SHOOT2! 「戦慄の氷帝!氷咲響也とヴィルヘルム!!」後編
ー/ー「……君が僕を倒す?」
ステージへと上がる俺をロン毛が馬鹿にしたような目で見下しながら口を開いた。
「ああ!!」
「ちょ、ちょっと君!!? 困るよ!勝手に上がっちゃあ!!」
MCのおっさんが慌てて俺に駆け寄る。
「このエキシビジョンマッチは将兵衛くんと響也くんのマッチアップなんだ! 試合はもう終わったの!! ほら下がって!!」
そうだそうだひっこめ~!!
MCの言葉に続いて、ほかの観客たちからもヤジが飛んでくる。でも俺は引きたくなかった……いや!引けなかった!!!
あのすかしたツラをギャフンと言わせねぇと腹の虫がおさまらねぇ!!
「ふうん? ほんとにやるつもりなんだ?」
「当たり前だろ!! なんのために上がってきたと思ってんだロン毛!!」
「響也くんも何言ってるの!? 会場の使用時間だって決まってるんだからそんなの認められないよ! ほら君! おりなさい!!」
そう言ってMCのおっさんが俺の身体をつかんで、無理やりステージから降ろそうとした時だった。
「いいじゃないですか!! 実におもしろい!!」
「え?」
会場内から聞き覚えのあるおっさんの野太い声が響き、MCのおっさんの動きが止まった。
「ご、ゴムゾーオーナー!! い、いいんですか!?」
ゴムゾーのおっさんは席から立ち上がると、ゆっくりとステージに上がった。
「ええ、構いませんよ?別にこのあとイベントがあるわけでもありませんから。それに……」
俺の方をチラっとみて笑うとゴムゾーのおっさんは話を続けた。
「見たでしょう? 翔くんのすごいシュートを。あれなら響也くん相手でもいいバトルを見せてくれそうだ」
MCのおっさんは、ゴムゾーのおっさんの話をきくと、まだ納得いかないような顔をしつつも俺を解放した。
「で、では……オーナーがいうなら……きょ、響也くんもそれでいいかい?」
「ええ、ぼくは構いませんよ?」
「……ゴホン!! というわけで! すごいハプニングだが! これよりエキシビジョンマッチの第二回戦を行うぞぉ!! みんな!! たのしんでくれ!!」
その瞬間、会場内が再び歓声に包まれた。さっきまでヤジ飛ばしてたくせに変わり身早ぇやつらだぜまったく……。とはいえ、これであいつと戦える!ありがとよゴムゾーのおっさん!!!
「んじゃあ!やるか!!ってあれ、相棒は!?」
バトルステージへと向かおうとしたら、ステージ上に落ちた相棒が見つからない!!どこいった!!?
「こいつであろう? お主の相棒とやらは」
「侍野郎!!」
声の方を振り返ると、侍野郎が俺の相棒を右の手の平に乗せて差し出していた。
「侍野郎ではない!! 柳生将兵衛だ!!! ……て違う! その……誰だか知らぬが本当に助かった……。お主と、こやつのおかげだ……」
「拾っといてくれたのか! ありがとよ!!」
「気にするな……それに礼を言わねばならぬのはこちらだ……。先の一撃……まことに天晴であった……。あれがなければ拙者の墨切丸は今頃……本当にありがとう……!」
「いいって! 客席から見てたけど、お前の一撃もすごかったぜ!! ま、あとは俺に任せてくれよ!! ……あ~柳生? ……将兵衛!」
「……! うむ! 客席よりお主の戦い、見させてもらう!! お主に救われた拙者の墨切丸とともにな!!」
そうして、将兵衛は右手を上げた。……へ!そういう事か!!
俺も同じように右手をあげ、すれ違いざまに将兵衛の上げた右手を叩く!
パン!!
バトンタッチしてなおさら負けられない気持ちを高めた俺は、バトルステージの前に立ちラインに相棒をセットした!!その瞬間相棒の黄色い目が輝き出す!どうやらやる気は満々見てぇだ!!
「さぁ行こうぜ!相棒!!!」
すると対面に立つ、ロン毛がニヤニヤと見下したような目のまま口を開いた
「ずいぶんと身の程知らずなんだね? 君、初心者でしょ?」
「なんでそんなことわかんだよ!?」
「大会で君みたいな子見たことないし、それにマナーもなってないからね」
「んなもんでいちいち判断すんじゃねぇ!! まぁあってるけどよ!! 昨日始めたばっかりだぜ!!」
「きの……!? く……あはははははは!!!」
ロン毛が笑い出した瞬間、観客たちも大爆笑しやがった!!客席には俺を指さして笑ってるやつもいやがる!!なんだってんだくそ!!今に見てやがれ!!
「怒っているのかい? でも彼らが笑うのも無理はない。だって昨日始めたばかりの素人が、WEC準優勝のこの僕を相手に……」
「へ!! 準優勝ってことは決勝で負けたってことだろ!!? 負けたくせになぁにを偉そうに誇ってやがるんでい!!」
「なに?」
「……!!」
ゾクっとした。俺に煽られた瞬間、ロン毛が怒りに満ちたような表情になって、やつの周りに吹雪が吹いているような威圧感を感じたんだ。
「いいだろう……! 消しバトを始めたことを後悔するくらい徹底的につぶしてあげよう!!」
完全にキレさせちまったみてぇだな。でも……
「おもしれぇ!!! だったらその素人に負けて恥かいてもらおうじゃねぇか!!?」
俺たちがガン飛ばしあっていると、MCのおっさんが若干引いた様子で声をかけてきた。
「じゃ、じゃあ二人とも準備はいいかな!!? では先行は……」
「いいよ。初心者に譲ってあげよう」
「じゃ、じゃあ……君……名前なんだっけ?」
「神風翔だ!!」
「し、失礼……! では!! チャレンジャー翔選手の先行でスタートだ!! 準備はいいか!!?」
「いつでもいいぜ!!!」
おれは相棒の前に立ち、構えをとる。ワクワクしてきやがった!!いけ好かない奴だけど、つえぇやつと戦うって考えたら武者震いがとまらねぇ!!!
「OK!! 3・2・1! イレイズ・ゴー!!!」
「ぶっ飛ばしてやろうぜ!! 相棒!!!!」
右手に回転を加えたデコピンで一気にぶっぱなす!!
権堂との戦いのときみたいに回転を受けて風を纏った相棒は、ロン毛のヴィルヘルム目掛けてかっ飛んだ!!
(威力は十分!! これならやれる!!!)
「必殺!!トルネード・ブラス……」
しかし、トルネード・ブラストを放とうとしたその瞬間……相棒の動きが一気に鈍りやがった……!
「ど、どういうことだ……!?」
相棒は動きを鈍らせながらもヴィルヘルム目掛けて突っ込んでいく……!なんでかわからないけどやばい……!!そんな予感をビンビン感じる!
「だめだ相棒!!!」
そして、その予感は当たっているよとでもいうかのように、ロン毛が不敵な笑みを浮かべながら口を開いた。
「あんなに威勢がよかったから少しは期待してたんだけど……君もこの程度か」
「なに!?」
「ヴィルヘルム! 夜想曲第四番・凍てつく迷宮(アイシクル・ラビリンス)!」
ロン毛がそう叫ぶと、将兵衛と戦った時のようヴィルヘルムの周りを白い靄が包み込んだ!その途端に目の前まで迫っていた相棒は軌道を変え、ヴィルヘルムに当たることなく場外へと落ちていった……。なんてこった完全に将兵衛の墨切丸と同じになっちまったじゃねぇか……!
「あ、相棒!!」
「リングアウトにより、響也選手に一ポイント!!」
ロン毛への歓声が上がる中、俺は相棒を回収しに走る……。くそ~なんかみじめだぜ……!でもそれよりも……
「……お前の力をうまく引き出してやれなくってごめんな相棒……」
「ふん……やはりこんなものか」
相棒を拾い上げる俺の方を見もしないで、ロン毛が口を開いた。
「……んだと?」
「君も結局、さっきの彼と同じだ。僕のヴィルヘルムに触れることさえできない……。今日のコンサートは本当につまらないよ……」
「く!」
何か言い返してやりてぇ!……でも……悔しいが事実だ……!何も言い返せないおれはそんな無力な自分自身への怒りに肩を震わせながら自分の立ち位置に戻る……。
「つぎで終わりだ……。君もその相棒とやらに、さよならを言うがいい……!MCさん、はやくカウントを」
ロン毛は心底つまらなそうに……冷たく淡々と言い放ち、指揮者みたいなポーズをとった……!
間違いない!あれがくる……!
「……お、おう。……では……3・2・1! イレイズ・ゴー!」
「フィナーレだ! ヴィルヘルム! 鎮魂曲第三番・忘却の氷河(グレイシャルオブリビオン)!!」
弾き出されたヴィルヘルムはその銀色のボディに白いモヤモヤを纏わせ、赤い目を光らせながら襲ってくる!!それはさっきも将兵衛との試合で見てたはずなのに……!でもなんか違う!なんというか……
(め、めちゃくちゃ怖え!!!!)
改めて正面から見ると、とてつもない迫力だった……。ロン毛のヴィルヘルムの放つオーラがまるで氷でできた銀の龍のようだ……!銀色の龍は赤い瞳で俺を睥睨する。その恐ろしさにのまれちまって、一瞬立ったまま意識を失っちまった……!
「いかん!! 神風殿!!! 敵の気迫にのまれるな!!!!」
客席から将兵衛の声が響く!そのおかげで俺は意識を取り戻した……!そうだった!俺がのまれちまったら相棒が……!!!
「もう遅い」
ロン毛の声が冷たく響くと、俺の相棒は……氷の中に閉じ込められていた……。
「……名前、なんだっけ?」
「……神風……翔……。そして俺の相棒……エアロドラゴン……! てめぇを叩き……潰す……名前だ……覚えておきやがれ……ロン……毛……」
朦朧とする意識の中、なんとか声を絞り出す。するとロン毛は振り返り一瞬俺に笑いかけた。
「覚えておくよ……。エアロドラゴン……そして……神風翔くん」
「ああ!!」
「ちょ、ちょっと君!!? 困るよ!勝手に上がっちゃあ!!」
MCのおっさんが慌てて俺に駆け寄る。
「このエキシビジョンマッチは将兵衛くんと響也くんのマッチアップなんだ! 試合はもう終わったの!! ほら下がって!!」
そうだそうだひっこめ~!!
MCの言葉に続いて、ほかの観客たちからもヤジが飛んでくる。でも俺は引きたくなかった……いや!引けなかった!!!
あのすかしたツラをギャフンと言わせねぇと腹の虫がおさまらねぇ!!
「ふうん? ほんとにやるつもりなんだ?」
「当たり前だろ!! なんのために上がってきたと思ってんだロン毛!!」
「響也くんも何言ってるの!? 会場の使用時間だって決まってるんだからそんなの認められないよ! ほら君! おりなさい!!」
そう言ってMCのおっさんが俺の身体をつかんで、無理やりステージから降ろそうとした時だった。
「いいじゃないですか!! 実におもしろい!!」
「え?」
会場内から聞き覚えのあるおっさんの野太い声が響き、MCのおっさんの動きが止まった。
「ご、ゴムゾーオーナー!! い、いいんですか!?」
ゴムゾーのおっさんは席から立ち上がると、ゆっくりとステージに上がった。
「ええ、構いませんよ?別にこのあとイベントがあるわけでもありませんから。それに……」
俺の方をチラっとみて笑うとゴムゾーのおっさんは話を続けた。
「見たでしょう? 翔くんのすごいシュートを。あれなら響也くん相手でもいいバトルを見せてくれそうだ」
MCのおっさんは、ゴムゾーのおっさんの話をきくと、まだ納得いかないような顔をしつつも俺を解放した。
「で、では……オーナーがいうなら……きょ、響也くんもそれでいいかい?」
「ええ、ぼくは構いませんよ?」
「……ゴホン!! というわけで! すごいハプニングだが! これよりエキシビジョンマッチの第二回戦を行うぞぉ!! みんな!! たのしんでくれ!!」
その瞬間、会場内が再び歓声に包まれた。さっきまでヤジ飛ばしてたくせに変わり身早ぇやつらだぜまったく……。とはいえ、これであいつと戦える!ありがとよゴムゾーのおっさん!!!
「んじゃあ!やるか!!ってあれ、相棒は!?」
バトルステージへと向かおうとしたら、ステージ上に落ちた相棒が見つからない!!どこいった!!?
「こいつであろう? お主の相棒とやらは」
「侍野郎!!」
声の方を振り返ると、侍野郎が俺の相棒を右の手の平に乗せて差し出していた。
「侍野郎ではない!! 柳生将兵衛だ!!! ……て違う! その……誰だか知らぬが本当に助かった……。お主と、こやつのおかげだ……」
「拾っといてくれたのか! ありがとよ!!」
「気にするな……それに礼を言わねばならぬのはこちらだ……。先の一撃……まことに天晴であった……。あれがなければ拙者の墨切丸は今頃……本当にありがとう……!」
「いいって! 客席から見てたけど、お前の一撃もすごかったぜ!! ま、あとは俺に任せてくれよ!! ……あ~柳生? ……将兵衛!」
「……! うむ! 客席よりお主の戦い、見させてもらう!! お主に救われた拙者の墨切丸とともにな!!」
そうして、将兵衛は右手を上げた。……へ!そういう事か!!
俺も同じように右手をあげ、すれ違いざまに将兵衛の上げた右手を叩く!
パン!!
バトンタッチしてなおさら負けられない気持ちを高めた俺は、バトルステージの前に立ちラインに相棒をセットした!!その瞬間相棒の黄色い目が輝き出す!どうやらやる気は満々見てぇだ!!
「さぁ行こうぜ!相棒!!!」
すると対面に立つ、ロン毛がニヤニヤと見下したような目のまま口を開いた
「ずいぶんと身の程知らずなんだね? 君、初心者でしょ?」
「なんでそんなことわかんだよ!?」
「大会で君みたいな子見たことないし、それにマナーもなってないからね」
「んなもんでいちいち判断すんじゃねぇ!! まぁあってるけどよ!! 昨日始めたばっかりだぜ!!」
「きの……!? く……あはははははは!!!」
ロン毛が笑い出した瞬間、観客たちも大爆笑しやがった!!客席には俺を指さして笑ってるやつもいやがる!!なんだってんだくそ!!今に見てやがれ!!
「怒っているのかい? でも彼らが笑うのも無理はない。だって昨日始めたばかりの素人が、WEC準優勝のこの僕を相手に……」
「へ!! 準優勝ってことは決勝で負けたってことだろ!!? 負けたくせになぁにを偉そうに誇ってやがるんでい!!」
「なに?」
「……!!」
ゾクっとした。俺に煽られた瞬間、ロン毛が怒りに満ちたような表情になって、やつの周りに吹雪が吹いているような威圧感を感じたんだ。
「いいだろう……! 消しバトを始めたことを後悔するくらい徹底的につぶしてあげよう!!」
完全にキレさせちまったみてぇだな。でも……
「おもしれぇ!!! だったらその素人に負けて恥かいてもらおうじゃねぇか!!?」
俺たちがガン飛ばしあっていると、MCのおっさんが若干引いた様子で声をかけてきた。
「じゃ、じゃあ二人とも準備はいいかな!!? では先行は……」
「いいよ。初心者に譲ってあげよう」
「じゃ、じゃあ……君……名前なんだっけ?」
「神風翔だ!!」
「し、失礼……! では!! チャレンジャー翔選手の先行でスタートだ!! 準備はいいか!!?」
「いつでもいいぜ!!!」
おれは相棒の前に立ち、構えをとる。ワクワクしてきやがった!!いけ好かない奴だけど、つえぇやつと戦うって考えたら武者震いがとまらねぇ!!!
「OK!! 3・2・1! イレイズ・ゴー!!!」
「ぶっ飛ばしてやろうぜ!! 相棒!!!!」
右手に回転を加えたデコピンで一気にぶっぱなす!!
権堂との戦いのときみたいに回転を受けて風を纏った相棒は、ロン毛のヴィルヘルム目掛けてかっ飛んだ!!
(威力は十分!! これならやれる!!!)
「必殺!!トルネード・ブラス……」
しかし、トルネード・ブラストを放とうとしたその瞬間……相棒の動きが一気に鈍りやがった……!
「ど、どういうことだ……!?」
相棒は動きを鈍らせながらもヴィルヘルム目掛けて突っ込んでいく……!なんでかわからないけどやばい……!!そんな予感をビンビン感じる!
「だめだ相棒!!!」
そして、その予感は当たっているよとでもいうかのように、ロン毛が不敵な笑みを浮かべながら口を開いた。
「あんなに威勢がよかったから少しは期待してたんだけど……君もこの程度か」
「なに!?」
「ヴィルヘルム! 夜想曲第四番・凍てつく迷宮(アイシクル・ラビリンス)!」
ロン毛がそう叫ぶと、将兵衛と戦った時のようヴィルヘルムの周りを白い靄が包み込んだ!その途端に目の前まで迫っていた相棒は軌道を変え、ヴィルヘルムに当たることなく場外へと落ちていった……。なんてこった完全に将兵衛の墨切丸と同じになっちまったじゃねぇか……!
「あ、相棒!!」
「リングアウトにより、響也選手に一ポイント!!」
ロン毛への歓声が上がる中、俺は相棒を回収しに走る……。くそ~なんかみじめだぜ……!でもそれよりも……
「……お前の力をうまく引き出してやれなくってごめんな相棒……」
「ふん……やはりこんなものか」
相棒を拾い上げる俺の方を見もしないで、ロン毛が口を開いた。
「……んだと?」
「君も結局、さっきの彼と同じだ。僕のヴィルヘルムに触れることさえできない……。今日のコンサートは本当につまらないよ……」
「く!」
何か言い返してやりてぇ!……でも……悔しいが事実だ……!何も言い返せないおれはそんな無力な自分自身への怒りに肩を震わせながら自分の立ち位置に戻る……。
「つぎで終わりだ……。君もその相棒とやらに、さよならを言うがいい……!MCさん、はやくカウントを」
ロン毛は心底つまらなそうに……冷たく淡々と言い放ち、指揮者みたいなポーズをとった……!
間違いない!あれがくる……!
「……お、おう。……では……3・2・1! イレイズ・ゴー!」
「フィナーレだ! ヴィルヘルム! 鎮魂曲第三番・忘却の氷河(グレイシャルオブリビオン)!!」
弾き出されたヴィルヘルムはその銀色のボディに白いモヤモヤを纏わせ、赤い目を光らせながら襲ってくる!!それはさっきも将兵衛との試合で見てたはずなのに……!でもなんか違う!なんというか……
(め、めちゃくちゃ怖え!!!!)
改めて正面から見ると、とてつもない迫力だった……。ロン毛のヴィルヘルムの放つオーラがまるで氷でできた銀の龍のようだ……!銀色の龍は赤い瞳で俺を睥睨する。その恐ろしさにのまれちまって、一瞬立ったまま意識を失っちまった……!
「いかん!! 神風殿!!! 敵の気迫にのまれるな!!!!」
客席から将兵衛の声が響く!そのおかげで俺は意識を取り戻した……!そうだった!俺がのまれちまったら相棒が……!!!
「もう遅い」
ロン毛の声が冷たく響くと、俺の相棒は……氷の中に閉じ込められていた……。
「あ、あぁ……!相棒……!!」
「勝負ありだね? ではつぎは氷ごと君の相棒を砕こう……」
ロン毛に呼応してヴィルヘルムの目がより一層赤く輝く。そんな……ここで……こんなところで俺は終わっちまうのか?
「く……そ……」
もうどうしようもない……こいつは相棒は砕かれて死んじまうんだ……!俺が間違っていたのか? 他人のことなんてほっとけばよかったのか?……わからない……。
「あい……ぼう……」
膝から崩れ落ち、地面を見つめる俺は、もはや顔を上げて相棒の姿を見ることはできなかった……。俺のせいで粉々にされる相棒の姿なんて見たくなかったんだ……。
しかし、その時……!
「なぜ攻撃許可をもらえないんですか!? 相手の消しゴムを破壊することは許可されているはずです!!」
ロン毛がなにかイラついた様子で叫ぶ声が耳に入って来た。相手は……
「たしかに、それは認められている。けれど……その場合は次に攻撃側になる選手がパスするか、完全に戦意喪失したときのみだ。それはわかっているだろう?」
(ゴムゾーのおっさん……)
おっさんは俺の方に向くとゆっくりと近づきしゃがみ込む。そして俺の肩をぽんと叩いた。
「なんだよ……?」
「君はもう完全に戦意を失ってしまったのかい? ならば、もう響也くんのターンになる。そうしたら本当に君の相棒は粉々に砕かれてしまうんだよ? それでもいいのかい?」
(そんなの……いいわけねぇだろ……!でも相棒は凍ってうごけない……どうしたらいいんだよ……!)
心の中では反論が浮かんでくるのに俺は口を開くことができなかった。多分、本当に戦意喪失しちまったんだな……。もう立ち上がれる気がしねぇんだ……。
「ふむ、立ち上がれない……か。それも仕方ないかもしれんな……」
「……」
「だがな?」
「……なんだよ?」
「君とともに戦うものたちはまだ戦う意思を失っていないようだよ?」
「……何言って」
「まわりの声に耳を傾けてごらん」
(……まわりの声? ……!!)
「翔~!! 立って!! 負けないで翔!!!」
「翔ちゃんならやれます!!! 立ってください!!!!」
「拙者と墨切丸の思いをバトンタッチの時に背負ってくれたであろう!!! 拙者はお主を信じている!!! 立ってくれ神風殿!!!」
茜、宙斗、将兵衛……それに……!
「まわりといっても3人じゃないですか……。そんな小さな応援で何が変わるというのです? こいつはもう戦う意思を失った、立てません。それが事実です。これ以上は時間の無駄ですよ」
ロン毛がそう嘲笑い、俺は肩を震わせる。そして……
「ダッハハハハハハ!!」
俺は大きく笑いだしちまった!!途端、ざわついていた客席が静まりかえる。
「な、なんだ!!? 気でも触れたか!!」
「いやいや正気だぜ? ただ、お前がドヤ顔で勘違いのたまってるのがおかしくってよ」
「勘違い?」
ロン毛がイラついた様に眉間に皺を寄せる。
「ああ! 3つも勘違いしてるぜお前!!」
俺は顔を上げて高らかに叫ぶ!
「一つ!! あいつらの応援は小さくなんかねぇ!! どんな応援よりも大きく心に響く最っ高の応援だ!!!」
「なんだ。そんなくだらない友情ごっ……」
「二つ!!」
「!」
「3人じゃねぇ!! 4人だ!! 俺とともに戦ってくれているのは!!!」
「4人……だと? クク……あと一人はどこにいるんだい? もしかしてゴムゾーさんのことかい?」
「は! ほんと節穴だなお前。最初からずっといるじゃねぇか! 俺の相棒が!!!!」
「なに?」
そうだ! 相棒は戦う意思を捨てて何ていなかった!!! あいつは俺が立てなくなっても、氷漬けになってからもずっと!!俺が立ち上がるのを待っていたんだ!!
氷の中の相棒は「ようやく気付いたか」とでも言うように黄色いその目の光をさらに強く輝かせた!
「……3つ目は?」
さっきまで馬鹿にしたような様子だったロン毛の表情がすこしマジになる。
「三つ!!! この俺、神風翔は!!!! 仲間たちがいれば!!!!! 相棒がいれば!!!!!! 絶対に立ち上がれるってことだぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」
俺は全身に力を入れて、立ち上がった!!
「三人とも!!! ありがとな!!」
客席で応援してくれたあいつらに礼をいい、そして俺はゴムゾーのおっさんの方を向いた。
「おっさんも、ありがとな」
「なに、私はただ気づかせただけだよ。君は一人ではないということをね」
そうおっさんはやさしく笑った。
「ふ~ん。ずいぶんとヒロイックに立ち上がったね? でもどうするんだい? 君が立ち上がったところで相棒は氷の中……状況は何一つ変わっていないよ?」
「へ! 変わるさ! 俺と相棒が戦う意思を合わせれば!! 変えられないものなんて何一つねぇ!!!」
俺はバトルステージの前に立ち、氷の中の相棒を見つめる。
(相棒、またせたな!!)
「ふん、気持ちで勝てれば苦労はしない。その氷の中の相棒とどう一緒に戦う?」
ロン毛が相変わらず嫌味な調子で問いかける。でも……
「俺の答えは決まってるぜ!! こうするんだぁ!!!!!!!」
「……な!!?」
その場にいたゴムゾーのおっさんや観客たち、ロン毛までも含めた全員が信じられないといった表情で俺を見つめた!多分思ったんだろうな。狂気の沙汰だってよ!!
「うおおおおおおおお!!!!」
「や、やめるんだ!! 翔くん!! そんなことをしたら!!」
「神風殿!! いくらなんでも無茶だ!!」
「翔!! やめて!!! ほかの方法を考えて!!!」
「翔ちゃん!! だめだよ!!!」
さっきまで応援ムードだったやつらもみんなそろって止めようとしやがる……!でも悪いなみんな!!これしか思いつかねぇんだ!!!
「うおおおおおおおお!!!!!」
「「「「指がダメになってしまうぞ!!!」」」」
みんなが口を揃えてそう言った。俺がやっていること……それは!
「氷に向かって、ひたすらにデコピンだと……!!?」
いまロン毛が言った通りだ。俺は相棒を救うためにひたすら力を込めたデコピンを氷の塊に向けて放ち続けていた!!
「中指から血が出ている!!やめろ!!」
「中指がダメなら人差し指だぁ!!!!!!」
俺は全部の指が血だらけになろうがぶっ壊れようが止めるつもりはなかった!ずっと戦う意思を失っていなかった相棒に報いるためにも、俺は止まるわけにはいかなかった!!
……そして、ついにその時がきた!!
ピシ!ピシピシピシ!バキィィィィィン!!!
相棒を覆っていた氷が音を立てて砕け散った!
「はぁ……はぁ……待たせたな……ショータイムだぜ……相棒……」
「無理よ!やめなさい!!」
「そうだよ翔ちゃん!だって!!」
「お主は……!! お主の両手の指は……!!」
「すべてボロボロじゃないか!!!今すぐに救急車を呼ぼう!!」
客席の3人とゴムゾーのおっさんはそう言って止めようとする。そう……俺は相棒を救出するために両手の指すべてを使って弾きまくったから、爪は全部割れて、両手から血をダラダラ垂らしていた。
「……覚悟……しやがれ……ロン毛……」
俺は気力だけで立ち続け、焦点の定まらない目でロン毛をにらみつけた。するとロン毛はすこし目を閉じ、そして
「……ここまでにしよう」
何を考えているのかよくわからない表情でそう言った。
「ああ……? なんでだよ……?」
「そんな状態では戦えまい。それに……仮にシュートしようものなら、二度と消しバトができなくなるだろう」
「は……? 最初っからやる気なくすくらい叩き潰す気だったんだろ?」
「勝負ありだね? ではつぎは氷ごと君の相棒を砕こう……」
ロン毛に呼応してヴィルヘルムの目がより一層赤く輝く。そんな……ここで……こんなところで俺は終わっちまうのか?
「く……そ……」
もうどうしようもない……こいつは相棒は砕かれて死んじまうんだ……!俺が間違っていたのか? 他人のことなんてほっとけばよかったのか?……わからない……。
「あい……ぼう……」
膝から崩れ落ち、地面を見つめる俺は、もはや顔を上げて相棒の姿を見ることはできなかった……。俺のせいで粉々にされる相棒の姿なんて見たくなかったんだ……。
しかし、その時……!
「なぜ攻撃許可をもらえないんですか!? 相手の消しゴムを破壊することは許可されているはずです!!」
ロン毛がなにかイラついた様子で叫ぶ声が耳に入って来た。相手は……
「たしかに、それは認められている。けれど……その場合は次に攻撃側になる選手がパスするか、完全に戦意喪失したときのみだ。それはわかっているだろう?」
(ゴムゾーのおっさん……)
おっさんは俺の方に向くとゆっくりと近づきしゃがみ込む。そして俺の肩をぽんと叩いた。
「なんだよ……?」
「君はもう完全に戦意を失ってしまったのかい? ならば、もう響也くんのターンになる。そうしたら本当に君の相棒は粉々に砕かれてしまうんだよ? それでもいいのかい?」
(そんなの……いいわけねぇだろ……!でも相棒は凍ってうごけない……どうしたらいいんだよ……!)
心の中では反論が浮かんでくるのに俺は口を開くことができなかった。多分、本当に戦意喪失しちまったんだな……。もう立ち上がれる気がしねぇんだ……。
「ふむ、立ち上がれない……か。それも仕方ないかもしれんな……」
「……」
「だがな?」
「……なんだよ?」
「君とともに戦うものたちはまだ戦う意思を失っていないようだよ?」
「……何言って」
「まわりの声に耳を傾けてごらん」
(……まわりの声? ……!!)
「翔~!! 立って!! 負けないで翔!!!」
「翔ちゃんならやれます!!! 立ってください!!!!」
「拙者と墨切丸の思いをバトンタッチの時に背負ってくれたであろう!!! 拙者はお主を信じている!!! 立ってくれ神風殿!!!」
茜、宙斗、将兵衛……それに……!
「まわりといっても3人じゃないですか……。そんな小さな応援で何が変わるというのです? こいつはもう戦う意思を失った、立てません。それが事実です。これ以上は時間の無駄ですよ」
ロン毛がそう嘲笑い、俺は肩を震わせる。そして……
「ダッハハハハハハ!!」
俺は大きく笑いだしちまった!!途端、ざわついていた客席が静まりかえる。
「な、なんだ!!? 気でも触れたか!!」
「いやいや正気だぜ? ただ、お前がドヤ顔で勘違いのたまってるのがおかしくってよ」
「勘違い?」
ロン毛がイラついた様に眉間に皺を寄せる。
「ああ! 3つも勘違いしてるぜお前!!」
俺は顔を上げて高らかに叫ぶ!
「一つ!! あいつらの応援は小さくなんかねぇ!! どんな応援よりも大きく心に響く最っ高の応援だ!!!」
「なんだ。そんなくだらない友情ごっ……」
「二つ!!」
「!」
「3人じゃねぇ!! 4人だ!! 俺とともに戦ってくれているのは!!!」
「4人……だと? クク……あと一人はどこにいるんだい? もしかしてゴムゾーさんのことかい?」
「は! ほんと節穴だなお前。最初からずっといるじゃねぇか! 俺の相棒が!!!!」
「なに?」
そうだ! 相棒は戦う意思を捨てて何ていなかった!!! あいつは俺が立てなくなっても、氷漬けになってからもずっと!!俺が立ち上がるのを待っていたんだ!!
氷の中の相棒は「ようやく気付いたか」とでも言うように黄色いその目の光をさらに強く輝かせた!
「……3つ目は?」
さっきまで馬鹿にしたような様子だったロン毛の表情がすこしマジになる。
「三つ!!! この俺、神風翔は!!!! 仲間たちがいれば!!!!! 相棒がいれば!!!!!! 絶対に立ち上がれるってことだぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」
俺は全身に力を入れて、立ち上がった!!
「三人とも!!! ありがとな!!」
客席で応援してくれたあいつらに礼をいい、そして俺はゴムゾーのおっさんの方を向いた。
「おっさんも、ありがとな」
「なに、私はただ気づかせただけだよ。君は一人ではないということをね」
そうおっさんはやさしく笑った。
「ふ~ん。ずいぶんとヒロイックに立ち上がったね? でもどうするんだい? 君が立ち上がったところで相棒は氷の中……状況は何一つ変わっていないよ?」
「へ! 変わるさ! 俺と相棒が戦う意思を合わせれば!! 変えられないものなんて何一つねぇ!!!」
俺はバトルステージの前に立ち、氷の中の相棒を見つめる。
(相棒、またせたな!!)
「ふん、気持ちで勝てれば苦労はしない。その氷の中の相棒とどう一緒に戦う?」
ロン毛が相変わらず嫌味な調子で問いかける。でも……
「俺の答えは決まってるぜ!! こうするんだぁ!!!!!!!」
「……な!!?」
その場にいたゴムゾーのおっさんや観客たち、ロン毛までも含めた全員が信じられないといった表情で俺を見つめた!多分思ったんだろうな。狂気の沙汰だってよ!!
「うおおおおおおおお!!!!」
「や、やめるんだ!! 翔くん!! そんなことをしたら!!」
「神風殿!! いくらなんでも無茶だ!!」
「翔!! やめて!!! ほかの方法を考えて!!!」
「翔ちゃん!! だめだよ!!!」
さっきまで応援ムードだったやつらもみんなそろって止めようとしやがる……!でも悪いなみんな!!これしか思いつかねぇんだ!!!
「うおおおおおおおお!!!!!」
「「「「指がダメになってしまうぞ!!!」」」」
みんなが口を揃えてそう言った。俺がやっていること……それは!
「氷に向かって、ひたすらにデコピンだと……!!?」
いまロン毛が言った通りだ。俺は相棒を救うためにひたすら力を込めたデコピンを氷の塊に向けて放ち続けていた!!
「中指から血が出ている!!やめろ!!」
「中指がダメなら人差し指だぁ!!!!!!」
俺は全部の指が血だらけになろうがぶっ壊れようが止めるつもりはなかった!ずっと戦う意思を失っていなかった相棒に報いるためにも、俺は止まるわけにはいかなかった!!
……そして、ついにその時がきた!!
ピシ!ピシピシピシ!バキィィィィィン!!!
相棒を覆っていた氷が音を立てて砕け散った!
「はぁ……はぁ……待たせたな……ショータイムだぜ……相棒……」
「無理よ!やめなさい!!」
「そうだよ翔ちゃん!だって!!」
「お主は……!! お主の両手の指は……!!」
「すべてボロボロじゃないか!!!今すぐに救急車を呼ぼう!!」
客席の3人とゴムゾーのおっさんはそう言って止めようとする。そう……俺は相棒を救出するために両手の指すべてを使って弾きまくったから、爪は全部割れて、両手から血をダラダラ垂らしていた。
「……覚悟……しやがれ……ロン毛……」
俺は気力だけで立ち続け、焦点の定まらない目でロン毛をにらみつけた。するとロン毛はすこし目を閉じ、そして
「……ここまでにしよう」
何を考えているのかよくわからない表情でそう言った。
「ああ……? なんでだよ……?」
「そんな状態では戦えまい。それに……仮にシュートしようものなら、二度と消しバトができなくなるだろう」
「は……? 最初っからやる気なくすくらい叩き潰す気だったんだろ?」
「……」
俺がそう反論すると、ロン毛はさっきまでとは違う、なんというか嫌味じゃない感じで……
「……フ」
そう小さく笑った。
「……な、なに……笑って……やがる……?」
「……この状態の君を叩き潰しても、全力じゃなかったからとか言い訳の余地が生まれるだろう?」
「なんだとこのや……」
「だから……決着はつぎのコンサートまで預けておこう。つぎは徹底的に叩き潰す。その時は精々楽しませてくれたまえ」
俺がそう反論すると、ロン毛はさっきまでとは違う、なんというか嫌味じゃない感じで……
「……フ」
そう小さく笑った。
「……な、なに……笑って……やがる……?」
「……この状態の君を叩き潰しても、全力じゃなかったからとか言い訳の余地が生まれるだろう?」
「なんだとこのや……」
「だから……決着はつぎのコンサートまで預けておこう。つぎは徹底的に叩き潰す。その時は精々楽しませてくれたまえ」
「……」
それだけ言うと、ロン毛は踵を返して出口へと歩き出した。
舐めやがって……でも……何も言い返せねぇ……!悔しさのあまり身体が震える。そんな俺に背を向けたまま、一瞬歩みを止めてロン毛が口を開いた。
舐めやがって……でも……何も言い返せねぇ……!悔しさのあまり身体が震える。そんな俺に背を向けたまま、一瞬歩みを止めてロン毛が口を開いた。
「……名前、なんだっけ?」
「……神風……翔……。そして俺の相棒……エアロドラゴン……! てめぇを叩き……潰す……名前だ……覚えておきやがれ……ロン……毛……」
朦朧とする意識の中、なんとか声を絞り出す。するとロン毛は振り返り一瞬俺に笑いかけた。
「覚えておくよ……。エアロドラゴン……そして……神風翔くん」
それだけ聞くと、そこで俺は意識を失った。
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