世界線
ー/ー 9月末に文化祭が終わり、ほっとしたのも束の間、これから中間テストだ。
止まっているようでいて季節は流れ、気が付けば登下校の道はすっかり秋の顔になっている。空の青が濃い。
小林雄眞との関係は相変わらずうやむやのままだった。
一方的な長文メッセージが何通も送られてきている。
——あのさ俺たち一度ちゃんと向き合って話した方がいいと思わない?
——確かに俺も言い方がきつかったりするけど、それは盟子のこと大事に思ってるからだよ。
——盟子ならきっと理解してくれるって信じてるから。
——いいかげん返事しろよ。俺が真剣に話してやってるのに何様なの? 10時までに必ず返事しろ。
——頭が痛くて眠れない。ずっと盟子のこと考えてる。会えなくてすごく苦しいよ。
下からお願いして来ると思えば、上から目線で命令して来たり。同情を誘う泣き落としで来たりもする。
止まっているようでいて季節は流れ、気が付けば登下校の道はすっかり秋の顔になっている。空の青が濃い。
小林雄眞との関係は相変わらずうやむやのままだった。
一方的な長文メッセージが何通も送られてきている。
——あのさ俺たち一度ちゃんと向き合って話した方がいいと思わない?
——確かに俺も言い方がきつかったりするけど、それは盟子のこと大事に思ってるからだよ。
——盟子ならきっと理解してくれるって信じてるから。
——いいかげん返事しろよ。俺が真剣に話してやってるのに何様なの? 10時までに必ず返事しろ。
——頭が痛くて眠れない。ずっと盟子のこと考えてる。会えなくてすごく苦しいよ。
下からお願いして来ると思えば、上から目線で命令して来たり。同情を誘う泣き落としで来たりもする。
けれど盟子はそれらに返事をしなかった。うんざりしすぎて最近は開くことすらやめた。
自分と盟子とは付き合っている彼氏彼女、話し合いが足りなくて今はちょっとすれ違っているだけ、という世界線の中で雄眞はいまだに生きているらしい。
ひとつ、気にかかることがあった。
最近南緒に無視されている、ような気がする。
今日も「おはよう」と普通に挨拶したら、ふいっと目をそらして向こうへ行ってしまった。明らかに聞こえている距離だったのに。
で、向こうで別の友達とわざとらしく大声で笑い合っている。
……それは小林雄眞との関係がこじれたことと何か関係があるのかもしれない。
雄眞を突き離そうとしている盟子を、南緒は快く思っていないはずだ。せっかくうまいことまとめてやったのに、と。
また元のさやに戻れば、南緒の機嫌は戻るのだろうか。
そして2学期からは、盟子は鈴城芸術アカデミーの土曜日のデッサンコースに通わされていた。母が勝手に申し込んでしまったのだ。
——こうやって誰かが設定した世界の中で、私は誰かの思い通りの駒であり続けるのかな。
それは嫌だ、とはっきり思った。そんなふうに生きて行きたくない。
だってその世界線に、あの人は存在しないと思うから。
自分と盟子とは付き合っている彼氏彼女、話し合いが足りなくて今はちょっとすれ違っているだけ、という世界線の中で雄眞はいまだに生きているらしい。
ひとつ、気にかかることがあった。
最近南緒に無視されている、ような気がする。
今日も「おはよう」と普通に挨拶したら、ふいっと目をそらして向こうへ行ってしまった。明らかに聞こえている距離だったのに。
で、向こうで別の友達とわざとらしく大声で笑い合っている。
……それは小林雄眞との関係がこじれたことと何か関係があるのかもしれない。
雄眞を突き離そうとしている盟子を、南緒は快く思っていないはずだ。せっかくうまいことまとめてやったのに、と。
また元のさやに戻れば、南緒の機嫌は戻るのだろうか。
そして2学期からは、盟子は鈴城芸術アカデミーの土曜日のデッサンコースに通わされていた。母が勝手に申し込んでしまったのだ。
——こうやって誰かが設定した世界の中で、私は誰かの思い通りの駒であり続けるのかな。
それは嫌だ、とはっきり思った。そんなふうに生きて行きたくない。
だってその世界線に、あの人は存在しないと思うから。
みんなのリアクション
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9月末に文化祭が終わり、ほっとしたのも束の間、これから中間テストだ。
止まっているようでいて季節は流れ、気が付けば登下校の道はすっかり秋の顔になっている。空の青が濃い。
止まっているようでいて季節は流れ、気が付けば登下校の道はすっかり秋の顔になっている。空の青が濃い。
小林雄眞との関係は相変わらずうやむやのままだった。
一方的な長文メッセージが何通も送られてきている。
一方的な長文メッセージが何通も送られてきている。
——あのさ俺たち一度ちゃんと向き合って話した方がいいと思わない?
——確かに俺も言い方がきつかったりするけど、それは盟子のこと大事に思ってるからだよ。
——盟子ならきっと理解してくれるって信じてるから。
——いいかげん返事しろよ。俺が真剣に話してやってるのに何様なの? 10時までに必ず返事しろ。
——頭が痛くて眠れない。ずっと盟子のこと考えてる。会えなくてすごく苦しいよ。
下からお願いして来ると思えば、上から目線で命令して来たり。同情を誘う泣き落としで来たりもする。
けれど盟子はそれらに返事をしなかった。うんざりしすぎて最近は開くことすらやめた。
自分と盟子とは付き合っている彼氏彼女、話し合いが足りなくて今はちょっとすれ違っているだけ、という世界線の中で雄眞はいまだに生きているらしい。
自分と盟子とは付き合っている彼氏彼女、話し合いが足りなくて今はちょっとすれ違っているだけ、という世界線の中で雄眞はいまだに生きているらしい。
ひとつ、気にかかることがあった。
最近南緒に無視されている、ような気がする。
今日も「おはよう」と普通に挨拶したら、ふいっと目をそらして向こうへ行ってしまった。明らかに聞こえている距離だったのに。
で、向こうで別の友達とわざとらしく大声で笑い合っている。
最近南緒に無視されている、ような気がする。
今日も「おはよう」と普通に挨拶したら、ふいっと目をそらして向こうへ行ってしまった。明らかに聞こえている距離だったのに。
で、向こうで別の友達とわざとらしく大声で笑い合っている。
……それは小林雄眞との関係がこじれたことと何か関係があるのかもしれない。
雄眞を突き離そうとしている盟子を、南緒は快く思っていないはずだ。せっかくうまいことまとめてやったのに、と。
また元のさやに戻れば、南緒の機嫌は戻るのだろうか。
また元のさやに戻れば、南緒の機嫌は戻るのだろうか。
そして2学期からは、盟子は鈴城芸術アカデミーの土曜日のデッサンコースに通わされていた。母が勝手に申し込んでしまったのだ。
——こうやって誰かが設定した世界の中で、私は誰かの思い通りの駒であり続けるのかな。
それは嫌だ、とはっきり思った。そんなふうに生きて行きたくない。
だってその世界線に、|あの人《・・・》は存在しないと思うから。