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第二部 58話 不服申立

ー/ー



 ヒルダ団長を襲撃!? このタイミングで?
 ……やられた。これじゃあ、俺が捕まるのは当然だ。

 俺達が追っていることを知っていたのだろう。
 だから俺達が王都へ着く直前に襲撃をしたのだ。

「ヒルダ団長は無事ですか?」
「? 何だ? 自首に来たのではないのか?
 事情くらいは聞いてやろうと思っていたのだが」
 俺の質問にクロード隊長が不思議そうに首を傾げた。

 恐らくは信頼できる目撃情報があるのだろう。
 そうだとすれば、状況的には自首にしか見えない。

「それは……っ」
 事情を話そうとした瞬間、小さな影が割って入った。

 ソフィアがクロード隊長に斬りかかっていた。
 クロード隊長は素早く長剣を抜いて、ソフィアの一撃を受け止める。

 ソフィアは表情を消して、連撃を繰り出していた。
 とは言え、相手は騎士団の隊長。ソフィアの連撃を受け流している。

「何だ? この子供?
 銀髪銀目のハーフエルフ……ソフィア様!?」
 クロード隊長が相手の正体に気付いて声を張り上げた。

 ソフィアの方は返事もしない。
 完全に我を忘れている状態だろう。

 バチ、という錬金音。
 ソフィアの足元で錬金が行われ、クロード隊長の横を高速で走り抜ける。

「!」
 その速さにクロード隊長が少し余裕を失う。

 それでもキン、とソフィアの小剣を弾いて見せる。
 さらにソフィアへと向き直り――今度こそ余裕をなくした。

 ソフィアはすでにクロード隊長の背後に壁を錬金していた。
 走り抜けた勢いそのままに、ソフィアが壁を蹴りつける。

「ふ」
 跳ね返るように、クロード隊長へと突っ込んでくる。

「お嬢様!」
 俺は声を張り上げると、リックを鎖に錬金する。

 ソフィアの両手両足を縛り付ける。
 その小剣はクロード隊長の右肩に突き刺さる直前だった。
 
「……」
 殺せないから利き腕を潰そうと言う発想か。
 
 騎士団の隊長に斬りかかるという暴挙に出たソフィアは不満げに顔を背けている。

 騎士団は誰も言葉を発することが出来ないでいる。
 不意討ちで、なおかつ反撃できない状況だが、隊長が倒されそうになったのだ。

「大人しく連行されますから、ここはお互いに引き下がってください」
 俺の言葉にクロード隊長が頷く。

 たっぷり数十秒経って、ソフィアも小さく頷いた。



 地下牢で一晩を過ごす。
 
 リックは没収されていたし、錬金も試してみたが出来なかった。
 加工出来ないように、スキルが使用されると聞いた気がする。
 
 朝になるとクロード隊長がやって来た。

「ひとまず、無実なのは分かった。
 魔術師団長の証言を無視するほど馬鹿じゃないのでね」
「良かったです」
「しかし、随分と特殊な状況だな?」
「俺に言わないで下さい」
「あと、ソフィア様の教育方針は合ってるか?」
「……あれでも良くやってる方なんです」
 クロード隊長が笑った。

「出ろ。ひとまず情報の共有だ」
「はい」
「まずはヒルダ団長がお前の姿で襲われた。
 一命は取り留めたが重傷。しばらくは指揮を取れないだろう」
「……はい」
「当然『白鬼』の討伐を進める予定だ。
 しかし俺達は鬼の情報が足りていない。協力してもらう」
「はい」
 望むところだった。



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 ヒルダ団長を襲撃!? このタイミングで?
 ……やられた。これじゃあ、俺が捕まるのは当然だ。
 俺達が追っていることを知っていたのだろう。
 だから俺達が王都へ着く直前に襲撃をしたのだ。
「ヒルダ団長は無事ですか?」
「? 何だ? 自首に来たのではないのか?
 事情くらいは聞いてやろうと思っていたのだが」
 俺の質問にクロード隊長が不思議そうに首を傾げた。
 恐らくは信頼できる目撃情報があるのだろう。
 そうだとすれば、状況的には自首にしか見えない。
「それは……っ」
 事情を話そうとした瞬間、小さな影が割って入った。
 ソフィアがクロード隊長に斬りかかっていた。
 クロード隊長は素早く長剣を抜いて、ソフィアの一撃を受け止める。
 ソフィアは表情を消して、連撃を繰り出していた。
 とは言え、相手は騎士団の隊長。ソフィアの連撃を受け流している。
「何だ? この子供?
 銀髪銀目のハーフエルフ……ソフィア様!?」
 クロード隊長が相手の正体に気付いて声を張り上げた。
 ソフィアの方は返事もしない。
 完全に我を忘れている状態だろう。
 バチ、という錬金音。
 ソフィアの足元で錬金が行われ、クロード隊長の横を高速で走り抜ける。
「!」
 その速さにクロード隊長が少し余裕を失う。
 それでもキン、とソフィアの小剣を弾いて見せる。
 さらにソフィアへと向き直り――今度こそ余裕をなくした。
 ソフィアはすでにクロード隊長の背後に壁を錬金していた。
 走り抜けた勢いそのままに、ソフィアが壁を蹴りつける。
「ふ」
 跳ね返るように、クロード隊長へと突っ込んでくる。
「お嬢様!」
 俺は声を張り上げると、リックを鎖に錬金する。
 ソフィアの両手両足を縛り付ける。
 その小剣はクロード隊長の右肩に突き刺さる直前だった。
「……」
 殺せないから利き腕を潰そうと言う発想か。
 騎士団の隊長に斬りかかるという暴挙に出たソフィアは不満げに顔を背けている。
 騎士団は誰も言葉を発することが出来ないでいる。
 不意討ちで、なおかつ反撃できない状況だが、隊長が倒されそうになったのだ。
「大人しく連行されますから、ここはお互いに引き下がってください」
 俺の言葉にクロード隊長が頷く。
 たっぷり数十秒経って、ソフィアも小さく頷いた。
 地下牢で一晩を過ごす。
 リックは没収されていたし、錬金も試してみたが出来なかった。
 加工出来ないように、スキルが使用されると聞いた気がする。
 朝になるとクロード隊長がやって来た。
「ひとまず、無実なのは分かった。
 魔術師団長の証言を無視するほど馬鹿じゃないのでね」
「良かったです」
「しかし、随分と特殊な状況だな?」
「俺に言わないで下さい」
「あと、ソフィア様の教育方針は合ってるか?」
「……あれでも良くやってる方なんです」
 クロード隊長が笑った。
「出ろ。ひとまず情報の共有だ」
「はい」
「まずはヒルダ団長がお前の姿で襲われた。
 一命は取り留めたが重傷。しばらくは指揮を取れないだろう」
「……はい」
「当然『白鬼』の討伐を進める予定だ。
 しかし俺達は鬼の情報が足りていない。協力してもらう」
「はい」
 望むところだった。