キエーウ最終決戦 3
ー/ー
「さぁ、これでお仲間達は終わりだよムツヤくん」
ムツヤは1人で立っていた。周りには地面に転がる仲間達。
「動くなよ、次に回復薬を使おうとしたら殺す」
ムツヤと仲間達にダクフは言う。今は刺激が出来ないとアシノは回復薬を使うのをやめた。
「さて、ムツヤくん君は散々キエーウに入れと言っても聞く耳を持たなかった。その決意を認めよう」
ジッとダクフを睨めつけながらムツヤは立ち続ける。
「今すぐこの場で自害しろ、そうしなければ仲間を殺す」
「ムツヤ殿!! 聞いてはいけません!!」
「ムツヤ、はぁはぁ、言う通りにした所で相手が約束を守るわけがない…… 聞くな!!」
モモとアシノは言うが、ムツヤはダクフに聞き返した。
「俺が死んだらみんなを殺さないか?」
「あぁ、いいだろう」
「ムツヤ!!!」
「ムツヤさん!!」
ムツヤが右手を腹に当てると、手が光りだす。
「ムツヤ殿、だめええええぇぇぇぇぇ!!!!」
光が腹を貫いて、静寂が訪れた。仲間達は目を見開いてそれを見ている。
ムツヤは地面にドサリと転がった。
「あっ、あぁ……」
ユモトは感電して動かない体を無理やり動かそうとする。ムツヤさんを助けなければ。
「ムツヤ殿!!」
右足を引きずってモモも歩こうとしたが、激痛でうまく力が入らない。
「お兄ちゃん」
ヨーリィは体が枯れ葉に変わり、動くことが出来なかった。
ルーは斬られた後、精霊に囲まれて地面に倒れたきりだ。
「ムツヤっ!!!」
アシノはムツヤの近くで切られた胸を抑えながら歩く。回復薬を掛けなければあのバカは本当に死んでしまう。
そんなアシノのよろめく足元をダクフは蹴り飛ばす。
「勇者様も無様だな、ハハハ」
バランスを崩して倒れ、回復薬は地面に染み込んでいく。
「さて、お前達、やれ!!」
騒ぎが収まるとキエーウのメンバーがぞろぞろと出てきた。
ダクフはムツヤの元へ歩み寄ると鞄に手を伸ばす。
その瞬間だった、ムツヤが飛び起きてダクフを斬りつけた。
胸を斬られたダクフは思わず手でその場所を抑える。
「生きていたのか!!」
また剣で斬りかかり、ダクフと鍔迫り合いになる。
そう、ムツヤは右手を光らせ、魔法で体を貫いたように見せかけ、実は背中から魔法を放出させていただけだった。
「このっ……」
ダクフは完全にムツヤを見誤っていた。仲間の為なら従順に命を捨てるだろうと。
「みんなの為に俺は死ねない!!!」
否、ムツヤは仲間の為に命を賭けて一芝居したのだ。
「小賢しい真似をっ!! うっ!!??」
ダクフは急に気分が悪くなった、目眩がする。
その理由は簡単だった。ムツヤの余りに強大過ぎる力に体がついていかなかったのだ。
「今すぐ剣を納めろ!! 本当に仲間を殺すぞ!!!」
「誰を殺すってわけ?」
ムツヤにとって聞き慣れた声がした。ルーだ。傷はすっかり治り、精霊の上に乗ってこちらにやって来ていた。
辺りに居たキエーウのメンバーは精霊たちと戦っている。
「くそっ!!」
「逃がすか!!」
モモが背中からダクフを斬りつけた。
「ぐううう、豚がぁ!!!!」
「私からもお返しだ!!」
アシノはビンのフタをダクフの顔面めがけてスッパーンと飛ばしまくる。地味に痛いやつだ。
「バインド!!!」
そして、怯んだ隙にユモトが拘束魔法で縛り上げた。
「効かぬわ!!」
ダクフはそう言って力を込めると拘束魔法を弾き飛ばした。
しかし、拘束魔法を破ったは良いが、ムツヤ達にぐるりと四方を囲まれている。
目眩と気分の悪さはまだ続いていた。
「お前こそ降伏しろ。でないと…… 殺すぞ」
アシノはワインボトルを構えて言う。ダクフは笑って答えてみせた。
「ビンのフタでどうやって人を殺そうというのかな?」
「それじゃあこれならどうかしら?」
ルーは杖を構えて雷の魔法を打つ準備をしていた。まともに食らえば確かに命の危機であろう。
ダクフは気分の悪さよりも、段々とイラつきの方が心を支配していった。
そして、その衝動に身を任せる。
「うっ、うががががが」
様子がおかしくなったダクフ見て、それぞれ武器を強く握りしめた。
ぐるんと白目を向くと、正面のムツヤに向かって瞬足で駆け寄り剣を振るう。
「ぐっ」
何とか防ぐも、勢いが強くムツヤは軽く飛ばされた。剣がぶつかり合った衝撃で手がビリビリとする。
「轟け雷鳴!! ついでに行け、精霊たちよ!!」
ルーは雷の魔法をダクフに浴びせ、トドメとばかりに精霊を向かわせた。
しかし、雷の魔法が直撃したダクフは怯むことなくムツヤに剣を振り続け、精霊も片手間になぎ倒していく。
「嘘でしょ!?」
力で完全に暴走したダクフは無意識のままムツヤに向かって剣を振る。
「いい加減にしろっ!!」
モモが斬りつけようとするも、片手で弾き飛ばされてしまう。
「くっ……」
ユモトは氷の魔法に雷の魔法と打ち続けているが、一切効かない。
状況はムツヤが劣勢だ。能力を奪われているのだから当然だった。
そんな中でダクフの突きがムツヤの右肩を斬り裂く。
「ムツヤ殿!!」
「モモ、危険だ!! あっちはムツヤに任せるしか無い」
駆け寄ろうとしたモモをアシノは制した。行った所で邪魔になるだけだろう。
何も出来ないことがもどかしかったが、自分達にもやるべきことがあった。
周りを囲むキエーウのメンバーと自分達も戦わねばならない。
ムツヤはとっさに回復魔法を使おうとしたが、傷の治りが遅い。ムツヤの魔法は中級の冒険者レベルになっていた。
ダクフは距離をとったムツヤに爆発魔法を使う。
すると、ムツヤは爆風によって上空に吹き飛ばされてしまった。
地面に落ちるまで景色がスローモーションに見える。
そして、ドサリと落ちると気を失ってしまった。
ムツヤは真っ暗な空間に1人で居た。
どこだここはと思った次に、もしかして自分は死んでしまったのかと考える。
何でこんな事になったんだろう。
そんな事を考えていたら色々な景色が目の前に広がっていった。
塔の中でサズァンに出会ったこと、外の世界に出てモモに剣を向けられたこと。
ユモトを助けて一緒に冒険したこと、ヨーリィと戦って仲間になったこと。
アシノとルーが自分に手を貸してくれたこと。
皆、笑顔だった。そう思っていたら急に泣き出すモモが見えた。
誰だ、モモさんを泣かす奴は。
そうだ、自分は守らなくちゃいけない。モモさんを、皆を……。
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ムツヤは1人で立っていた。周りには地面に転がる仲間達。
「動くなよ、次に回復薬を使おうとしたら殺す」
ムツヤと仲間達にダクフは言う。今は刺激が出来ないとアシノは回復薬を使うのをやめた。
「さて、ムツヤくん君は散々キエーウに入れと言っても聞く耳を持たなかった。その決意を認めよう」
ジッとダクフを睨めつけながらムツヤは立ち続ける。
「今すぐこの場で自害しろ、そうしなければ仲間を殺す」
「ムツヤ殿!! 聞いてはいけません!!」
「ムツヤ、はぁはぁ、言う通りにした所で相手が約束を守るわけがない…… 聞くな!!」
モモとアシノは言うが、ムツヤはダクフに聞き返した。
「俺が死んだらみんなを殺さないか?」
「あぁ、いいだろう」
「ムツヤ!!!」
「ムツヤさん!!」
ムツヤが右手を腹に当てると、手が光りだす。
「ムツヤ殿、だめええええぇぇぇぇぇ!!!!」
光が腹を貫いて、静寂が訪れた。仲間達は目を見開いてそれを見ている。
ムツヤは地面にドサリと転がった。
「あっ、あぁ……」
ユモトは感電して動かない体を無理やり動かそうとする。ムツヤさんを助けなければ。
「ムツヤ殿!!」
右足を引きずってモモも歩こうとしたが、激痛でうまく力が入らない。
「お兄ちゃん」
ヨーリィは体が枯れ葉に変わり、動くことが出来なかった。
ルーは斬られた後、精霊に囲まれて地面に倒れたきりだ。
「ムツヤっ!!!」
アシノはムツヤの近くで切られた胸を抑えながら歩く。回復薬を掛けなければあのバカは本当に死んでしまう。
そんなアシノのよろめく足元をダクフは蹴り飛ばす。
「勇者様も無様だな、ハハハ」
バランスを崩して倒れ、回復薬は地面に染み込んでいく。
「さて、お前達、やれ!!」
騒ぎが収まるとキエーウのメンバーがぞろぞろと出てきた。
ダクフはムツヤの元へ歩み寄ると鞄に手を伸ばす。
その瞬間だった、ムツヤが飛び起きてダクフを斬りつけた。
胸を斬られたダクフは思わず手でその場所を抑える。
「生きていたのか!!」
また剣で斬りかかり、ダクフと鍔迫り合いになる。
そう、ムツヤは右手を光らせ、魔法で体を貫いたように見せかけ、実は背中から魔法を放出させていただけだった。
「このっ……」
ダクフは完全にムツヤを見誤っていた。仲間の為なら従順に命を捨てるだろうと。
「みんなの為に俺は死ねない!!!」
否、ムツヤは仲間の為に命を賭けて一芝居したのだ。
「小賢しい真似をっ!! うっ!!??」
ダクフは急に気分が悪くなった、目眩がする。
その理由は簡単だった。ムツヤの余りに強大過ぎる力に体がついていかなかったのだ。
「今すぐ剣を納めろ!! 本当に仲間を殺すぞ!!!」
「誰を殺すってわけ?」
ムツヤにとって聞き慣れた声がした。ルーだ。傷はすっかり治り、精霊の上に乗ってこちらにやって来ていた。
辺りに居たキエーウのメンバーは精霊たちと戦っている。
「くそっ!!」
「逃がすか!!」
モモが背中からダクフを斬りつけた。
「ぐううう、豚がぁ!!!!」
「私からもお返しだ!!」
アシノはビンのフタをダクフの顔面めがけてスッパーンと飛ばしまくる。地味に痛いやつだ。
「バインド!!!」
そして、怯んだ隙にユモトが拘束魔法で縛り上げた。
「効かぬわ!!」
ダクフはそう言って力を込めると拘束魔法を弾き飛ばした。
しかし、拘束魔法を破ったは良いが、ムツヤ達にぐるりと四方を囲まれている。
目眩と気分の悪さはまだ続いていた。
「お前こそ降伏しろ。でないと…… 殺すぞ」
アシノはワインボトルを構えて言う。ダクフは笑って答えてみせた。
「ビンのフタでどうやって人を殺そうというのかな?」
「それじゃあこれならどうかしら?」
ルーは杖を構えて雷の魔法を打つ準備をしていた。まともに食らえば確かに命の危機であろう。
ダクフは気分の悪さよりも、段々とイラつきの方が心を支配していった。
そして、その衝動に身を任せる。
「うっ、うががががが」
様子がおかしくなったダクフ見て、それぞれ武器を強く握りしめた。
ぐるんと白目を向くと、正面のムツヤに向かって瞬足で駆け寄り剣を振るう。
「ぐっ」
何とか防ぐも、勢いが強くムツヤは軽く飛ばされた。剣がぶつかり合った衝撃で手がビリビリとする。
「轟け雷鳴!! ついでに行け、精霊たちよ!!」
ルーは雷の魔法をダクフに浴びせ、トドメとばかりに精霊を向かわせた。
しかし、雷の魔法が直撃したダクフは怯むことなくムツヤに剣を振り続け、精霊も片手間になぎ倒していく。
「嘘でしょ!?」
力で完全に暴走したダクフは無意識のままムツヤに向かって剣を振る。
「いい加減にしろっ!!」
モモが斬りつけようとするも、片手で弾き飛ばされてしまう。
「くっ……」
ユモトは氷の魔法に雷の魔法と打ち続けているが、一切効かない。
状況はムツヤが劣勢だ。能力を奪われているのだから当然だった。
そんな中でダクフの突きがムツヤの右肩を斬り裂く。
「ムツヤ殿!!」
「モモ、危険だ!! あっちはムツヤに任せるしか無い」
駆け寄ろうとしたモモをアシノは制した。行った所で邪魔になるだけだろう。
何も出来ないことがもどかしかったが、自分達にもやるべきことがあった。
周りを囲むキエーウのメンバーと自分達も戦わねばならない。
ムツヤはとっさに回復魔法を使おうとしたが、傷の治りが遅い。ムツヤの魔法は中級の冒険者レベルになっていた。
ダクフは距離をとったムツヤに爆発魔法を使う。
すると、ムツヤは爆風によって上空に吹き飛ばされてしまった。
地面に落ちるまで景色がスローモーションに見える。
そして、ドサリと落ちると気を失ってしまった。
ムツヤは真っ暗な空間に1人で居た。
どこだここはと思った次に、もしかして自分は死んでしまったのかと考える。
何でこんな事になったんだろう。
そんな事を考えていたら色々な景色が目の前に広がっていった。
塔の中でサズァンに出会ったこと、外の世界に出てモモに剣を向けられたこと。
ユモトを助けて一緒に冒険したこと、ヨーリィと戦って仲間になったこと。
アシノとルーが自分に手を貸してくれたこと。
皆、笑顔だった。そう思っていたら急に泣き出すモモが見えた。
誰だ、モモさんを泣かす奴は。
そうだ、自分は守らなくちゃいけない。モモさんを、皆を……。