第二部 49話 瓦解
ー/ー 王国軍と伯爵軍、連合軍の戦いは王国軍が僅かに有利な状態で進んでいる。
兵数では王国側が有利だが、連合が提供した装備は性能が非常に高く、不利をある程度は補っていた。
「お呼びでしょうか」
「うむ。少し話がある」
レイン子爵はロズワルト伯爵に呼び出されていた。
――忙しいから、早めに終わらせてくれねーかな。
伯爵は背筋をピンと伸ばし、高価な衣服に身を包んでいる。
少し神経質そうな大きな瞳を忙しなく動かしていた。
伯爵は立場に見合わない小心者で、疑心暗鬼になりやすい。
子爵は伯爵をそう分析していた。少し軽く見ていると言って良い。
そもそも高位の貴族が連合へと加入する意味は薄い。
市民連合へと通称を変えようとしているのだから。
それでも利用できそうだったので、利用すると決めていた。
だが、子爵にとって状況は想定よりもずっと悪い。
連合軍の出方を窺って、王国軍は強気に出ない予定だった。
また、攻めるにしても、地の利はこちらにあるはずだった。
実際は王国は躊躇いなく進軍している。
さらに言えば兵数も地形も有利な状態で。
しかし、対応できない訳ではない。
あの状況でも子爵は都市『スーレ』に手下を残していた。
それどころか、王都にも潜伏させている手下がいる。
後で都市『スーレ』からの補給を断ち、王都から足を引っ張る予定だった。
もっとも、その準備のために滞在が伸びて、襲撃を受けたのだが。
「ここ数日『不審者を見逃せ』と言って、自衛団に賄賂を渡す奴が多い」
「?」
話が見えずに子爵が首を傾げる。
「目的が見えず不審に思っていたのだが、納得した。
そいつらは都市『スーレ』出身だと話していたらしい」
「何を……」
「子爵が来てから、騎士団が『衛星都市』をうろついているという噂がある。
子爵は王都で騎士団員を買収していたな?」
「私と騎士団が裏で繋がっていたというのですか?
実際に公爵を殺しているのですよ?」
子爵が息を荒げて言った。
「黙れ。良く考えれば、本当に殺したのか?
騎士団と繋がっていれば何とでも出来るだろう。実際に娘は逃がしている」
後ろの扉が急に開いて、伯爵の手下が入って来た。
すぐに子爵を拘束し始めた。
「私がいなければ、スーレでの妨害ができないんだぞ!?」
子爵が口調も忘れて叫んだ。子爵の読みでは負けを意味していた。
「わが軍は互角に戦っている。そもそもお前を味方に入れたことが誤りだった」
子爵はさらに叫ぼうとしたが、床に顔を押し付けられて口が開けなかった。
「お前の言う通り『ベックリン』と『衛星都市』の間にのみ検問を配置したが、急激に入ろうとする市民が増えたじゃないか。支払う税金すら持たない奴らが『ベックリン』へと殺到している」
良く知っていた。子爵はその対応で追われていたのだ。
ろくに思考の時間すら取れない程に。
「一度捕まったのなら、切り捨てるべきだった。
お前が来たせいで王国軍に口実ができてしまった……」
伯爵が疑心暗鬼に満ちた視線を子爵に向ける。
「あるいは、それすらも計画の内か?」
誰かに嵌められたのだと、理解した。
兵数では王国側が有利だが、連合が提供した装備は性能が非常に高く、不利をある程度は補っていた。
「お呼びでしょうか」
「うむ。少し話がある」
レイン子爵はロズワルト伯爵に呼び出されていた。
――忙しいから、早めに終わらせてくれねーかな。
伯爵は背筋をピンと伸ばし、高価な衣服に身を包んでいる。
少し神経質そうな大きな瞳を忙しなく動かしていた。
伯爵は立場に見合わない小心者で、疑心暗鬼になりやすい。
子爵は伯爵をそう分析していた。少し軽く見ていると言って良い。
そもそも高位の貴族が連合へと加入する意味は薄い。
市民連合へと通称を変えようとしているのだから。
それでも利用できそうだったので、利用すると決めていた。
だが、子爵にとって状況は想定よりもずっと悪い。
連合軍の出方を窺って、王国軍は強気に出ない予定だった。
また、攻めるにしても、地の利はこちらにあるはずだった。
実際は王国は躊躇いなく進軍している。
さらに言えば兵数も地形も有利な状態で。
しかし、対応できない訳ではない。
あの状況でも子爵は都市『スーレ』に手下を残していた。
それどころか、王都にも潜伏させている手下がいる。
後で都市『スーレ』からの補給を断ち、王都から足を引っ張る予定だった。
もっとも、その準備のために滞在が伸びて、襲撃を受けたのだが。
「ここ数日『不審者を見逃せ』と言って、自衛団に賄賂を渡す奴が多い」
「?」
話が見えずに子爵が首を傾げる。
「目的が見えず不審に思っていたのだが、納得した。
そいつらは都市『スーレ』出身だと話していたらしい」
「何を……」
「子爵が来てから、騎士団が『衛星都市』をうろついているという噂がある。
子爵は王都で騎士団員を買収していたな?」
「私と騎士団が裏で繋がっていたというのですか?
実際に公爵を殺しているのですよ?」
子爵が息を荒げて言った。
「黙れ。良く考えれば、本当に殺したのか?
騎士団と繋がっていれば何とでも出来るだろう。実際に娘は逃がしている」
後ろの扉が急に開いて、伯爵の手下が入って来た。
すぐに子爵を拘束し始めた。
「私がいなければ、スーレでの妨害ができないんだぞ!?」
子爵が口調も忘れて叫んだ。子爵の読みでは負けを意味していた。
「わが軍は互角に戦っている。そもそもお前を味方に入れたことが誤りだった」
子爵はさらに叫ぼうとしたが、床に顔を押し付けられて口が開けなかった。
「お前の言う通り『ベックリン』と『衛星都市』の間にのみ検問を配置したが、急激に入ろうとする市民が増えたじゃないか。支払う税金すら持たない奴らが『ベックリン』へと殺到している」
良く知っていた。子爵はその対応で追われていたのだ。
ろくに思考の時間すら取れない程に。
「一度捕まったのなら、切り捨てるべきだった。
お前が来たせいで王国軍に口実ができてしまった……」
伯爵が疑心暗鬼に満ちた視線を子爵に向ける。
「あるいは、それすらも計画の内か?」
誰かに嵌められたのだと、理解した。
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