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第二部 5話 王都の誇るエリート学生

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 その日も俺は馬車に揺られて、自分の安宿まで戻って来た。
 流石は公爵家様というか、御者さんも大変ですねというか、馬車は毎日来ていた。
 あれから数日。お嬢様とは軽い手合わせを繰り返すに留めている。

 部屋に入ると、笑い声が俺を出迎えた。

「おかえり、お兄ちゃん」
「お邪魔してまーす。今日も立派な馬車でお出迎えだね?」

 ナタリーとアリスが声を掛けてくる。

「いや、あれは立派すぎるよ。何度見ても面白い……馬が困惑してるよ、何だこの汚い場所って」
「あはは。確かに公爵家の馬小屋はここより綺麗そうだね」
「二人とも、流石に怒られるよ……?」

 加奈が窘めるものの、二人は楽しそうにはしゃいでいた。
 ここ数日は毎日のようにアリスが遊びに来ていた。

「アリスさ。お前、最近毎日ここに来てるけど……何しに来てるんだ?」
「アッシュの制服姿を笑……見物に来てる」
「いや、流石におかしいだろ! 笑いすぎだ!」
「大丈夫だよ、お兄ちゃん。すっごい面白いから。騎士団の制服が似合わない騎士団員って大変だね?」
「余計なお世話だっ」
 確かにハーフドワーフということもあって、騎士団の制服は俺のイメージと合っていない自覚はあった。

 それにしても、と考える。
 目の前でバカ騒ぎしている二人は子供の頃と何も変わっていない。
 悪ガキがそのまま成長したような印象だった。

 しかし驚くべきことに、ナタリーとアリスは王立学院の生徒。
 王国のエリートも良いとこである。
 王立学院は三組織がそれぞれが出資、共同運営している。王国を代表する学校だ。

 ――しかもこの二人は学年の主席次席だそうだ。世も末である。
 ――俺は最近まで知らなかったのだが……。

 いわく、辺境出身『ナタリー・クレフ』と魔術師団長の娘『アリス・カナ・バケット』が仲良く主席を争っている――とのことだ。
 同級生からすれば、さぞや意味が分からない状態だろうな。


「ねえ、お兄ちゃん。この制服さ、無地に変えない?」
「ああ、なるほど。アッシュに似合わないんだから制服の方を変えれば良いんだね」

「真っ白に変えよう」
「半袖にしよう」
「綿にしよう」
「装飾も全部無くそう」

「「じゃあ、あのシャツで良いじゃん!」」

 二人仲良く、部屋の隅に畳んであるシャツを指さした。
 楽しそうにけらけらと笑っている。

 この、いかにも知能が低そうな会話を垂れ流す二人が、王国最高学府の主席次席?

 ――嘘だろう?
 ――向かいのパン屋のおばちゃんの方が賢そうだが?

 王国の教育は大丈夫なのだろうか? この世界は教育が充実していると思っていたのだが……。
 王立学院の評価制度について、ブラウン団長に相談しようと思った。
 
 ――改竄されている可能性がある。



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 その日も俺は馬車に揺られて、自分の安宿まで戻って来た。
 流石は公爵家様というか、御者さんも大変ですねというか、馬車は毎日来ていた。
 あれから数日。お嬢様とは軽い手合わせを繰り返すに留めている。
 部屋に入ると、笑い声が俺を出迎えた。
「おかえり、お兄ちゃん」
「お邪魔してまーす。今日も立派な馬車でお出迎えだね?」
 ナタリーとアリスが声を掛けてくる。
「いや、あれは立派すぎるよ。何度見ても面白い……馬が困惑してるよ、何だこの汚い場所って」
「あはは。確かに公爵家の馬小屋はここより綺麗そうだね」
「二人とも、流石に怒られるよ……?」
 加奈が窘めるものの、二人は楽しそうにはしゃいでいた。
 ここ数日は毎日のようにアリスが遊びに来ていた。
「アリスさ。お前、最近毎日ここに来てるけど……何しに来てるんだ?」
「アッシュの制服姿を笑……見物に来てる」
「いや、流石におかしいだろ! 笑いすぎだ!」
「大丈夫だよ、お兄ちゃん。すっごい面白いから。騎士団の制服が似合わない騎士団員って大変だね?」
「余計なお世話だっ」
 確かにハーフドワーフということもあって、騎士団の制服は俺のイメージと合っていない自覚はあった。
 それにしても、と考える。
 目の前でバカ騒ぎしている二人は子供の頃と何も変わっていない。
 悪ガキがそのまま成長したような印象だった。
 しかし驚くべきことに、ナタリーとアリスは王立学院の生徒。
 王国のエリートも良いとこである。
 王立学院は三組織がそれぞれが出資、共同運営している。王国を代表する学校だ。
 ――しかもこの二人は学年の主席次席だそうだ。世も末である。
 ――俺は最近まで知らなかったのだが……。
 いわく、辺境出身『ナタリー・クレフ』と魔術師団長の娘『アリス・カナ・バケット』が仲良く主席を争っている――とのことだ。
 同級生からすれば、さぞや意味が分からない状態だろうな。
「ねえ、お兄ちゃん。この制服さ、無地に変えない?」
「ああ、なるほど。アッシュに似合わないんだから制服の方を変えれば良いんだね」
「真っ白に変えよう」
「半袖にしよう」
「綿にしよう」
「装飾も全部無くそう」
「「じゃあ、あのシャツで良いじゃん!」」
 二人仲良く、部屋の隅に畳んであるシャツを指さした。
 楽しそうにけらけらと笑っている。
 この、いかにも知能が低そうな会話を垂れ流す二人が、王国最高学府の主席次席?
 ――嘘だろう?
 ――向かいのパン屋のおばちゃんの方が賢そうだが?
 王国の教育は大丈夫なのだろうか? この世界は教育が充実していると思っていたのだが……。
 王立学院の評価制度について、ブラウン団長に相談しようと思った。
 ――改竄されている可能性がある。