狼と王女様のスローライフ
ー/ー
共に暮らしはじめて、親睦を深める日々。
「旦那様。これは食べられますか?」
リアムが頷くと、ルーナは喜びにほんのり頬を染める。
リアムは現代に適合して、調理加工と簡単にこなす。
生真面目に人間の文明を取り入れる生真面目さにルーナはメロメロだ。
「今日は旦那様が用意してくださりましたうさぎのお肉を使いましょう!」
リアムはよく狩りのため、森を駆けることがある。
長生きしているだけあり、狼としても人間としても、両方の生活能力を兼ね備えていた。
にっこりと楽しそうに笑うルーナにリアムは身を震わせる。
だいたいは器用にこなすルーナだが、料理だけは放っておくと何をしでかすかわからないため、リアムは今晩が恐ろしいと唸っていた。
***
城育ちのルーナは足元に無頓着で、すぐに木の根につまづいてしまう。
いつもリアムが身を挺してルーナの身体をささえてくれるので、ルーナは余計に足元を気にしなくなる。
森での生活に慣れるため、リアムはルーナに付きっきりであった。
鼻をスンと鳴らし、何度も安全確認をする姿は狼らしさのないやさしさに満ちている。
尻尾が揺れる後ろ姿を見て、ルーナはほんの少し切ない気持ちになった。
(旦那様、雄々しくてステキ)
リアムはやさしく、献身的で、たくましさもある。
人間を模した姿は涼やかに美しく、狼の姿は凛としてカッコいい。
だがリアムはルーナに必要以上に近寄らない。
艶やかな毛並みを見て手を伸ばすと素早く避けられてしまう。
(私って、そんなに魅力がないかしら……)
本質は狼なのだから人間には興味がないのかもしれないが、ルーナにはそれが寂しくてたまらない。
(好奇心ではおさえられなくなった。だって、この気持ちは……)
匂いや、触れると過敏に反応してしまい、疼くような歓びが体中を駆け巡る。
狼でも、人間でも、どちらの姿でもいい。
ルーナはリアムを意識し、欲していた。
***
二階の寝室で窓を開き、夜空を見上げる。
リアムの左目に似た月が輝いており、焦がれて手を伸ばした。
真綿で包み込むよう、リアムはルーナを大切にしてくれる。
物足りないと欲を抱くのはワガママだと、気持ちを抑え込んだ。
もしルーナが名乗り出ず、下の姫のなかから選ばれていたら?
かわいい下の姫たち。
一番下の姫を生んだのち、母は死んでしまった。
母親代わりのつもりで姫たちを大切にしてきたが、その姫たちにも譲れないと胸を痛めた。
「眠れないのか?」
窓から下をみると、月明かりに照らされた狼のリアムが外にいた。
外は冷えるのに頬は火照っている。
銀色に輝くリアムを見て妙に泣きたい気持ちになり、笑って誤魔化そうとする。
「旦那様はお休みにならないのですか?」
「今晩は月明かりが強いからな」
「旦那様は月明かりの下でも美しいですね」
その言葉にリアムは顔をあげ、鋭い眼差しでルーナを見つめた。
「人里は恋しくならないか?」
「えっ?」
「狼との結婚だなんて嫌だったろうに。……すまなかったな」
「いいえ……いいえっ!」
あまりに悲しい発言だと、焦燥感に駆られ、ルーナは窓枠に身を乗り出す。
乾燥で手が滑り、ルーナの身体が窓枠を乗り越えてしまった。
「ルーナッ!!」
危機一髪でリアムが身体を滑り込ませて受け止める。
広い背中で受け止めたからよいものの、直撃していれば大怪我をしていただろう。
「気をつけろ! その身体はとても脆いのだから!!」
「……旦那様のせいです」
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リアムが頷くと、ルーナは喜びにほんのり頬を染める。
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生真面目に人間の文明を取り入れる生真面目さにルーナはメロメロだ。
「今日は旦那様が用意してくださりましたうさぎのお肉を使いましょう!」
リアムはよく狩りのため、森を駆けることがある。
長生きしているだけあり、狼としても人間としても、両方の生活能力を兼ね備えていた。
にっこりと楽しそうに笑うルーナにリアムは身を震わせる。
だいたいは器用にこなすルーナだが、料理だけは放っておくと何をしでかすかわからないため、リアムは今晩が恐ろしいと唸っていた。
***
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いつもリアムが身を挺してルーナの身体をささえてくれるので、ルーナは余計に足元を気にしなくなる。
森での生活に慣れるため、リアムはルーナに付きっきりであった。
鼻をスンと鳴らし、何度も安全確認をする姿は狼らしさのないやさしさに満ちている。
尻尾が揺れる後ろ姿を見て、ルーナはほんの少し切ない気持ちになった。
(旦那様、雄々しくてステキ)
リアムはやさしく、献身的で、たくましさもある。
人間を模した姿は涼やかに美しく、狼の姿は凛としてカッコいい。
だがリアムはルーナに必要以上に近寄らない。
艶やかな毛並みを見て手を伸ばすと素早く避けられてしまう。
(私って、そんなに魅力がないかしら……)
本質は狼なのだから人間には興味がないのかもしれないが、ルーナにはそれが寂しくてたまらない。
(好奇心ではおさえられなくなった。だって、この気持ちは……)
匂いや、触れると過敏に反応してしまい、疼くような歓びが体中を駆け巡る。
狼でも、人間でも、どちらの姿でもいい。
ルーナはリアムを意識し、欲していた。
***
二階の寝室で窓を開き、夜空を見上げる。
リアムの左目に似た月が輝いており、焦がれて手を伸ばした。
真綿で包み込むよう、リアムはルーナを大切にしてくれる。
物足りないと欲を抱くのはワガママだと、気持ちを抑え込んだ。
もしルーナが名乗り出ず、下の姫のなかから選ばれていたら?
かわいい下の姫たち。
一番下の姫を生んだのち、母は死んでしまった。
母親代わりのつもりで姫たちを大切にしてきたが、その姫たちにも譲れないと胸を痛めた。
「眠れないのか?」
窓から下をみると、月明かりに照らされた狼のリアムが外にいた。
外は冷えるのに頬は火照っている。
銀色に輝くリアムを見て妙に泣きたい気持ちになり、笑って誤魔化そうとする。
「旦那様はお休みにならないのですか?」
「今晩は月明かりが強いからな」
「旦那様は月明かりの下でも美しいですね」
その言葉にリアムは顔をあげ、鋭い眼差しでルーナを見つめた。
「人里は恋しくならないか?」
「えっ?」
「狼との結婚だなんて嫌だったろうに。……すまなかったな」
「いいえ……いいえっ!」
あまりに悲しい発言だと、焦燥感に駆られ、ルーナは窓枠に身を乗り出す。
乾燥で手が滑り、ルーナの身体が窓枠を乗り越えてしまった。
「ルーナッ!!」
危機一髪でリアムが身体を滑り込ませて受け止める。
広い背中で受け止めたからよいものの、直撃していれば大怪我をしていただろう。
「気をつけろ! その身体はとても脆いのだから!!」
「……旦那様のせいです」