第二部 45話 ソフィアお嬢様の誘拐作戦
ー/ー「ふあぁ」
勤務中だが欠伸が出た。
ナタリーアリスが何やら資料を大量に作っている。
俺はただそれを眺めているだけだ。
ソフィアも暇かと言えば、意外とそうではなかった。
今も出来上がった資料について訊ねている。
「ねえ、この人たちの名前の横に『ゴミカス人攫い』って書いてあるけど?」
「ああ、最近は人身売買に近いことも起こってるみたいなの。
王国じゃあ絶対に認めないだろうから、連合に流してるんでしょうね」
ソフィアの言葉にアリスが丁寧に答えた。
ナタリーはと言えば、むむむ……と唸っていた。
「どうしたんだ? 珍しい」
ブラウン団長がその様子に声を掛ける。
「えっとね。外から手に入る情報はほとんど手に入れたのよ。
あ、『ベックリン』も『衛星都市』もね」
「なるほど。ここからは内部情報が必要だということだな」
「そう! 人の口から直接聞くか、内部資料から情報を手に入れる必要がある。日常会話を拾うだけでは欲しい情報を手に入れるまで時間が掛かりすぎるのよ」
「ふむ。出来れば内通者が欲しいところだな」
二人が腕を組んで唸っていた。
資料を読み終えたのか、ソフィアが部屋を出て行った。
トイレにでも出たのだろう。
数分後、俺達の部屋は大騒ぎになっていた。
ソフィアがいなくなったからだ。
「くそ、目を離すべきじゃなかったか!?」
「いや。宿の中で全員から目を離さないのは現実的じゃない」
ブラウン団長が俺を落ち着かせるように目を見て言う。
大急ぎでピノが周囲を探して来た。
ナタリーから話を聞くと、近くの倉庫にソフィアが入っていったとのこと。
「俺が行きます。
ブラウン団長はここをお願いします」
数分も経たずに、俺は建物に突入した。
リックを構え、広い倉庫を見回した。
「あ、先生。流石に早いわね」
ソフィアが嬉しそうな声を出した。
「?」
俺は状況が呑み込めずに首を傾げた。
ソフィアは椅子に座っていた。
足元には誘拐犯らしき男が二人、転がっている。
手枷足枷に猿轡。完全に拘束されていた。
恐らくは先ほどの『ゴミカス人攫い』だろうな。
「都市の住人から話を聞きたいって言ってたじゃない?
誘拐されたフリをして、捕まえようかなって」
ソフィアは楽しそうに笑う。俺は言葉が出なかった。
「ターナー公爵家令嬢、ソフィア・ターナーの誘拐現行犯よ。
ほら先生、捕まえて?」
ソフィア本人がにこやかに続けた。
誘拐犯二人が目を剥いた。そんな大罪を犯す気はなかったのだろう。
確かに騎士団案件だけどさぁ……。
「お嬢様。こういう危険なことは……」
「いいえ。その忠告は聞けないわ」
ソフィアが俺の言葉を遮った。
「ここは敵地で私達は情報を集めている。
ピノに頼り切りでどうするの? ここからは危険を冒すべきよ」
おそらく、忠告されたのは俺達だった。
危険の管理が上手い。流石と言わざるを得ないだろう。
「……分かりました。お嬢様の言うことにも一理ありますね。
ただし、これからはもう少し、こう、穏やかにお願いしますよ」
「? まあ、いいわ。でもどうして?」
ソフィアが理解できないと首を傾げる。結果は最善だと。
「ブラウン団長が心労で倒れそうだ」
ソフィアはバツが悪そうに目を逸らした。
勤務中だが欠伸が出た。
ナタリーアリスが何やら資料を大量に作っている。
俺はただそれを眺めているだけだ。
ソフィアも暇かと言えば、意外とそうではなかった。
今も出来上がった資料について訊ねている。
「ねえ、この人たちの名前の横に『ゴミカス人攫い』って書いてあるけど?」
「ああ、最近は人身売買に近いことも起こってるみたいなの。
王国じゃあ絶対に認めないだろうから、連合に流してるんでしょうね」
ソフィアの言葉にアリスが丁寧に答えた。
ナタリーはと言えば、むむむ……と唸っていた。
「どうしたんだ? 珍しい」
ブラウン団長がその様子に声を掛ける。
「えっとね。外から手に入る情報はほとんど手に入れたのよ。
あ、『ベックリン』も『衛星都市』もね」
「なるほど。ここからは内部情報が必要だということだな」
「そう! 人の口から直接聞くか、内部資料から情報を手に入れる必要がある。日常会話を拾うだけでは欲しい情報を手に入れるまで時間が掛かりすぎるのよ」
「ふむ。出来れば内通者が欲しいところだな」
二人が腕を組んで唸っていた。
資料を読み終えたのか、ソフィアが部屋を出て行った。
トイレにでも出たのだろう。
数分後、俺達の部屋は大騒ぎになっていた。
ソフィアがいなくなったからだ。
「くそ、目を離すべきじゃなかったか!?」
「いや。宿の中で全員から目を離さないのは現実的じゃない」
ブラウン団長が俺を落ち着かせるように目を見て言う。
大急ぎでピノが周囲を探して来た。
ナタリーから話を聞くと、近くの倉庫にソフィアが入っていったとのこと。
「俺が行きます。
ブラウン団長はここをお願いします」
数分も経たずに、俺は建物に突入した。
リックを構え、広い倉庫を見回した。
「あ、先生。流石に早いわね」
ソフィアが嬉しそうな声を出した。
「?」
俺は状況が呑み込めずに首を傾げた。
ソフィアは椅子に座っていた。
足元には誘拐犯らしき男が二人、転がっている。
手枷足枷に猿轡。完全に拘束されていた。
恐らくは先ほどの『ゴミカス人攫い』だろうな。
「都市の住人から話を聞きたいって言ってたじゃない?
誘拐されたフリをして、捕まえようかなって」
ソフィアは楽しそうに笑う。俺は言葉が出なかった。
「ターナー公爵家令嬢、ソフィア・ターナーの誘拐現行犯よ。
ほら先生、捕まえて?」
ソフィア本人がにこやかに続けた。
誘拐犯二人が目を剥いた。そんな大罪を犯す気はなかったのだろう。
確かに騎士団案件だけどさぁ……。
「お嬢様。こういう危険なことは……」
「いいえ。その忠告は聞けないわ」
ソフィアが俺の言葉を遮った。
「ここは敵地で私達は情報を集めている。
ピノに頼り切りでどうするの? ここからは危険を冒すべきよ」
おそらく、忠告されたのは俺達だった。
危険の管理が上手い。流石と言わざるを得ないだろう。
「……分かりました。お嬢様の言うことにも一理ありますね。
ただし、これからはもう少し、こう、穏やかにお願いしますよ」
「? まあ、いいわ。でもどうして?」
ソフィアが理解できないと首を傾げる。結果は最善だと。
「ブラウン団長が心労で倒れそうだ」
ソフィアはバツが悪そうに目を逸らした。
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