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第二部 47話 暗躍開始

ー/ー



 アッシュが宿を飛び出してゆく。
 ナタリーはピノに付いてゆくように命令した。

 しばらくその背中を眺めていたが、見えなくなるとナタリーは少し考える仕草をした。

「……ブラウン団長?」
 ナタリーが口を開く。

「何かな?」
「この場合、この部隊の指揮権は誰にある?」
「ふむ。私……ではないな。
 私は魔術師団所属だ。騎士団員とは別で動いている。待て、ナタリー?」

 ナタリーが言おうとしていることを理解して、ブラウン団長が焦った表情を浮かべた。

「だよね。お兄ちゃんがいないから、指揮権はあたしにあるよね?」
 ナタリーが楽しそうに微笑んだ。



 ナタリーはすぐに騎士団員を集めて言った。

「これから『衛星都市』を回って、いくつか噂を流してもらいます」
「噂、ですか?」
「うん」
 騎士団員たちは不審そうな表情を浮かべている。

「一つ目。伯爵が『衛星都市』の市民を連合に売っている。
『ベックリン』の市民以外は全員連合に売るつもり、くらい大げさに伝えてね」

「二つ目。連合の援助で『ベックリン』の税金が大きく下げられる」

「この二つの噂を流して欲しいの。
 あ、同時に都市の自衛団にお金を渡して回って。『衛星都市』の巡回にも。
 うーん……そうだなぁ。『不審者』を見ても見逃すようにお願いして」

 騎士団員は変わらず首を傾げているが、アッシュはいない。
 指揮系統で言えば、ナタリーに従うことになるだろう。

「噂を流して、自衛団と巡回にお金を渡せば良いのですね?」
「うん」
 騎士団員は最低限の人員を残して散ってゆこうとする。

 アッシュが戻ってきたら、命令は撤回されるかも知れない。
 それまでの間だけでも動きたかった。

 ひょっとしたら、王国軍は予想よりも苦戦するかも知れない。

「あ、大事なことを忘れてた。
 もしも所属を訊かれたら、答えずに『レイン子爵』を匂わせてね」



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 アッシュが宿を飛び出してゆく。
 ナタリーはピノに付いてゆくように命令した。
 しばらくその背中を眺めていたが、見えなくなるとナタリーは少し考える仕草をした。
「……ブラウン団長?」
 ナタリーが口を開く。
「何かな?」
「この場合、この部隊の指揮権は誰にある?」
「ふむ。私……ではないな。
 私は魔術師団所属だ。騎士団員とは別で動いている。待て、ナタリー?」
 ナタリーが言おうとしていることを理解して、ブラウン団長が焦った表情を浮かべた。
「だよね。お兄ちゃんがいないから、指揮権はあたしにあるよね?」
 ナタリーが楽しそうに微笑んだ。
 ナタリーはすぐに騎士団員を集めて言った。
「これから『衛星都市』を回って、いくつか噂を流してもらいます」
「噂、ですか?」
「うん」
 騎士団員たちは不審そうな表情を浮かべている。
「一つ目。伯爵が『衛星都市』の市民を連合に売っている。
『ベックリン』の市民以外は全員連合に売るつもり、くらい大げさに伝えてね」
「二つ目。連合の援助で『ベックリン』の税金が大きく下げられる」
「この二つの噂を流して欲しいの。
 あ、同時に都市の自衛団にお金を渡して回って。『衛星都市』の巡回にも。
 うーん……そうだなぁ。『不審者』を見ても見逃すようにお願いして」
 騎士団員は変わらず首を傾げているが、アッシュはいない。
 指揮系統で言えば、ナタリーに従うことになるだろう。
「噂を流して、自衛団と巡回にお金を渡せば良いのですね?」
「うん」
 騎士団員は最低限の人員を残して散ってゆこうとする。
 アッシュが戻ってきたら、命令は撤回されるかも知れない。
 それまでの間だけでも動きたかった。
 ひょっとしたら、王国軍は予想よりも苦戦するかも知れない。
「あ、大事なことを忘れてた。
 もしも所属を訊かれたら、答えずに『レイン子爵』を匂わせてね」