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淫魔エマニュエルの接吻

ー/ー



 大宇宙の淫魔エマニュエルは、全裸のまま鎖で雁字搦めに縛られたピー氏の乳輪を長い爪で引っ掻きながら、彼の乳首の先端に熱い吐息を吹きかけて妖艶に笑った。
「ふふ、こんなところに毛が生えているのねえ。しかも、すんごく長いのが」
 ピー氏の端正な顔が朱に染まる。恥辱、何たる恥辱! 怒りに震えた彼は縛めの鎖を引きちぎろうと全身に力を込めたが、無限の力を持つ正義のスーパーヒーローである彼をもってしても、その努力は無に帰するのだった。
 そんなピー氏の額を流れ落ちる汗の雫を長い舌で舐めて、エマニュエルは美しい顔をほころばせた。
「私ね、素敵な男が滴らせる汗の味と臭いが好き。さすが快男児よ、あなた、合格」
 そんなことを言われても嬉しくも何ともない。ピー氏の頬がビリリと痙攣した。
 そんなところが美しき淫魔の劣情を刺激する。エマニュエルは柔らかな脂肪が山となす胸の膨らみの熱さに耐えきれなくなったかのように、ピー氏の素肌に巻き付いた冷たい鋼鉄の鎖に、その燃え盛る火の山(チョモランマと彼女は自称している)を包む薄絹を押し当てた。薄い赤の塗られた唇がわずかに開き、吐息が漏れる。
「ああ、とても気持ちいいわ。でも、これぐらいじゃあ、私の体の火照りは収まらないの」
 それなら絶対零度の暗黒宇宙へ帰ったらいいのに、とピー氏ならずとも思うであろう。誰も知らない銀河の果てで女盛りの身を持て余した淫魔エマニュエルは、素敵な男とのクールでありながら激しい恋愛を夢見て、この地球に飛来した。超時空のド変態によって前途ある若者たちが色情地獄へ転落していく悲劇を回避すべく、月軌道上で彼女を迎撃した正義の味方ピー氏だったが、哀れ攻撃は失敗、快楽の魔女ご自慢の鎖で全身の自由を失い囚われの身になってしまったのである。
 月のクレーターの底の底、地上の人々から目の届かぬ場所は今、正義と邪悪の……否、理性と欲望の争う魂のリングと化していた。引き締まったピー氏の体をうっとりと見つめて、邪悪な美女神は甘い声で呟く。
「本当に好き、本当に好きよ、好き、好き……」
 それから彼女は言った。
「ねえ、キスして」
 ピー氏はそっぽを向いた。淫魔エマニュエルは彼の頬を両手で包み、自分の方を無理やり向かせた。
「こっちを向いて、私だけを見て」
 両手を閉じて抵抗するピー氏の瞼を指先でこじ開け、美女は微笑んだ。
「あなたを心の底から好きになったみたい」
 そして彼女はピー氏に取引を持ち掛けた。
「私だけを愛してくれたら、他の男に手は出さないわ。お願い、私の恋人になって」
 地球の平和を守るためピー氏は、その取引に応じた。
「嬉しい!」
 ピー氏に抱きついたエマニュエルは、彼の唇を激しく吸った。激しく、そう、激しく! そして二人は幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし。




みんなのリアクション

 大宇宙の淫魔エマニュエルは、全裸のまま鎖で雁字搦めに縛られたピー氏の乳輪を長い爪で引っ掻きながら、彼の乳首の先端に熱い吐息を吹きかけて妖艶に笑った。
「ふふ、こんなところに毛が生えているのねえ。しかも、すんごく長いのが」
 ピー氏の端正な顔が朱に染まる。恥辱、何たる恥辱! 怒りに震えた彼は縛めの鎖を引きちぎろうと全身に力を込めたが、無限の力を持つ正義のスーパーヒーローである彼をもってしても、その努力は無に帰するのだった。
 そんなピー氏の額を流れ落ちる汗の雫を長い舌で舐めて、エマニュエルは美しい顔をほころばせた。
「私ね、素敵な男が滴らせる汗の味と臭いが好き。さすが快男児よ、あなた、合格」
 そんなことを言われても嬉しくも何ともない。ピー氏の頬がビリリと痙攣した。
 そんなところが美しき淫魔の劣情を刺激する。エマニュエルは柔らかな脂肪が山となす胸の膨らみの熱さに耐えきれなくなったかのように、ピー氏の素肌に巻き付いた冷たい鋼鉄の鎖に、その燃え盛る火の山(チョモランマと彼女は自称している)を包む薄絹を押し当てた。薄い赤の塗られた唇がわずかに開き、吐息が漏れる。
「ああ、とても気持ちいいわ。でも、これぐらいじゃあ、私の体の火照りは収まらないの」
 それなら絶対零度の暗黒宇宙へ帰ったらいいのに、とピー氏ならずとも思うであろう。誰も知らない銀河の果てで女盛りの身を持て余した淫魔エマニュエルは、素敵な男とのクールでありながら激しい恋愛を夢見て、この地球に飛来した。超時空のド変態によって前途ある若者たちが色情地獄へ転落していく悲劇を回避すべく、月軌道上で彼女を迎撃した正義の味方ピー氏だったが、哀れ攻撃は失敗、快楽の魔女ご自慢の鎖で全身の自由を失い囚われの身になってしまったのである。
 月のクレーターの底の底、地上の人々から目の届かぬ場所は今、正義と邪悪の……否、理性と欲望の争う魂のリングと化していた。引き締まったピー氏の体をうっとりと見つめて、邪悪な美女神は甘い声で呟く。
「本当に好き、本当に好きよ、好き、好き……」
 それから彼女は言った。
「ねえ、キスして」
 ピー氏はそっぽを向いた。淫魔エマニュエルは彼の頬を両手で包み、自分の方を無理やり向かせた。
「こっちを向いて、私だけを見て」
 両手を閉じて抵抗するピー氏の瞼を指先でこじ開け、美女は微笑んだ。
「あなたを心の底から好きになったみたい」
 そして彼女はピー氏に取引を持ち掛けた。
「私だけを愛してくれたら、他の男に手は出さないわ。お願い、私の恋人になって」
 地球の平和を守るためピー氏は、その取引に応じた。
「嬉しい!」
 ピー氏に抱きついたエマニュエルは、彼の唇を激しく吸った。激しく、そう、激しく! そして二人は幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし。


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