第二部 56話 追跡
ー/ー「なるほどな。アッシュ・クレフの偽物ねぇ」
俺達の報告を聞いて、組合長は目を細めて呟いた。
場所は組合長が仕事で使っている屋敷の一室だった。
「はい。すでにスーレへと潜入されています。
正直、何をされるか不安で仕方ない」
「ははっ。相変わらず、鬼に大人気じゃないか」
組合長の言葉に、同席したラルフが苦笑する。
「笑いごとじゃあ……」
「分かってる。だが出来ることが限られているのも事実だ。
まずは検問の強化。後は上層部と要人、関係者に連絡だ」
「はい」
組合長の指示にラルフが頷いた。
俺達の警戒を他所に『白鬼』は大きな事件は起こさなかった。
代わりに良く分からない行動を取り始めた。
「何なんですか、コイツ!?」
俺は声を荒げて、机をばしばしと叩いた。
場所は会議で使っている一室。
組合長にラルフ。ブラウン団長。ソフィアとユイ。
主要人物が揃っていた。
俺は騎士団代表になるのか?
「ただの俺への嫌がらせじゃないですか!?」
全員を見回しながら、俺は言葉を続けた。
「いや、深い目的があるのかも知れない……?」
珍しくブラウン団長が自信なさそうに意見を言う。
ちなみにソフィアは俯いて笑いを堪えている。
ユイも視線を逸らして笑わないようにしていた。
上がってきた報告はこうだ。
――アッシュ・クレフに露店の品物を盗まれた。
――アッシュ・クレフに痴漢された。
――アッシュ・クレフに食い逃げされた。
――アッシュ・クレフに誘拐されそうになった。
ご丁寧にも騎士団の制服を着て、見つかったらわざわざ自己紹介しながら逃げていくらしい。
あからさまな小悪党っぷりで軽犯罪を繰り返している。
ナタリーアリスは腹を抱えて笑っていた。
明らかに俺への嫌がらせだった。
目的があるのは間違いないが、必要以上の悪意を感じる。
「ま、今は警戒を強めるしかないか」
「それしかないだろうな」
組合長が呟いて、ブラウン団長が応じた。
「失礼します」
しかし、そこに伝令が入って来た。
ラルフが話を聞きに行く。
何度か言葉を交わすと、ラルフが振り返って溜息を吐いた。
「アッシュ・クレフが検問を出て行ったそうです」
全員の視線が俺へと向けられる。俺を見られても。
「ふむ。警戒してもこれか……本物と見分けがつかないからな。
逃げられたということだろう」
「検問を通る際に『王都へ向かう』と言ったそうです」
ブラウン団長の言葉にラルフが補足した。
「なるほどな。ちょうど良い。アッシュ・クレフ一行に依頼を出す。
そこの公爵令嬢様を王都に送り届けろ」
「なるほど。ソフィア様をいつまでもこの都市に置いておくわけにもいかないということか。それは確かに」
組合長の言葉にブラウン団長が同意する。
「もしも偽物が王都へ向かっていたら、その追跡も兼ねた依頼だ」
「はい。分かりました」
とんとん拍子に王都行きが決定していた。
「アイツ! 本当に何だってんだ!?」
俺は馬車の中で罵詈雑言をまき散らす。
ソフィア用の高級馬車の後ろを走る通常の馬車だ。
ナタリーアリスは相変わらず笑い転げているし、ブラウン団長やリックは苦笑している。
王都への街道で『白鬼』は俺の姿で悪戯を繰り返した。
そのせいで俺は立ち寄る村全てで犯罪者扱いである。
「足止めだとしても、必要以上の悪意があるんだよ!」
叫んでみたものの、不安は残る。
分かりやすく王都への手がかりを残しているのは何故だ?
その気になれば王都への潜入なんて簡単だろうに。
俺達の報告を聞いて、組合長は目を細めて呟いた。
場所は組合長が仕事で使っている屋敷の一室だった。
「はい。すでにスーレへと潜入されています。
正直、何をされるか不安で仕方ない」
「ははっ。相変わらず、鬼に大人気じゃないか」
組合長の言葉に、同席したラルフが苦笑する。
「笑いごとじゃあ……」
「分かってる。だが出来ることが限られているのも事実だ。
まずは検問の強化。後は上層部と要人、関係者に連絡だ」
「はい」
組合長の指示にラルフが頷いた。
俺達の警戒を他所に『白鬼』は大きな事件は起こさなかった。
代わりに良く分からない行動を取り始めた。
「何なんですか、コイツ!?」
俺は声を荒げて、机をばしばしと叩いた。
場所は会議で使っている一室。
組合長にラルフ。ブラウン団長。ソフィアとユイ。
主要人物が揃っていた。
俺は騎士団代表になるのか?
「ただの俺への嫌がらせじゃないですか!?」
全員を見回しながら、俺は言葉を続けた。
「いや、深い目的があるのかも知れない……?」
珍しくブラウン団長が自信なさそうに意見を言う。
ちなみにソフィアは俯いて笑いを堪えている。
ユイも視線を逸らして笑わないようにしていた。
上がってきた報告はこうだ。
――アッシュ・クレフに露店の品物を盗まれた。
――アッシュ・クレフに痴漢された。
――アッシュ・クレフに食い逃げされた。
――アッシュ・クレフに誘拐されそうになった。
ご丁寧にも騎士団の制服を着て、見つかったらわざわざ自己紹介しながら逃げていくらしい。
あからさまな小悪党っぷりで軽犯罪を繰り返している。
ナタリーアリスは腹を抱えて笑っていた。
明らかに俺への嫌がらせだった。
目的があるのは間違いないが、必要以上の悪意を感じる。
「ま、今は警戒を強めるしかないか」
「それしかないだろうな」
組合長が呟いて、ブラウン団長が応じた。
「失礼します」
しかし、そこに伝令が入って来た。
ラルフが話を聞きに行く。
何度か言葉を交わすと、ラルフが振り返って溜息を吐いた。
「アッシュ・クレフが検問を出て行ったそうです」
全員の視線が俺へと向けられる。俺を見られても。
「ふむ。警戒してもこれか……本物と見分けがつかないからな。
逃げられたということだろう」
「検問を通る際に『王都へ向かう』と言ったそうです」
ブラウン団長の言葉にラルフが補足した。
「なるほどな。ちょうど良い。アッシュ・クレフ一行に依頼を出す。
そこの公爵令嬢様を王都に送り届けろ」
「なるほど。ソフィア様をいつまでもこの都市に置いておくわけにもいかないということか。それは確かに」
組合長の言葉にブラウン団長が同意する。
「もしも偽物が王都へ向かっていたら、その追跡も兼ねた依頼だ」
「はい。分かりました」
とんとん拍子に王都行きが決定していた。
「アイツ! 本当に何だってんだ!?」
俺は馬車の中で罵詈雑言をまき散らす。
ソフィア用の高級馬車の後ろを走る通常の馬車だ。
ナタリーアリスは相変わらず笑い転げているし、ブラウン団長やリックは苦笑している。
王都への街道で『白鬼』は俺の姿で悪戯を繰り返した。
そのせいで俺は立ち寄る村全てで犯罪者扱いである。
「足止めだとしても、必要以上の悪意があるんだよ!」
叫んでみたものの、不安は残る。
分かりやすく王都への手がかりを残しているのは何故だ?
その気になれば王都への潜入なんて簡単だろうに。
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