次の日の学校。
僕と目が合った美那ちゃんは、やはり赤くなった。
僕も胸の中がドキドキと熱く鳴った。そのドキドキが聞こえないように、できる限りいつも通りに彼女の元へ行き、本を一冊渡した。
「……はい」
「これ……若草物語?」
「うん。美那ちゃん、ずっと読みたいって言ってたでしょ。」
「ありがとう!これ、ずっと読みたかったの」
彼女はそうつとめてか、いつもと同じ反応だった。
それからも、僕達の関係は今までとそう変わったということはなかった。
ただ、僕の方から積極的に本を貸してあげたりしたし、目が合ったらお互いに少し赤くなるようになった……それだけだった。
秋も終わりに近づく頃。
一緒に帰る帰り道で、美那ちゃんは僕に顔を向けてにっこりと笑った。
「私、城命中学校を受験することにしたわ」
「えっ、そうなの?」
城命中学校は、大学までエスカレーターで進める名門の共学校。僕の住む地域で中学受験をするコは、大抵目指している学校だ。
「ええ。奏は、どこを受験するの?」
「僕は……」
本当の事を言おうか、少し迷った。
「立洋中学校」
他県の、男子進学校だ。
「えっ、城命中学校じゃないの?」
「うん。僕、将来獣医さんになりたいんだ。城命中学校だったら大学までエスカレーターだけど、獣医にはなれない。立洋中学校は遠いけど、難しい大学への進学率が凄く高いんだ。だから、僕は……立洋中学校を受験する」
僕は自分の決意を話した。
「そう……分かったわ」
美那ちゃんは寂しそうに、澄んだ瞳を下に向けた。