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第二部 27話 深夜の出立

ー/ー



「ソフィア様。お手をどうぞ」

 下級貴族の男性が差し出す手を掴む。
 そのまま豪奢な馬車の中へと乗り込んだ。

 ユイが後に続く。
 結局、ソフィアはユイの誘いに応じた。

 王都の郊外に停めていた馬車が走り始める。
 深夜の星空が窓を流れてゆく。

 しばらく窓の外を眺めていたが、ソフィアは不意に馬車の扉を開けた。

「お嬢様? 何を……」
 
 ユイの驚いた声を無視する。
 ソフィアは扉から身を乗り出して、王都を見つめた。

 ――私は二人の死を悲しむことすらできません。
 ――だから、せめて仇だけは取ろうと思います。

 最後に夜の時計塔を一瞥する。
 見慣れていたはずなのに、王都の外から見るのは初めてだった。

「………………っ」

 ソフィアは自分の教育係を思い出した。
 彼はきっと、反対しただろう。
 
 ――ごめんなさい。
 声には出さず、呟いた。

 ソフィアは時計塔から視線を切ると、馬車の中へと戻った。

 目的地はレイン子爵の領地。
 その居住地たる本邸である。

 闇夜に紛れて。
 父の仇討ちを大義名分として、公爵令嬢とその協力者たちが王都を発った。



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「ソフィア様。お手をどうぞ」
 下級貴族の男性が差し出す手を掴む。
 そのまま豪奢な馬車の中へと乗り込んだ。
 ユイが後に続く。
 結局、ソフィアはユイの誘いに応じた。
 王都の郊外に停めていた馬車が走り始める。
 深夜の星空が窓を流れてゆく。
 しばらく窓の外を眺めていたが、ソフィアは不意に馬車の扉を開けた。
「お嬢様? 何を……」
 ユイの驚いた声を無視する。
 ソフィアは扉から身を乗り出して、王都を見つめた。
 ――私は二人の死を悲しむことすらできません。
 ――だから、せめて仇だけは取ろうと思います。
 最後に夜の時計塔を一瞥する。
 見慣れていたはずなのに、王都の外から見るのは初めてだった。
「………………っ」
 ソフィアは自分の教育係を思い出した。
 彼はきっと、反対しただろう。
 ――ごめんなさい。
 声には出さず、呟いた。
 ソフィアは時計塔から視線を切ると、馬車の中へと戻った。
 目的地はレイン子爵の領地。
 その居住地たる本邸である。
 闇夜に紛れて。
 父の仇討ちを大義名分として、公爵令嬢とその協力者たちが王都を発った。