お弁当デー
ー/ー 局員のプライベート空間、個室があります。
町に部屋を設けることは許されていません、町は『娯楽施設』ですからね。
季節も含め、気まぐれで神が手を加えるので建物が無くなってるなんて事て日常茶飯時、危ないです。まるで入るたびに内部構造が変わるダンジョンみたいな?
そのうちモンスター出してきそうで不安です。
個室といっても、ふたり暮らしが快適にできる広々としたスペースがあって、トイレ、シャワー、風呂、台所、リビングに部屋も基本2つあります。
家賃もない、光熱費もかからない、音漏れしない、場所によってはベランダまである……私も人であれば、住みたいくらい。
「ふぁ……よぉし、作るぞぉ!」
寝起きで少しばかりぼーっとしてるほまれちゃんですが、気合が入ってるのは伝わりますね。
トントントン……と、まな板を叩く包丁の音と、髪を上げてエプロン姿……新婚さんみたいでいいですね、照れますねぇ。
「なに照れてるのよ?自分のお弁当作ってるだけなんだから」
良いじゃないですか!こういうのは雰囲気が大事!私を旦那様だと思って、ほらほら!
「やーよ!どうせならメノ……ノ……はっ?!た、たまごがぁ!!」
素敵な色と模様がついた卵焼きができましたね……私のせいじゃないですよ?
「作り直す時間も材料もない……全力で誤魔化すっ!」
いつも社食で皆さん食べてますが、昨日の避難訓練のおかげて厨房が使えなくなりました。誤って溢れちゃったらしくて、機器が駄目になったらしいです。
神がちょちょい!と、直せばいいだろうと思うんですけど、そこまでいたれりつくせりしてくれず……みんな、お弁当持参でとの、お達しがでました。
可愛らしいお弁当箱におかずとご飯を詰めて……みんなでお弁当見せ合うんですよね?楽しみですねぇ!
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「さぁ!食べるわよ!!」
「うへぇ……葵、お前のそれ弁当か?」
「……バームクーヘンはどうやって作ったんだろう」
「君達に言われたくない!満腹カロリバーだけなぞ!弁当などというのかとっ!」
いつも以上にうるさいランチタイム。
葵ちゃんは甘い物づくし……ドーナツ、フィナンシェ、シュークリームに、カナメくんがツッコみたくなるくらいの巨大なバームクーヘンを持ってきました。
ここまできたらもう業者。
打って変わってこの男子ふたりは、料理なんて無縁。案の定、腹にたまればなんでもいい派に良くある、市販の栄養機能補助食品を持参。
「葵ちゃんすごっ!みんな美味しそう!」
「なにを言いますかぁ!ほまれちゃんの女子力に私は圧倒されてしまっているよ!特にこの卵焼き!くまちゃん!」
「うっ!あ、ありがと」
誤魔化しが裏目に……いえ、いい方に転びましたかね?そういえばウルメくんは……おぉっ?
「相変わらず爆食だな、ウルメ。からあげいっこもーらい!」
「あ"っ!ぼ、ぼくのからあげ……」
「ふまっ……ウルメ、意外な才能」
2個取られてますね。
三段重の1段に1種、からあげ、卵焼き、おにぎりがみっちりと。彩りはよくは無いですが、料理のできる男だったとは……これでコミュ力があれば相当モテるのに勿体無い。
「そういえば……渡せた?」
「んぐっ?!けほっけほっ……い、いちおう……」
「ヒュゥー!やったね!これでまた1つほまれちゃんの魅力が伝わったわけだ!ぬははっ!」
そう、ほまれちゃんはふたり分のお弁当作ってました。
お察しかと思いますけど。
あいつの様子、見てみましょうか。
**********
「メノウさん……かわいい弁当っすね?キャラ弁すか?」
「ん?はっはっはぁ!いいだろぉ~やらんからな?」
日頃お世話になっているのと、昨日とか、この間のお礼含めて作ってあげたそうです。料理できそうにないですし、よくて白飯と梅干しでしょうよ。
美味そうに食べて……うらやま……ねたま……悔しい。叶わぬ夢だろうけど、いつか私も食べてみたいものです。
特にあの卵焼きを!!
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