブラウン団長が笑みを返す。
「ふむ。正直、一番扱いにくいのは『アッシュ・クレフ』か」
 ブラウン団長が困ったように俺を見る。
「ふふ。そうね? 先生は常に偽物の危険があるもの。
 実はすでに偽物だったり?」
 ソフィアが楽しそうに笑う。一気に機嫌は直ったようだった。
「アッシュには『白鬼』を追ってもらうのが良いか?
 姿を奪われる危険性がないのは『白鬼』と対面する上では大きい。
 その上でアッシュは偽物の前提で確認を徹底する」
「分かりました」
 俺が頷いたら、大まかな動きは決まった。
 最後にブラウン団長が神妙な口調で締めくくった。
 それはまるで呟きのようにも聞こえた。
「皆、出来る限り慎重に行動して欲しい……嫌な予感がする」