第一部 57話 時計塔広場での戦い
ー/ー 俺はブラウン団長とレンの戦いを下から眺めていた。
やがて、時計塔の頂上で軽い爆発が起こった。
しばらく目を凝らしていると、レンが屋根から飛び出した。
そのまま広場へと落ちて来た。
着地点に影で描いた魔法陣が浮かび上がる。
落下の衝撃を軽減するための風だろう。
「――ふ」
その着地点に、踏み込んだ。
双剣を交差して払う。
「!?」
足元の魔法陣を踏んだ瞬間、レンが反応した。
すぐさま足元の魔法陣が書き換わる。
風は上昇気流と同時に突風を起こして、俺の体を弾き飛ばした。
レンが時計塔公園にふわりと着地する。
そして受身姿の俺を見つけると、
「はは、気が利くな」
嬉しそうに『黒づくめのハーフエルフ』は笑った。
手間が省けたということだろう。
俺が先に踏み込んだ。
『レン・クーガー』は手札が多い。
奇襲を仕掛けられては対応できなくなる。
多少強引にでも、正面からの斬り合いに持っていくべきだ。
俺の双剣に対して、レンは嫌がるように軽く身を引いた。
迷わずに左右の剣を連続で斬りつける。
レンは三度ほど身を躱すと、左へ振り抜いた俺の左腕を影のナイフで斬りつける。
その一撃を俺が弾き飛ばす。
ナイフが砕け散った。
仕返しなのか、足元で魔法陣が描かれる。
横へ跳びながら右の剣を槍へと『錬金』する。
レンはしゃがんで槍を避けると、俺がいた地面から火柱が上がった。
熱で頬を焼かれながら、右の槍を突き込んだ。
レンが避け切れずに影のナイフで弾く。
やはり強度が足りないのだろう。
二度に分けて俺の槍を捌いた。
好機と見て、左の剣も槍に変える。
再度しゃがむレンに双槍を薙ぎ払った。
「ちっ」
レンは舌打ちだけして、足元に魔法陣を描いた。
レンの周囲の地面が持ち上がる。
槍は盛り上がった地面に止められ、レンは影を踏み台として俺の背後に着地する。
奇襲を許した結果に苛立ちながら、俺は中途半端に払った状態の槍を背後への盾に変える。キン、という高い音。俺はリックを双剣に戻しながら距離を取る。
俺の一撃を止めるために、レンが影のナイフを二回打ち込む必要があるのは間違いないだろう。
だとすれば、双剣や双槍が最適だ。
手数は多い方が良い。
間を置かずにレンが詰めて来た。
迎え撃とうと身構える。
「ん?」
突然、俺の視界が真っ暗になる。
見回せば、球体の影が俺を囲むように現れていた。
迷わずに影を斬りつける。
予想通り、一撃で砕け散った。目くらましか。
「!」
広がる視界。
目の前でレンが待ち構えていた。
狙いすましたように、黒いナイフを突き出してくる。
それを右で弾いて、左で袈裟に斬り下ろす。
「――!?」
驚きに目を見開いた。
レンがまともに食らったのだ。
直後、レンが粉々に砕け散る。
――影で作った偽物!?
――目くらましの一瞬に作ったのか?
急いで振り返る。
その瞬間、死んだと思った。
今度は本物が、すぐ足元で待ち構えていた。
レンの会心の一撃が俺の首に放たれようと――
「あー、くそ」
レンがぼやく。
――完璧なタイミングで、真上から魔弾の雨が降り注いだ。
レンは横に飛び退くと、いったん足を止めて頭上を見上げた。
そこにはブラウン団長がいるはずだが、お互いの姿は見えないだろう。
「……ああ、そうか。風か?」
やがて、納得したように呟く。
――流石に理解が早い。
呟くと同時、レンは行動を開始していた。
時計塔公園のあちこちに無数の黒い魔法陣が浮かび、すぐさま発動する。
それらは全て風の魔法だった。前後左右から複雑に風が吹いてくる。
強風ではないが、決して自然では有り得ない風向きだった。
変わらずブラウン団長の魔弾が飛んできた。
しかし、その精度は今までよりもずっと低い。
百発百中は程遠く、レンがいくつかを躱して一つか二つほど弾くだけで問題はなかった。
風魔法でブラウン団長の探知を弱体化させた、ということだろう。
レンが笑った。
「これで後は殺すだけだな」
やがて、時計塔の頂上で軽い爆発が起こった。
しばらく目を凝らしていると、レンが屋根から飛び出した。
そのまま広場へと落ちて来た。
着地点に影で描いた魔法陣が浮かび上がる。
落下の衝撃を軽減するための風だろう。
「――ふ」
その着地点に、踏み込んだ。
双剣を交差して払う。
「!?」
足元の魔法陣を踏んだ瞬間、レンが反応した。
すぐさま足元の魔法陣が書き換わる。
風は上昇気流と同時に突風を起こして、俺の体を弾き飛ばした。
レンが時計塔公園にふわりと着地する。
そして受身姿の俺を見つけると、
「はは、気が利くな」
嬉しそうに『黒づくめのハーフエルフ』は笑った。
手間が省けたということだろう。
俺が先に踏み込んだ。
『レン・クーガー』は手札が多い。
奇襲を仕掛けられては対応できなくなる。
多少強引にでも、正面からの斬り合いに持っていくべきだ。
俺の双剣に対して、レンは嫌がるように軽く身を引いた。
迷わずに左右の剣を連続で斬りつける。
レンは三度ほど身を躱すと、左へ振り抜いた俺の左腕を影のナイフで斬りつける。
その一撃を俺が弾き飛ばす。
ナイフが砕け散った。
仕返しなのか、足元で魔法陣が描かれる。
横へ跳びながら右の剣を槍へと『錬金』する。
レンはしゃがんで槍を避けると、俺がいた地面から火柱が上がった。
熱で頬を焼かれながら、右の槍を突き込んだ。
レンが避け切れずに影のナイフで弾く。
やはり強度が足りないのだろう。
二度に分けて俺の槍を捌いた。
好機と見て、左の剣も槍に変える。
再度しゃがむレンに双槍を薙ぎ払った。
「ちっ」
レンは舌打ちだけして、足元に魔法陣を描いた。
レンの周囲の地面が持ち上がる。
槍は盛り上がった地面に止められ、レンは影を踏み台として俺の背後に着地する。
奇襲を許した結果に苛立ちながら、俺は中途半端に払った状態の槍を背後への盾に変える。キン、という高い音。俺はリックを双剣に戻しながら距離を取る。
俺の一撃を止めるために、レンが影のナイフを二回打ち込む必要があるのは間違いないだろう。
だとすれば、双剣や双槍が最適だ。
手数は多い方が良い。
間を置かずにレンが詰めて来た。
迎え撃とうと身構える。
「ん?」
突然、俺の視界が真っ暗になる。
見回せば、球体の影が俺を囲むように現れていた。
迷わずに影を斬りつける。
予想通り、一撃で砕け散った。目くらましか。
「!」
広がる視界。
目の前でレンが待ち構えていた。
狙いすましたように、黒いナイフを突き出してくる。
それを右で弾いて、左で袈裟に斬り下ろす。
「――!?」
驚きに目を見開いた。
レンがまともに食らったのだ。
直後、レンが粉々に砕け散る。
――影で作った偽物!?
――目くらましの一瞬に作ったのか?
急いで振り返る。
その瞬間、死んだと思った。
今度は本物が、すぐ足元で待ち構えていた。
レンの会心の一撃が俺の首に放たれようと――
「あー、くそ」
レンがぼやく。
――完璧なタイミングで、真上から魔弾の雨が降り注いだ。
レンは横に飛び退くと、いったん足を止めて頭上を見上げた。
そこにはブラウン団長がいるはずだが、お互いの姿は見えないだろう。
「……ああ、そうか。風か?」
やがて、納得したように呟く。
――流石に理解が早い。
呟くと同時、レンは行動を開始していた。
時計塔公園のあちこちに無数の黒い魔法陣が浮かび、すぐさま発動する。
それらは全て風の魔法だった。前後左右から複雑に風が吹いてくる。
強風ではないが、決して自然では有り得ない風向きだった。
変わらずブラウン団長の魔弾が飛んできた。
しかし、その精度は今までよりもずっと低い。
百発百中は程遠く、レンがいくつかを躱して一つか二つほど弾くだけで問題はなかった。
風魔法でブラウン団長の探知を弱体化させた、ということだろう。
レンが笑った。
「これで後は殺すだけだな」
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