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第二部 54話 お叱り

ー/ー



 翌日。
 俺とソフィアが屋敷を歩いていると、ユイと出くわした。

 ユイは俺達を見つけるなり、にっこりと笑った。
 合わせるようにソフィアが俺の後ろに隠れる。

 まだユイに謝ってないのか?
 ユイは置手紙一つで丸投げされた被害者である。

「お久しぶりです。お嬢様」
 まだ会っていなかったのか!?

 考えてみれば、昨日はナタリー達の部屋に泊まっていた気がする。
 今日は朝から俺と一緒に行動していた。

「何か言うことはありますか?」
「……ごめんなさい」
 ソフィアが早口で言った。

「ごめんなさいじゃ済まないでしょう!?
 勝手に行動して! 怪我で済まなかったらどうするんですか!」
「……」
「そもそも、お嬢様が行く必要もないでしょう?
 わざわざ危険に飛び込んで――」
 よほど不満が溜まっていたのか、ユイがまくし立てる。

「でもユイ、私は向こうで大活躍だったのよ? ねえ先生?」
「え? ええ、まあ。
 今回はお嬢様のおかげで助かりました」
 ソフィアが割り込むように俺へと話を振った。

「そうだとしても……」
「先生が危機に陥ってしまったから、代わりに私がナタリーを助けたの」
「どういうことですか? 先生」
 ソフィアの言葉にユイが俺を見る。

「えっと。そうですね……」
「大ピンチだったのよ? 大きな敵が私達のところへと襲ってきて」
 ソフィアが大げさに声を張る。

「先生! 緊急事態だったのは分かります。
 それでもお嬢様を危険に晒すのはどうかと思いますが」
「いや、それは言い訳のしようもないですね……」
 ユイの剣幕に俺は強く言い返せない。指摘はしごく当然だった。

「前から先生はお嬢様の危機管理に対して甘いように感じます。
 今回も早く気付いて下されば、お嬢様をここへ帰すことも出来たでしょう」
 ユイは目尻を吊り上げて続ける。俺にも不満は溜まっていたらしい。

「そもそも、先生はお嬢様に甘すぎます。
 だからいつもお嬢様が――お嬢様?」

 ユイが俺の背後を覗き込む。
 釣られて俺も振り返った。

 ソフィアはすでにいなかった。

 あれ? 俺に矛先を向けて逃げた?
 ナタリーの影響を受けているような?



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 翌日。
 俺とソフィアが屋敷を歩いていると、ユイと出くわした。
 ユイは俺達を見つけるなり、にっこりと笑った。
 合わせるようにソフィアが俺の後ろに隠れる。
 まだユイに謝ってないのか?
 ユイは置手紙一つで丸投げされた被害者である。
「お久しぶりです。お嬢様」
 まだ会っていなかったのか!?
 考えてみれば、昨日はナタリー達の部屋に泊まっていた気がする。
 今日は朝から俺と一緒に行動していた。
「何か言うことはありますか?」
「……ごめんなさい」
 ソフィアが早口で言った。
「ごめんなさいじゃ済まないでしょう!?
 勝手に行動して! 怪我で済まなかったらどうするんですか!」
「……」
「そもそも、お嬢様が行く必要もないでしょう?
 わざわざ危険に飛び込んで――」
 よほど不満が溜まっていたのか、ユイがまくし立てる。
「でもユイ、私は向こうで大活躍だったのよ? ねえ先生?」
「え? ええ、まあ。
 今回はお嬢様のおかげで助かりました」
 ソフィアが割り込むように俺へと話を振った。
「そうだとしても……」
「先生が危機に陥ってしまったから、代わりに私がナタリーを助けたの」
「どういうことですか? 先生」
 ソフィアの言葉にユイが俺を見る。
「えっと。そうですね……」
「大ピンチだったのよ? 大きな敵が私達のところへと襲ってきて」
 ソフィアが大げさに声を張る。
「先生! 緊急事態だったのは分かります。
 それでもお嬢様を危険に晒すのはどうかと思いますが」
「いや、それは言い訳のしようもないですね……」
 ユイの剣幕に俺は強く言い返せない。指摘はしごく当然だった。
「前から先生はお嬢様の危機管理に対して甘いように感じます。
 今回も早く気付いて下されば、お嬢様をここへ帰すことも出来たでしょう」
 ユイは目尻を吊り上げて続ける。俺にも不満は溜まっていたらしい。
「そもそも、先生はお嬢様に甘すぎます。
 だからいつもお嬢様が――お嬢様?」
 ユイが俺の背後を覗き込む。
 釣られて俺も振り返った。
 ソフィアはすでにいなかった。
 あれ? 俺に矛先を向けて逃げた?
 ナタリーの影響を受けているような?