後ろめたさと王女様の熱愛
ー/ー
「はっ?」
「全部旦那様のせいですっ!!」
呼吸を乱しながらルーナはリアムの背中にしがみついた。
驚いたリアムは尻尾を真っ直ぐに伸ばし、牙をむく。
「何をっ……! 降りるんだ!」
「いやです。私は旦那様に触れていたいのです」
白い息が熟れた果実の唇から吐き出され、大気に溶け込んでいく。
ルーナの瞳には涙がたまっており、リアムの身体をよじ登ると耳元に唇を寄せた。
「旦那様が好きです」
うっすらと毛の生えた耳元を食み、頭頂部に唇をおとす。
「出会ったときから旦那様に惹かれておりました。ですが嫁ごうと決めた理由は違います」
脳裏をよぎるは亡くなった母親だ。
戦争でほとんど王城にいなかった父王。
母親は一番下の姫を産み、そのまま亡くなった。
六人もの姫たちを守れるのはルーナしかいなかった。
心から姫たちのことを愛していたが、時折ルーナは寂しさに泣いた。
ルーナには甘えられる相手がいなかった。
「疲れていたのかもしれません。愛することは幸せだったけど、甘える愛だってほしかった」
銀の毛を掴み、握りしめる。
「旦那様を好きになりました。旦那様は強い方なのでしょう。ですが私には抱きしめたい方です」
フェンリル。
魔獣は独立した生き物であり、群れようとはしない。
だが人の姿を真似、生活を学ぶ姿はとてもではないが狼らしくない。
憧憬のまなざしで人里を見る切なげな姿が焼きついて離れなかった。
「旦那様に触れてほしい。でも旦那様は私に触れてくれない」
この悔しくて悲しい気持ちはもう塞き止めることが出来ない。
「私は旦那様の妻です! そんなに、そんなに女として魅力がありませんか!?」
「ル……」
「生涯をともにしようと決めました! この命、この魂、旦那様に捧げようと!」
泣き叫ぶルーナにリアムは振り向き、牙を立てずに口でルーナの足を引っ張った。
地面に落とされたルーナを覆うように巨大な狼が影を作る。
「種族の異なる者との婚姻だぞ」
「覚悟の上です」
「怪物だぞ? お前のようなか弱いものを丸飲みだって出来る」
「旦那様はやさしい方です。触れることに怯えて……私の方が噛みついてしまいそう」
「はっ、そうだったな」
ぺろりと赤い舌がルーナの唇を舐める。
左右異なる色の瞳に赤くなったルーナの泣き顔が映った。
「いつまでも抗えるものではないな」
「旦那さ……」
青い炎が渦巻き、空に浮かぶ月をも飲み込む。
銀色の毛並みが髪となり、禍々しい肉食の目をしてリアムはルーナの両頬を包んだ。
唇が重なり、舌を舐め、だんだんと激しく押し合うようになり絡む。
糸をぶつ切りするように唇が離れると、そのまま下降して首を食んだ。
「お前がほしい、ルーナ。触れさせろ」
「はい」
リアムの首に手を伸ばし、交差して引き寄せる。
ぐっと身体を密着させてその気があることを知らせた。
風の入り込む寝室で、古びた木製のベッドに背中をのせる。
軋む音の耳にしながらリアムの銀の尻尾に指を滑らせ、肌に舌を這わせた。
月明かりが差し込む寝室で、人と獣が交わる影が伸びていた。
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
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「全部旦那様のせいですっ!!」
呼吸を乱しながらルーナはリアムの背中にしがみついた。
驚いたリアムは尻尾を真っ直ぐに伸ばし、牙をむく。
「何をっ……! 降りるんだ!」
「いやです。私は旦那様に触れていたいのです」
白い息が熟れた果実の唇から吐き出され、大気に溶け込んでいく。
ルーナの瞳には涙がたまっており、リアムの身体をよじ登ると耳元に唇を寄せた。
「旦那様が好きです」
うっすらと毛の生えた耳元を食み、頭頂部に唇をおとす。
「出会ったときから旦那様に惹かれておりました。ですが嫁ごうと決めた理由は違います」
脳裏をよぎるは亡くなった母親だ。
戦争でほとんど王城にいなかった父王。
母親は一番下の姫を産み、そのまま亡くなった。
六人もの姫たちを守れるのはルーナしかいなかった。
心から姫たちのことを愛していたが、時折ルーナは寂しさに泣いた。
ルーナには甘えられる相手がいなかった。
「疲れていたのかもしれません。愛することは幸せだったけど、甘える愛だってほしかった」
銀の毛を掴み、握りしめる。
「旦那様を好きになりました。旦那様は強い方なのでしょう。ですが私には抱きしめたい方です」
フェンリル。
魔獣は独立した生き物であり、群れようとはしない。
だが人の姿を真似、生活を学ぶ姿はとてもではないが狼らしくない。
憧憬のまなざしで人里を見る切なげな姿が焼きついて離れなかった。
「旦那様に触れてほしい。でも旦那様は私に触れてくれない」
この悔しくて悲しい気持ちはもう塞き止めることが出来ない。
「私は旦那様の妻です! そんなに、そんなに女として魅力がありませんか!?」
「ル……」
「生涯をともにしようと決めました! この命、この魂、旦那様に捧げようと!」
泣き叫ぶルーナにリアムは振り向き、牙を立てずに口でルーナの足を引っ張った。
地面に落とされたルーナを覆うように巨大な狼が影を作る。
「種族の異なる者との婚姻だぞ」
「覚悟の上です」
「怪物だぞ? お前のようなか弱いものを丸飲みだって出来る」
「旦那様はやさしい方です。触れることに怯えて……私の方が噛みついてしまいそう」
「はっ、そうだったな」
ぺろりと赤い舌がルーナの唇を舐める。
左右異なる色の瞳に赤くなったルーナの泣き顔が映った。
「いつまでも抗えるものではないな」
「旦那さ……」
青い炎が渦巻き、空に浮かぶ月をも飲み込む。
銀色の毛並みが髪となり、禍々しい肉食の目をしてリアムはルーナの両頬を包んだ。
唇が重なり、舌を舐め、だんだんと激しく押し合うようになり絡む。
糸をぶつ切りするように唇が離れると、そのまま下降して首を食んだ。
「お前がほしい、ルーナ。触れさせろ」
「はい」
リアムの首に手を伸ばし、交差して引き寄せる。
ぐっと身体を密着させてその気があることを知らせた。
風の入り込む寝室で、古びた木製のベッドに背中をのせる。
軋む音の耳にしながらリアムの銀の尻尾に指を滑らせ、肌に舌を這わせた。
月明かりが差し込む寝室で、人と獣が交わる影が伸びていた。