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第二部 10話 おでかけ

ー/ー



 俺達は宿を出ることにした。
 まだ興味がありそうなソフィアを宥めて、部屋から出る。

 宿屋の入り口付近には軽武装した護衛が数人固まっていた。
 前の通りには例の高級馬車もある。安宿なので人数過多も良いところである。

 宿屋のおじさんが居心地悪そうに視線を彷徨わせていた。
 視線の置き場すら困っているようだ……自分の宿なのにな。

 ――ごめんなさい。
 ――この人たちが押しかけて来たら、通して良いか分からないよね。

 ソフィアの手を引いて、宿の外に出る。
 後からナタリーが追いかけて来た。

「遅かったな?」
「応援を呼んだの」
「?」

 首を傾げる。
 ふと隣を見ると、ソフィアも同じ角度で首を傾けていた。
 思わず同時に笑ってしまった。
 
 そして俺達は王都の二番街を歩き始めた。
 俺にとってはもはや住み慣れた街だが、ソフィアにとっては新鮮なようだった。

「ソフィアちゃんは二番街を歩いたことはないの?」
「……いいえ。一番街の中しか知りません」

 きょろきょろと周囲を眺めてはナタリーの質問攻めに応じていた。
 
 俺は少しだけ歩く速度を落として、距離を取った。辺りに目を向ける。
 ひとまず危険はなさそうだと判断して、首だけで振り向いて軽く会釈して見せた。
 護衛の一人が軽く応じて、俺の隣に並ぶ。女性だった。武装していないので従者の方だろうか。

「ご苦労様です」
「……ありがとうございます。何かお話でも?」

 軽い挨拶が終わるなり、すぐさま切り返された。
 警戒が見て取れる。俺も単刀直入で返すことにした。

「今日の訪問は予定外ですか?」
「なるほど。お互いに腹芸はなしで良さそうですね」

 女性はそう言うと、小さく笑った。

「もちろん、予定外ですよ。今朝、ソフィアお嬢様がシェリー様と会ってから決まったことです」
「やっぱりかぁ。シェリー副団長の提案ですかぁ」
「まぁ、そうでしょうね……アッシュさんは聞いた通りの人柄ですね」
「え? 聞いた? お嬢様から?」
「いいえ。お嬢様から聞いた人柄とは違います」

 俺が首を傾げる。
 お嬢様以外となると、シェリー副団長だろうか?

「ニナ・ローズ副隊長ですよ」
「!?」

 自分でも分かるくらいに挙動不審になる俺。
 仕方ないだろう。唐突に上司の名前が出たんだぞ。

「ふふ……大丈夫です。変な繋がりではありませんよ。出身が同じなのです」
「出身というと……ああ、孤児院」
「姉のようなものですね。単純明快、と聞いてますよ」
「褒められてます?」
「褒めても貶してもいないでしょうね。性質の話です」
「なるほど。質問を変えても?」
「? ええ、どうぞ?」

 女性がニコリと微笑んだ。
 俺も精一杯の笑みを返す。

「ニナさんは同類だと思いません?」
「……黙秘します」

 一瞬だけピクリと反応したが、女性は変わらぬ笑みで答えた。



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 俺達は宿を出ることにした。
 まだ興味がありそうなソフィアを宥めて、部屋から出る。
 宿屋の入り口付近には軽武装した護衛が数人固まっていた。
 前の通りには例の高級馬車もある。安宿なので人数過多も良いところである。
 宿屋のおじさんが居心地悪そうに視線を彷徨わせていた。
 視線の置き場すら困っているようだ……自分の宿なのにな。
 ――ごめんなさい。
 ――この人たちが押しかけて来たら、通して良いか分からないよね。
 ソフィアの手を引いて、宿の外に出る。
 後からナタリーが追いかけて来た。
「遅かったな?」
「応援を呼んだの」
「?」
 首を傾げる。
 ふと隣を見ると、ソフィアも同じ角度で首を傾けていた。
 思わず同時に笑ってしまった。
 そして俺達は王都の二番街を歩き始めた。
 俺にとってはもはや住み慣れた街だが、ソフィアにとっては新鮮なようだった。
「ソフィアちゃんは二番街を歩いたことはないの?」
「……いいえ。一番街の中しか知りません」
 きょろきょろと周囲を眺めてはナタリーの質問攻めに応じていた。
 俺は少しだけ歩く速度を落として、距離を取った。辺りに目を向ける。
 ひとまず危険はなさそうだと判断して、首だけで振り向いて軽く会釈して見せた。
 護衛の一人が軽く応じて、俺の隣に並ぶ。女性だった。武装していないので従者の方だろうか。
「ご苦労様です」
「……ありがとうございます。何かお話でも?」
 軽い挨拶が終わるなり、すぐさま切り返された。
 警戒が見て取れる。俺も単刀直入で返すことにした。
「今日の訪問は予定外ですか?」
「なるほど。お互いに腹芸はなしで良さそうですね」
 女性はそう言うと、小さく笑った。
「もちろん、予定外ですよ。今朝、ソフィアお嬢様がシェリー様と会ってから決まったことです」
「やっぱりかぁ。シェリー副団長の提案ですかぁ」
「まぁ、そうでしょうね……アッシュさんは聞いた通りの人柄ですね」
「え? 聞いた? お嬢様から?」
「いいえ。お嬢様から聞いた人柄とは違います」
 俺が首を傾げる。
 お嬢様以外となると、シェリー副団長だろうか?
「ニナ・ローズ副隊長ですよ」
「!?」
 自分でも分かるくらいに挙動不審になる俺。
 仕方ないだろう。唐突に上司の名前が出たんだぞ。
「ふふ……大丈夫です。変な繋がりではありませんよ。出身が同じなのです」
「出身というと……ああ、孤児院」
「姉のようなものですね。単純明快、と聞いてますよ」
「褒められてます?」
「褒めても貶してもいないでしょうね。性質の話です」
「なるほど。質問を変えても?」
「? ええ、どうぞ?」
 女性がニコリと微笑んだ。
 俺も精一杯の笑みを返す。
「ニナさんは同類だと思いません?」
「……黙秘します」
 一瞬だけピクリと反応したが、女性は変わらぬ笑みで答えた。