次の日。帰りの下駄箱で美那ちゃんは僕に黒いコスモスを渡した。
「これ……」
「私からの、プレゼント」
美那ちゃんは、寂しそうに眉を下げて微笑んだ。
「お互い、絶対に志望校合格できるように頑張ろうね!」
少し潤んだ瞳でそう言って走り去った。
「あんたの恋、終わったね」
黒いコスモスを見た姉は溜息を吐いた。
「黒いコスモスはチョコレートコスモスって言うんだけど、その花言葉は、『恋の終わり』。ああもう、バカだねぇ。そのコと同じ中学校受けたらいいのに」
終わった……僕の恋は。
塞ぎこむ僕を、チョコレートコスモスの仄かなチョコレートの香りが包んだ。
でも、受験前の時期に落ち込んでばかりもいられなかった。僕はそれから彼女のことを忘れるくらいにがむしゃらに勉強して、そして、志望校に合格した。
美那ちゃんも彼女の志望校に合格した。
実質的に僕達の関係は終わり……僕達は離れ離れになったんだ。
お互い、それぞれの道を歩み出した。